COLUMN

2023.9.27 DESIGN

新製品開発、進めています

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.137
本当に秋が訪れるのかな・・・と思ってしまうほど今年の夏は長く厳しい暑い日が続いていましたが、最近になってようやく秋の気配を感じられる日が来るようになりました。エーディコア・ディバイズでは、毎年秋に新製品の発表展示会を開催していますが、今年も晩秋の時期に新作展示会を計画しています。秋の気配が深まった頃には正式なご案内ができると思いますのでもうしばらくお待ちください。春先から進めていた2024年モデルの新製品開発、記録的な猛暑の中でも粛々と進めていました。

エーディコア・ディバイズの製品開発のスタートは、ストーリー作りから始まります。モノの形やデザインを考えるのではなく、まずはじめに製品が生まれるためのコンセプトとストーリーを紡いでいきます。クリエイティブ・ディレクターの瀬戸が、四六時中張り巡らせているアンテナで得た情報を、あらゆる角度から分析してその年の製品コンセプトを立ち上げます。言葉にすると固すぎるビジネスワードのような印象になってしまいますが、ここでいう情報とは、日々生活している中で生まれるとても広範囲な情報のことです。TVや映画、音楽のようなエンターテイメントの要素から、食やファッションの流行、大袈裟ですが世界情勢や国内の景気動向なども含まれます。インテリアには関係のなさそうな情報でも、実はとても密接に関係しています。物を生産して販売するわけですが、経済評論家のようにマーケット分析で売れる製品を提案するのではなく、あくまでデザイナーの視点で、今の状況を見据えながら、どんな物語を皆さんにお伝えするのか、そこから新しい製品が生まれてきます。

当社では30年以上にわたり家具をお届けして来ましたが、時代によってそのストーリーは様々です。国内景気に沸いた時代にはモダンでエッジの効いたイタリアンデザインをAD CORE流に、開放的なナチュラル嗜好の時代にはA-modeを、その時々の時代性に合わせた製品をストーリーにして皆さんに提案してきました。そして今、最も重要視しているファクターが、環境に配慮した製品作りです。エーディコア・ディバイズではブランド発足当時から意識してきたコンセプトですが、カーボンフリーやSDGs、サスティナブルの取り組みが当たり前の現在、当社ではまだ家具の業界では進んでいない環境に配慮した資材使用を進めています。今年の新製品ではさらにその取り組みを進めています。

当社のモノ作りのバックボーンをご紹介してきましたが、エーディコア・ディバイズの製品がコンセプトで理論武装しただけのモノではありません。製品のストーリー以上に大切にしていることが、製品の美しさ、使い心地の良さです。製品開発はストーリー作りから始まりますが、製品デザインはドローイングブックとフリーハンドの鉛筆の線からスタートします。手描きのその鉛筆のラインは抽象的なドローイングから徐々に家具の形が現れ、手描きの最終形ではストーリーから紡ぎ出された家具のスケッチが完成します。このスケッチを元にCADによる図面データ制作を分担して進めていくのですが、このスケッチの段階でほぼ100%(?)デザインが完成されています。曲線もフリーハンドで勢いよく描かれたラインですが、図面に起こし他データと比較するとピッタリと合致します。まだみなさんにお見せできないのですが、ドローイングのスケッチから立ち上がった製品試作が徐々に出来つつあります。クッションの選択やファブリックなどのセレクトもほぼ固まってきました。新作展示会で皆様に見ていただけるまで、これから急ピッチで製品作りを進めていきます。秋の新作展示会まで、もうしばらくお待ちください。(開発 武田伸郎)

新製品の開発は、見た目や意匠的なデザインも重要ですが、使い心地を決定する素材選び、適材適所にどんな資材を用いるかも同じくらい重要です。開発にあたっては資材の組み合わせも大切になります。
左上:完成した新作の図面をもとに真夏にスタートした新製品試作制作。工場の開発スタッフの方と打ち合わせをしながらイメージを合わせていきます。左下:全体の構成、構造を検討していきます。右上:どんな素材をどのように組み合わせるか。クッション材に用いるウレタン素材は座り心地や耐久性、形状を綺麗に形作るために吟味を重ねます。右下:これまでなかった素材使いも色々と検討します。これまでは捨ててしまう素材でも利用できないか検討しています。