COLUMN

2019.7.31 DESIGNER

iPhoneのカメラ機能

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.99
東京ではオリンピック一年前になり試験的な交通規制が行われました。オリンピックメダルのデザインや販売グッズも発表され、オリンピックムードが高まってきました。先月ロケハンに行ったロサンゼルスではダウンタウンからサンタモニカまで走る道に1932年のオリンピックで使われたオリンピックブルーバードがあります。いつも宿泊するウエストハリウッドのホテルからレンタカーで西にある日本人街ソウテルへ車を走らせるのですが、90年近く前のオリンピックを思い出させる名称の道に、日本のオリンピックも100年経ても名残りを残して欲しいなと思います。

撮影に使用する住宅は、空間だけでなく道路事情や搬入経路まで見て撮影場所を決めます。最近では現地で撮影した写真を送ってもらい、ある程度決めて現地に向かうのですが、実際に行くと写真と随分イメージが違っている事があります。一番多いのが、かなりの広角レンズで撮られた写真で、実際の部屋は狭くカメラを設置する場所が取れない事です。撮影ではある程度の引きのスペースが必要となります。今回も慣れたデジタル一眼レフを使いながらロケハンの場所で1500枚以上撮影しました。これは撮影でも使用するカメラに近い画角のレンズを使っての画面チェックもありますが、西海岸レポートで使用する事もあり、より高解像度の写真を撮るためです。

数年前まではロケハン以外でも一眼レフを使って撮影する事が多かったのですが、最近は街に出るとiPhoneを使っての撮影だけで、4月に行ったミラノでも使ったのはiPhoneだけでした。iPhoneのカメラ機能がどんどん進化して、コンパクトデジタルカメラを凌駕するほどの解像度になり、2年くらい前のコンパクトデジタルカメラなら今のiPhone8でも同等以上の写真を撮る事ができます。また、iPhone自体で行える画像処理もかなり可能になりました。インスタグラム用に使われる写真に代表されるように、写真は加工するものという認識に変わっています。前回のブログで使用したホテルのインテリアの写真もiPhoneでのスナップショットですが、この数年、私のブログ用の写真はiPhoneで撮影したものを使用しています。

最新のiPhoneで撮影すれば良い写真が撮れるという訳ではありません。私のレポート写真も高い一眼レフを使っているから良い写真が撮れるんですか?とよく聞かれますが、どんな機材を使っても、撮影の基本が分かっていなければ良い写真は撮れませんし、それが分かっていれば、どんなカメラでも良い写真は撮れます。今のiPhoneではそこそこの写真が間違いなく撮る事ができます。しかし、写真は撮影する用途によって撮り方が違います。建築インテリア写真、物の写真、人の写真、インスタグラム用など、用途によって撮り方が違います。建築やインテリア写真は水平垂直が基本で、透視図法と同じで消失点の水平ラインが重要です。物やインスタ用の写真は画面の中心に主となる物を置く事が多くありますが、中心に置けば良いという訳ではありません。インスタグラム用の正方形の写真が多くなり、新しいバランス感というよりもインスタ映えと言われるようにハッキリした色の写真が映えるように感じます。

少しの理解とコツで写真が変わります。お盆休み明けにiPhoneを使ったインテリア写真の撮り方セミナーを開催します。私自身、大学時代にフィルムカメラの授業でしか習った事はなく、偉そうな事は言えませんが、プロでない分、ちょっとしたコツをお教えできるかもしれません。でも、そのちょっとした事がとても大切なんです。お楽しみに!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

左上:iPhone 5s (2013)は35㎜換算で33㎜なので少し部屋が狭く、画像も少し荒い。右上:iPhone 6s (2015)35㎜換算で29㎜あるので広くは撮れますが、F値が2.2と少し暗くなります。左下:iPhone8 (2017) 35㎜換算で28㎜で広角で撮れます。F値が1.8と明るいインテリア写真が撮れ、画像も細かく撮れます。右下:iPad (2019) カメラの性能的には2013年のiPhone 5sなので少し画像が荒くなります。また、持ち手部からレンズが離れているので、手ブレしやすく撮影には向いていません。
歴代のiPhoneのカメラ性能比較。iPhone6s以降は手ぶれ補正が光学式になり。F値も1.8になりより室内で撮影しやすくなりました。インテリアでは35㎜換算で28㎜あれば広角で室内が撮影できます。iPadは最新でも2013年のiPhone5s程度の性能です。