COLUMN

2019.7.25 DESIGN

貴重な紫檀の家具を見てきました。

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.87
このブログの編集後記を担当して何年も経ちますが、今までで一番アクセス数が多かったのが「木材の王様、エボニー」の時でした。エボニーは日本では黒檀と呼ばれています。「エボニーのような高価で貴重な樹種はもう伐採ができなくなっていて、今まで使われていた楽器にも使えなくなり最近では樹脂を使ってます」という内容のブログでした。年々貴重になっている木材ですが、家具やインテリアに携わる方々も注目しているのだと思います。

先日、世界4大博物館の中の一つと言われている台湾の故宮博物館を先日訪問する機会があり、有名な「翠玉白菜」や「肉形石」と共に貴重な紫檀家具を見学してきました。エボニー(黒檀)はとっても貴重な材料ですが、エボニーと並んで貴重な木材が紫檀(ローズウッド)です。一般的な家具に用いるオーク材やアッシュ材も近年は良材が本当に少なくなっているのですが、エボニー(黒檀)や紫檀(ローズウッド)のような貴重な材料はもはや木材としての価値を超えているのかもしれません。

昔から紫檀は高価で貴重な木材でしたが、展示されている17世紀からの膨大な紫檀の家具はもはや永遠に制作不可能な圧倒的な品々でした。展示の家具は恭親王府に置かれていたものだそうですが、製作されていた時期は17〜19世紀と幅があり、セットで制作されたものではないため、いくつかの様式を組み合わせながら、現代のインテリアにも通じるミックススタイルで展示してありました。紫檀特有の重厚できめ細かな木理を活かした豪華で複雑な美しさを備えた家具に圧倒されます。超絶彫刻を施した家具は、ガラスケースの中に収めてあり、その貴重さがひときわ際立っていました。

故宮博物館は、最近はフラッシュを使わなければカメラで撮影も可能となったのですが・・・なにしろ中国の方々の観光客のパワーが凄まじい。朝早くから開館している博物館なので、9時前には入館したのですが押し合いへし合い大声が飛び交う中、警備の注意もどこ吹く風。人垣をかき分け、有名どころだけを廻って見たのですが、それでも2時間ほど掛かりクタクタになりました。それでもやはり展示品は一見の価値あり、最近は食を含めて台湾ブームのようですから一度訪れてみてはいかがでしょうか。博物館は8時30分から開館しているので、早起きしての見学をお勧めします。
(開発 武田伸郎)

ガラスケースの中の紫檀家具の数々。
きめ細やかな細工と紫檀特有の重厚な表情。