COLUMN

2023.6.21 DESIGN

エーディコア全スタッフで工場研修

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.134
記録的な大雨が降ったかと思えば突然35℃を超える猛暑日があったりと、体調管理も大変な時期ではありますが、新型コロナ感染の自粛対策が緩和され約2ヶ月、街にも人の流れもようやく本格的に活気が戻ってきたように感じます。そんな6月某日、4年振りに生産をお願いしている工場へ研修に行くことができました。今回は椅子やテーブルなど脚物をメインにお願いしている山形の工場と、ソファや収納家具の脚部製造をしているアルミ鋳造工場へお伺いしてきました。

当社では、メインの生産工場のある山形と九州を毎年交互にお伺いして工場研修を行っていたのですが、新型コロナ感染が始まって以降は実施が出来ませんでした。皆様にお届けする家具の生産現場を実際の目で見る貴重な研修ですが、今回ようやく実施することができました。家具の工場は当社の発足当時からお付き合いいただいている工場で、バブル期には納期を間に合せるため瀬戸が資材を工場まで運んで夜通し組立てをして出荷した逸話も残っている工場です。現在では他の追従を許さない高度なNC技術を誇る、世界的にも認められた工場になっています。当社の製品は受注生産システムによって加工パーツを準備し、オーダーいただいた分を塗装して組立て、製品によっては1日に数百本の出荷をしていました。しかし時代を経るに従って椅子に求められる機能も変化し、座り心地が重視され、張込の仕様も複雑になり工程も格段に増えてきました。当社の椅子もフレームを組んで塗装した後に布地を張込むアイテムが増え、工程時間も長くなっています。製品のグレードが高くなり制作の難易度が上がったため、現在は1日の生産出荷数が100台程度になっています。実際に見せていただいた布の型取りや縫製、張りの作業は、どこまでも丁寧に細心の注意を払って進められていました。

アルミ鋳造工場は社員揃っての訪問は十数年振りとなりますが、社屋と工場が新しくなっていました。この工場も20年以上の長いおつきあいになり、ロングセラーのAD-015 やMD-211 のソファに使用するアルミ脚を生産いただいています。アルミの鋳造工場を見る機会はほとんどないので社員スタッフは貴重な研修になったと思います。溶解用のアルミブロックが積まれた工場内は、鋳造加工の熱気ムンムンで、夏場の工場作業は本当に大変だと感じました。研修のためにMD-211のアルミ脚の金型がセットされていて、実際の鋳造加工をしせていただきました。溶解炉から溶かしたアルミニウムを汲み出して鋳造機へ注入する工程など、熱気を肌で感じながらのリアルな体験でした。機械化された工程で制作されるアルミパーツですが、最終の仕上げは手作業になります。溶かしたアルミニウムが型に注入され、幾つもの工程を経てピカピカのアルミ脚に仕上がって行く行程を見学させていただきました。

梅雨時期の工場研修、空港に到着する頃は着陸も危ぶまれるほどの雨が降っていたのですが、幸い天候も回復しこの時期にしては涼しく快適な中で工場研修を行うことができました。研修に訪れた6月は山形でも有数のさくらんぼの産地で、ちょうど出荷の最盛期。研修の翌日にはさくらんぼ狩で美味しいさくらんぼもいただいて充実の研修旅行となりました。社員一同、家具作りの知識をより深めて、皆様にエーディコア・ディバイズ製品の良さを少しでもお伝えできればと思います。(開発 武田伸郎)

左上:高周波プレスの工場研修を前に資材から加工までの流れを確認  左下:成型合板の型をセットした高周波プレス機で実際にプレスする工程を見学  右上:椅子工程の見学。木部の加工から研磨仕上げ、フレームを組み上げて塗装工程に回ります。  右下:最近の製品は木部フレームを組んで塗装仕上げした後、ウレタンクッションをセットし布地を張り込む非常に手間の掛かる工程で仕上げます。工場研修といえども瀬戸みずから座り心地を左右する椅子の仕上げ工程を社員にレクチャー
左上:アルミ鋳造工場の研修。中央に積まれているシルバーに鈍く光るブロックがアルミの素材  左下:熱気あふれる工場内、アルミ鋳造から打ち出し、粗加工から研磨作業まで流れを追って見学  右上:鋳造されたばかりのMD-211用アルミダイカスト脚部  右下:完成して仕上げられたアルミ脚とチェアハンドルパーツ。どれだけの工程を経てパーツが仕上がるのかを目の当たりに見てきたばかりなのでパーツを見る目も違ってきます