COLUMN

2025.6.30 DESIGNER

家具レイアウトは快適性を左右します

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.169
先日開催しました「家具のレイアウトと人間工学セミナー」に1300名を超えるお客様に参加いただき、当社で開催したWebセミナーでの最多参加者となりました。終了後のアンケートでは沢山のみなさまに感想をいただきました。いつも感想を書いていただくのですが、こんなに沢山のお客様から長文の記入をいただいたのはあまりなく、全てを拝読するのに半日かかりました。いただいた内容は「ストレスが無いレイアウト寸法と通れるだけのレイアウトは違う」「人が座った寸法を想定してのレイアウトが大切」「椅子やソファの定員でなく実際に使用できる人数が大切」「曲線家具が直線家具より有効に使用できる事が目からウロコでした」など、プロの方からの声をいただき、長年行ってきたスキルアップセミナーの中で一番やりがいのあったセミナーでした。

これまで家具の作り方、革の製造など素材について、インテリア写真の撮り方、家具の人間工学など、インテリア知識の一部となればと様々なスキルアップセミナーを開催してきました。今回のレイアウトセミナーは、コロナ禍中に当社スタッフが、お客様からいただいた平面図の家具位置に点線の場所に、指示された家具をレイアウトしてるだけの、理由や使い勝手を考えず、担当営業から言われた事をするだけの作業になっていて、意味も理由も考えないプレゼン用の図面を見て、社員教育をする必要性を強く感じました。実際の社会人になっての仕事は学校で教わる以外に実務を通して覚える事や、先輩たちから教えてもらい身につける事が多く、コロナ禍では現場に出る事も少なくなり、人との関わり合いも少なくなり、指導も不十分になります。その為、私自身も反省し社内勉強会を開く事にしました。

私自身、40年以上家具のデザイナーとして仕事をしてきましたが、会社の先輩だけでなく、ベテランのお客様から叱られたり教えられ、仕事を覚えてきました。家具のレイアウトもその一つで、家具デザイナーになりたいのに、レイアウトなんて平面に置くだけでしょ、と思っていました。しかし、実際に仕事をしていると、レイアウト次第でホテルや旅館などの宿泊施設の効率性、レストランでの快適性がリピートへ繋がる事など、家具デザイン以上に重要な仕事でした。また、人間工学的寸法だけでなく、国際的マナーでのサイズ決定などはお客様へのセールストークに繋がり、信用されるデザイナーと感じていただけるなど、本当に役立つ事が多くありました。レイアウトセミナーを開催する事を決めた際に、当社営業部からプロのお客様に失礼では?怒りを買うのでは?との声がありましたが、私自身、社外の大先輩から指導された経験からやるべきだと思い開催しました。

実際にセミナーをする事になり画像を作りながら、自分自身の経験値の事を見直す事になりました。人間工学的モジュールは学生時代に習った事ですが、様々な高さの家具との間など実践的なサイズについては、社会人になっての経験値で得てきた事が多く、改めて資料作成するとなると参考本が無く一からになりました。レイアウト資料を図面から作りながら改めて家具レイアウトの大切さを感じ、私自身も忘れかけていた事の再認識になりました。平面図で家具で埋めるだけだと使えない事が多く、ダイニングセットは、椅子を引いた状態でなければ座る事ができません。またソファやラウンジチェアなど低い椅子に座ると人は脚を前に出すのでセンターテーブルとの間は多く取る必要があり、ソファの座の高さによって隙間が変わります。どちらも人が使用する状態でレイアウトをする事が重要です。そのモジュールを決めるのは人間工学寸法で、なんとなくでなく、具体的なモジュールを示す事ができればお客様にも納得いただけます。

「曲線家具が直線家具より有効に使用できる事が目からウロコでした」は、レイアウトする場合には狭い場合ほど、デッドスペースを少なくする必要があり、狭い空間だからと通路や隙間をできるだけ少なくしてレイアウトすると逆にデッドスペースが増え使えないスペースが増えてしまいます。実際に人型を使うと視覚的に見やすくなり、L型のソファの角はデッドスペースで、コーナーをラウンドにするだけで人が座れるようになります。インテリアの流行だけでなく、ストレスの無いインテリアを作る為にも曲線家具が必要とされています。最近使う事の無くなった、テンプレートという樹脂板でできた手書き用の製図用品を手に取りながら、これを何枚もダメにして買い替えた事や、レウアウトを書く前にレストランやオフィスでも隣との距離を定規で決めてレイアウトをした事を思い出しました。次のセミナーもスキルアップのためのセミナーを企画します。お楽しみに!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

