COLUMN

2018.1.31 DESIGNER

完全受注とジャストインタイムの違い

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.81
2018年になって早、ひと月が経ちます。今シーズンは本当に寒い日が続いて、北陸の大雪から始まり、東京、名古屋も大雪で、その後の寒さから凍った雪が、道路にはりついたままになっていますが、みなさん怪我などされていませんでしょうか? 私自身、4年前の雪で、捻挫した事もあり、慎重に雪道を歩幅を狭くして、ちょこちょこ歩くようになり、滑らずにすんでいます。雪に慣れていない方は、ペンギン歩きして滑らないようにして下さい。

年度末を向かえ、徐々に工場も忙しくなってきました。当社の受注生産での販売方法を始めた33年前には、在庫商売が常識で、当社は在庫を持たない家具メーカーとして異端児扱いをされましたが、今では多くの家具メーカーが受注生産をうたうようになり、国内工場でありながら、需要期では2ヶ月納期や、数年前の消費税の増税時には半年先の納期など、すごい長さの納期での受注が聞かれました。当社の2週間〜3週間納期の受注生産はいまや短い納期になっていて、当社の事を短納期メーカーとの認識もされるようになってきました。

33年前に山形の製造工場と始めた受注生産は、ジャストインタイム生産方式で、完成在庫を持たず、納期を頂く代わりに、お客様に必要とされる物を必要なだけ、必要な仕様でお届けする事を目指しました。2〜3週間お待ちいただく代わりに、色やファブリックを自由にお選びいただき、お客様だけのセミオーダーシステムとして、お客様だけの家具をお造りしようと決めました。しかし、原材料から加工ではとても2週間では間に合いませんし、クオリティも保つ事はできません。木製家具では、乾燥された無垢材から削りだしたフレームを寝かせる事によって含水率を均一化して、反りや割れなどを防いで、組み立てる必要があるからです。この前段階の在庫を、寝かすと言いますが、その在庫を持って初めて受注生産ができるのです。当社では棚前在庫と言いますが、この寝かす方法はずいぶん前に訪れたデンマークの巨匠と言われる家具を作っている工場でも、品質を保つために同じ方法の寝かしを行っていて、伝統的な製造工場でも同じ方法を取っていた事に感心しました。

当社では、寝かしたフレームの在庫を持って、ご注文をいただいてから、表面研磨をして組み立てて、塗装を施して、張り込みをしてお客様の元にお届けしています。今ではブランドで合計すると22色の中からお客様のインテリアに合う色をお選びいただき、テーブルは、お客様に合うサイズ変更に対し、特注対応できるようになっています。その製品を山形や九州の国内工場で、寝かしの材料の数によりますが、通常の数であれば、2週間〜1ヶ月程度でお届け出来るようなシステムを作っています。需要期を理由に、だんだん納期が伸びていく受注生産のメーカーとは違うんです。ただ、数千脚のご注文には2〜3ヶ月かかりますが、、。

寒い工場の中で、一点づつ、お客様だけの製品を作っている職人さんの手を見ながら、お客様と遠く離れた場所だけど、物作りで、お客様と職人さんがつながっているんだなと感じる事ができました。これから本格的な需要期に入ります。製品によってはお待ち頂く事はあるかもしれませんが、一ヶ月以内にお届けできるように工場の職人さんも頑張っていますので、早めのお問い合せをお待ちしています。  (クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)

左上:NC-051Aの完成品 右上:加工されたパーツを寝かせておく棚倉です。製品の需要に合わせてある程度の数を置いて寝かせます。左下:オーク材の無垢材です。切削加工された状態で寝かせて、組み立てる前に研磨されます。寝かせる間に割れや反りが出た物は外されます。右下:棚に置かれたパーツをご注文ごと一台一台組み立てて、塗装されます。