COLUMN

2019.3.26 DESIGN

天然皮革の魅力と見極め

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.83
まだ、寒暖差が激しい日が続いてますが本格的な花粉の時期も到来し春本番の様相です。先日、暖かくはなりつつありますが、まだ春浅い東北の工場へ製品の確認と打ち合わせに行ってきました。昨年発表した新製品の製品確認と、製品の品質管理を行う目的での訪問です。桜の時期はまだ先でしたが、穏やかな日差しには春の気配が感じられました。

今回訪問した工場では、天然素材である「革」の確認に時間を取りました。エーディコア・ディバイズで用いている天然皮革は、牛の革を使用しています。牛革は雄か雌か、年齢によって多様な種類に分類されます。表皮の表情や仕上げによって価格も大きく変わります。木材もそうですが、革も個体差があり部位によっても表情や質感が異なります。何より難しいのは、素材を見極め適材適所に革を用いることです。天然皮革はバッグや靴などに用いられることが多く、見た目の均一さを重視してカットします。しかし家具の場合は大きいサイズが必要なこともありますが、品質や強度に問題のない革本来の風合いである生前のキズやトラと呼ばれる天然のシワは製品に取り入れています。ビニールレザーのように全てが均一に見える人工素材とは違う、天然皮革の表情でもあります。革を無駄なく活かしつつ、仕上がりをイメージして適材適所に型をセットする職人さんの腕の見せ所です。

型取りをする際、さらに難しいのが革はテンションを掛けて引っ張ると、見えなかった血筋(血管の痕)や「トラ」と呼ばれる生前のシワや傷跡が浮かんでくることです。品質には影響ありませんが用いる場所によっては目立ってしまうことがあります。カットした後では調整ができないので、半裁の状態で革の状態をチェックします。どこを選んでどこを捨てるのか・・・・大切な素材を無駄なく使いたい気持ちと、均一な見た目に仕上げたい気持ちのせめぎ合いです。工場では、1脚1脚この作業を行います。天然素材ならではの仕事であり、素材を活かす製品作りの腕の見せ所です。

エーディコア・ディバイズでは、規格張り地には天然皮革しか採用したことがありません。もちろん人工レザーを張ることは出来るのですが、瀬戸のこだわりでもあります。扱いも難しく製作にも時間が掛かるのですが、使い込むほどに馴染んで風合いが増すのが天然皮革の魅力です。長くお使いいただける家具をお届けすると同時に、資源を無駄にしないエーディコアのモノ作りのコンセプトでもあります。(開発 武田伸郎)

「半裁」と言われるサイズ、牛の革を背中から半分にカットした状態の天然皮革。引っ張ってテンションを掛けながら革の状態をチェックします。30年以上革を見てきた経験値がものを言います。