左上:人間工学的、建築基準的に通路の寸法は決まっており、それも家具のレイアウトに利用できますが、家具の高さによって変わります。右上:以前使用していたテンプレートと言われる樹脂板。テーブルとの隙間や椅子の間など決まっていてレイアウトしやすい物でした。左下:ソファは座の高さや奥行きで人の足の出が変わりセンターテーブルとの隙間を変える必要があります。右下:レイアウトは動線を考える際には家具単体の隙間でなく、人が座った状態でのモジュールが重要になります。
上:曲線家具と直線家具のインテリア写真。写真で見ると直線ソファの方が多く座れるように見えます。 下:実際に人型を入れてみると、直線ソファのコーナーは人が座れずに角も片側に人が座ると座れない事が分かります。曲線ソファはコーナーに植物や照明が置く事ができて空間に柔らかさと豊かな印象を与えます。

2025.6.26

MD-201

クリエイティブ・ディレクター瀬戸 昇が、デザイナーからの視点で写真だけでは伝わらない製品の魅力を動画でお伝えします。
今回は2010年に発表した、シンプルで洗練されたフォルムと快適な座り心地を両立したダイニングチェア MD-201をご紹介いたします。

 

2025.6.25 DESIGN

エーディコアとロサンゼルスの思い出

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.158

エーディコア・ディバイズのアイコンとも言える代表作の CERVO AD-861 が誕生したのが1985年。それから様々な時代を経て40年が経過しました。おかげさまで CERVO は現在もご注文をいただくロングセラー商品です。開発当時は、日本の美意識を意識しつつもイタリアのモダンデザインに少しでも追いつこうと、当時としては画期的な構造でエッジの効いたデザインでしたが、40年を経た現在では流行を何度か廻って、ちょっとヴィンテージの雰囲気も醸し出すアイテムになってきました。そろそろ「マスターピース」と呼ばれても良いのかな、なんて思える CERVO ですが、そんな CERVO との付き合いも30年になろうとしています。

「今までにないファニチャーブランドを創る」という理念からスタートしたエーディコア。当時の家具生産の常識からは逸脱した受注生産システムで、お客様が必要とする製品だけをご希望の仕様でお届けするスタイルを 目指しました。時はバブル経済が始まろうとしていた頃、カフェバーブームにも乗りその時大ヒットしたのが CERVO です。成形合板と木製の脚を金属パーツを介して組み立てたこの椅子は、昔ながらの職人さんからは「こんなの椅子じゃない」と揶揄されたこともありますが、この CERVO が椅子のデザイン性を広げることが出来たのではないかと思います。その後も、不均等厚成形合板に突板を張った製品や、3次元成型合板の加工の可能性を広げるなど、新しい取り組みを続けてきました。困難な時期でも毎年必ず新製品を発表し、展示会を開催してきました。夜中に図面を書き上げて、そのまま工場に車で向かうなんてこともありました。今ではほとんどなくなりましたが、新作の試作制作も夜中まで工場に通い詰めて作り込んでいたものです。新作の試作制作といえば夜通し作業、夜な夜なディテールを職人さんと作り込んで製品の完成度を上げていきました。そして、家具開発と同じくらいこだわりを持っていたのが製品カタログです。ブランド発足当初から、カメラマンの選定から製品の見せ方、カタログの形状から用紙、印刷の方法までオリジナルなモノを目指してきました。その中でも最もこだわってきたのが撮影のロケーションです。

