COLUMN

2023.8.30 DESIGN

真夏の工場訪問紀行

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.136
もう目にするのも耳にするのも耐えられないような今年の記録的な猛暑。日本全国うだるような暑さが続いていますが、そんな猛暑の中、今月は日本各地の工場を巡ってまいりました。関東近郊の千葉から大阪、広島の府中から九州の大分県は日田市、家具の産地である福岡の大川市などを訪問してきました。大分県の日田市はニュースでも取り上げられるほど国内でも夏の暑さが最も厳しい地域ですが、今年は日本国中、記録的な猛暑。日田市のみならず、お伺いした各地の工場はどこも厳しい暑さだったのですが、工場の皆様にご迷惑をかけないように暑さ対策には十分注意してお伺いしてきました。

家具制作に限ったことではありませんが、国内の製造業の工場での作業環境において、デスクワークを行うオフィス空間のように空調管理された現場はほとんどないと思います。物作りに携わる方々は、熟練の技や技術とともに体力や厳しい環境下でも対応できる能力が必要不可欠です。少しでも快適な職場環境にするためにみなさん工夫はされているのですが、ほとんどの場合製作工場の中は、夏の期間は厳しい暑さの中作業を行なっています。日々、厳しい環境の中仕事をされていますので職人の皆さんは暑さにも強い方がほとんどです。夏場に工場を訪問する際には、職人さんを前に暑さでダウンする訳にはいかないので・・・日々鍛錬(?)はしているのですが、それでも今年の暑さは体に応えました。工場を回る際には汗でシャツが背中に張り付いてしまいました。

エーディコア・ディバイズの新作発表は、毎年晩秋の時期に開催しています。新製品の開発、試作の確認の時期がいつも夏場の時期に行うのですがデザイナーの瀬戸の製品作りは図面やデータの指示だけでは完結しません。実際に物を作るところから確認を進めます。真夏の試作確認の期間は、常に工場に立ち会っているのですが場合によっては立ち会うだけでなく手を動かして試作作りにも参画します。試作室が38℃まで室温が上がることもあり気力、体力がなければ務まりません。(当社の開発スタッフは体力がないと務まらない所以です)しかし、本来は家具の製作現場でもできる限り快適な環境で作業をしていただくことが理想です。数年前に試作を進めていた2つの工場に、製作現場の暑さ対策の環境改善を打診したことがあります。暑さが厳しい工場の環境に慣れてしまっているかもしれませんが、これからの工場はより良いものを作れる環境作り、若い人が集まる職場環境にする必要がありますよね、と。大掛かりな設備投資は難しいかもしれませんが、職人さんが実感できるような改善ができればとのご提案でした。

その後、工場にお伺いした際には早速数台の冷風機が設置されていました。効果を確認してみると・・・長時間滞在するのがしんどかった塗装場でも温度が下がっていることが実感出来ました。この冷風機は、当社で金物パーツをお願いしている株式会社フナボリさんが取り扱っているシステムで、さまざまな一流企業の工場で採用されている設備です。職人さんからも効果を実感する声が上がっていて、その後も冷風機の台数が増えていました。お伺いするたび、作業場の暑さが改善されているのを感じます。今年、新たにお伺いした工場も例に漏れず暑さが厳しい工場でした。工場視察する時には必ず「工場内は非常に暑いので~」が常套句、その暑さの中製品作りが行われています。そんな状況が少しでも良くなるように、良い製品ができるように微力ながらもご協力していきたいと思います。(開発 武田伸郎)

真夏の工場訪問。みなさん、暑い中製品創りを進めていただいています。要所要所で扇風機や換気扇を使って暑さ対策はとっていますがなかなか思うような効果は得られていないのが現状です。
右端に鎮座するのが内部の熱気を排出し冷風を吹き込む「大規模空間空調システム」の冷風扇。風を送る機械ではなく、工場全体をクールダウンするシステムです。今までは足を踏み入れた瞬間熱気に包まれていた工場でしたが、このシステムにより外気温より室温が上がってしまうことはなくなっています。