撮影には製品を見せるためのスタジオ撮影と、イメージや世界観を表現するロケーション撮影があります。ロケ撮影はハウススタジオのレンタルが一般的ですが、当社では撮影に使われたことがないロケーションを探して撮影をしてきました。しかし、そんな物件探しも困難になって行き詰ってしまいました。そんな時、持ち上がったのがロサンゼルスでの撮影です。海外撮影なんて夢のようなことでしたが、いろんな出会いもあって、2007年からLA撮影をスタートしました。それまで、いろんな面でヨーロッパ志向だった私と瀬戸ですが、ロケハンで初めて訪れたロサンゼルスに衝撃を受けました。全てが自由でダイナミック、スケールの大きさに圧倒されました。ケーススタディハウスのコーニング邸から見た真っ青な空とダウンタウンの景色は今でも忘れられません。しかし海外撮影は想像以上に困難続き。初めての撮影の時でしたが、LAの倉庫に着荷した製品を確認しに行くと梱包の箱が潰れてぐしゃぐしゃに置かれていました。その時は瀬戸と2人で現地のフォークリフトを運転し、荷物を整理して全て梱包をし直しました。通関の問題で製品を引取ることが出来なかった時もあり、その時は「撮影キャンセルか・・・」と諦めかけた撮影前日の20時過ぎ、ギリギリで製品が引取れた時には皆で抱き合って大喜びしました。撮影でお借りする邸宅は住んでいるそのままの状態でお借りするので、撮影後はお借りする前より綺麗にしてお戻しします。搬出搬入を繰り返すので、普通の引越しよりも大変な作業になります。ライトJr 設計の住宅で撮影した時には(ライトの住宅はエントランスが狭いことで有名ですが)脱出シェルターのように狭い階段を通過しないといけないので鬼のように大変な撮影になりました。撮影時に作業を手伝ってもらうスタッフは現地で手配するのですが、ほぼ南米の出身者。お互い言葉が通じないどうしで身振り手振りを交えながらの楽しい共同作業でした。それ以外でも、数え切れないさまざまなトラブルがありましたが、それも今となっては良い思い出です。2007年から始まったLA撮影ですが、新型コロナウイルス感染の影響からコーディネーターのYasukoさんがロサンゼルスから日本に戻られたこともあり、2019年で一旦区切りをつけましたが、ロサンゼルスで撮影したたくさんの撮影画像はエーディコア・ディバイズの貴重な財産になりました。

2012年からスタートしたエーディコア・ディバイズのコラム。皆様に拙い文章をお送りしてまいりましたが、この6月をもって定年退職することになりました。毎回ネタ探しで苦労しながらもなんとか続けることができました。今まで読んでいただいた皆様、ありがとうございました。これからも独自の視点から家具の提案をお届けするブランド、エーディコア・ディバイズを引き続きよろしくお願いします。(開発 武田伸郎)

左上:初めて訪れたロサンゼルス。ロケハンで視察したケーススタディーハウス・コーニング邸での一コマ。青い空とブルーのプール、ダウンタウンを一望する景観に感激しました。 左下:映画プロデューサー邸ではネオクラシコシリーズの製品を撮影しました。 右:フランクロイドライト Jr 設計の住宅。道路からこの階段を昇降して、奥の超狭いエントランスからの搬入搬出はキツかった・・・。
左上:日本からコンテナに載ったエーディコアの家具はこんな風にロサンゼルスの倉庫に着荷します。初めの頃の経験を活かしキチンと倉庫に届くようになりました。 右上:撮影では、家具の積み込みから始まり、荷下ろしから開梱、搬入搬出とセッティング等々、現地では休む暇もないほど作業が続きます。 左下:お借りした住宅の家具の移動は、最大限慎重に。室内も汚さないよう全員がブーティー(簡易スリッパ)を履いています。 右下:作業を手伝ってくれた愉快なアミーゴ達。決して大きくはありませんが屈強で力持ち

2025.6.25 SHOWROOM

全社員で学ぶ、ものづくり

AD CORE DEVISE SHOWROOM BLOG Vol.479(東京・六本木ショールーム)
当社では年に一度、自社製品への理解を深めスキルアップを図るために、全社員で工場研修を実施しています。新入社員にとっては見るもの聞くものすべてが新鮮な学びの機会となりますが、ベテラン社員にとっても知識を再確認する貴重な時間となり、毎年大変有意義な研修になっています。今年は、主に椅子やテーブルを製作いただいている山形の工場と、ソファのアルミ脚などを手掛けるアルミ鋳造工場を訪問しました。お客様と日々接することの多いショールームスタッフにとって、工場研修は大変貴重な経験の場です。普段は完成品しか目にすることがないため、製品内部の構造まで見る機会はほとんどありません。しかし、様々な部材が多くの工程を経て一つの製品へと仕上がっていく過程を実際に目にすることで大変勉強にもなりますし、お客様への説明にも説得力が増します。

当社では創業当初から環境への取り組みを積極的に行っていますが、材料を無駄にしない成型合板を用いた製品はその代表例です。木製の単板を繊維が直交するように糊付けして重ね、高周波のプレス機に入れ成型し、製品の部材となるようカットする工程も見学しました。製造過程を実際に目にすることで、その理念と技術への理解がさらに深まりました。見学した工場は、世界トップレベルの機械化が進められていますが、細かな調整が必要な箇所では、やはり熟練した職人の丁寧な手作業が施されています。わずかな微調整を重ねながら製品を仕上げていく様は、まさに職人技です。アルミ鋳造工場では、人気のシステムソファMD-3211などの脚部が製造される過程を見学させていただきました。この製品の脚にはリサイクルアルミ材を使用したアルミ鋳造パーツが使われており、国内で製造されています。MD-3211ソファは、本体の木フレームやクッション材も含め、すべての材料が国内で生産されたものを使用し製造されています。私たちが掲げる環境への取り組みを、工場の方々の協力で、実現できていることを改めて実感しました。これまでも、製品のデザインだけでなく、その構造や強度などについてもお客様にご説明してきましたが、今回の研修を通して、これからはさらに積極的に、当社の製品がいかに高品質であるかをお伝えしていきたいと強く感じました。

工場研修は、日頃お客様と接する私たちにとって、製品の奥深さを知る大変貴重な経験の場です。工場で学んできた、製品の見た目だけでは分からない技術やクオリティを、ぜひショールームで皆様にご案内させていただきます。AD CORE DEVISEの家具が持つ真の魅力を体感しに、ぜひショールームへお立ち寄りください。
(ショールーム担当:西條 恵理)

ご予約はこちらから

左:高周波プレス機にの型に入れ成型します。
右上:プレス後、型から出した状態です。ここからカットします。
右下:ラウンジチェアMD-1201Lのフレームを組み立てているところです。
左:アルミ脚を型から出した状態です。
右上:型から出した、余分な部分をカットしています。その後、磨いていきます。
右下:人気のシステムソファMD-3211。扇形のコンビネーションは住宅だけでなくエントランスロビーなどでも利用されています。

2025.6.18 SHOWROOM

栄の中心にあるショールーム

AD CORE DEVISE SHOWROOM COLUMN Vol.478(名古屋・栄ショールーム)
名古屋・栄ショールーム前の久屋大通パークの樹々も梅雨の雨間にキラキラと輝き、季節の変わり目を感じられるようになりました。名古屋にもインバウンドの方々が増え、栄のランドマークでもあるテレビ塔周辺では、早朝から夕刻まで多くの方が訪れ思い思いに過ごしています。今回は、この四季の移り変わりを感じられる久屋大通パーク前にある名古屋・栄ショールームをご紹介します。

久屋大通パークを挟んで南北に走る久屋大通の西側に名古屋・栄ショールームはあります。最寄り駅の地下鉄・栄駅からは、中改札口を出てカフェ横の階段から「栄 森の地下街/北一番街」へお進みください。途中にある地上への出口「GATE10A」を出て直ぐ目の前のビルが弊社ショールームの入っているビルになります。1階には河合楽器さんのショールームが入っているビルなので、以前からこの場所をご存知の方も多いのではないでしょうか。地上に上がって直ぐ前のビルという好立地なので、雨の日でも傘が必要ないほどです。 地下鉄 名城線/東山線、また名鉄 瀬戸線の栄町駅からもアクセスが可能なので、交通機関でのご来場もストレスなくお越しいただけます。近くにはショッピングスポットや飲食店だけでなく、愛知芸術文化センターや愛知県美術館、オアシス21や昨年リニューアルオープンした中日ビルからも近い立地なので、お出掛けの際には是非お立ち寄りください。真夏や悪天候の時でも空調が効いた地下街を経由してお越しいただける名古屋・栄ショールームは、これからの季節は特に快適にご来店いただけます。

ショールームには、リビングテーブルやランプ、クッションなどとコーディネートされたソファセットやダイニングセットだけでなく、単品展示のチェアやラウンジチェア、TVボードを常時展示しています。空間に合わせてサイズ展開もバリエーション豊かに取り揃えておりますので、展示品以外の製品のご紹介もさせていただきます。また、組み合わせに悩まれましたらコーディネートのご相談も承っております。理想のイメージ写真や図面をご持参いただけましたら、お客様のご希望に合わせてご提案させていただきますのでお気軽にショールームスタッフにお声掛けください。ストレスなく快適にご来店いただける名古屋・栄ショールームで、皆様のご来場を心よりお待ちしております。
(ショールーム担当:水野 未佳子)
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自然光の中で家具選びをお楽しみください。
左:梅雨の雨間に青空が清々しい久屋大通パーク 右上:この時の気温は14〜15°で肌寒い体感気温でしたが、タンクトップ姿で軽快に散歩を楽しまれていました。 右下:地下街から「GATE10A」を上り、目の前のビルの3階にエーディコア・ディバイズの名古屋・栄ショールームはあります。