COLUMN

2016.4.27 DESIGNER

車の燃費

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.58
三菱自動車の不正燃費が報道されています。三菱自動車だけが悪いのでしょうか?車を所有していないと分かりませんが、車を購入する際に見たカタログ表記の燃費を出すことは至難の運転です。皆さんもそう思った事はありませんか?

昔は平地を一定速度で走った場合の60キロ定地走行の燃費で、それが市街地での10項目の走行パターンを想定した10モードになり、1991年から10.15モードになりました。それがより実際の走行に近いモードとして2011年から今のJC08の燃費表示になりました。でもその試験は実際の走行でなく、シャーシダイナモとよばれるローラー機械の上で動かすだけです。その車を操作するのは、レース最高峰のF1ドライバーに匹敵するくらいのテクニックを持った、神の脚を持つと呼ばれるテストドライバーが行うそうです。

私自身、車好きなので、様々な車を乗ってきましたが、最近の燃費表示は一般道路を普通に走っても絶対に出ません。出張のたびに様々なレンタカーを運転しましたが、絶対に出ません。これは今の実際の走行に近いと言われるJC08になってからよけいに感じます。昔の10モード燃費のほうが、実際に丁寧に走ると越える事があったのですが、今はどういう運転をしたらこの数値が出るのか不思議で、各メーカーの燃費表示に疑問を持っていました。これはエコカー減税を導入してからよけいにひどくなっていると感じました。エコカー減税を受ける為に、ただ数字を上げているだけなのかと、、。何台かを乗り継いでいるメルセデスも以前は、カタログの燃費表示より良い数値を出す事ができたのに、5年くらい前から一ミリもこの燃費を越える事はできなくなりました。営業マンに聞くと、実際に走った試験ではありませんから、、。と言葉を濁すだけです。

実際の燃費を不正に表示していた三菱自動車は悪いと思いますが、三菱自動車だけの問題でしょうか?他のメーカーも一般の方が出せない燃費を表示しているのには変わりありません。私の乗っているメルセデスも同じで。昔はカタログ表示より良い燃費で走る事ができたのに、、。この燃費モード事体本当の使用条件での燃費ではありません。それを決めた国にも問題があります。少し前まで、欧米車の燃費はカタログ表示は実燃費に近い表示だったのが、エコカー減税になってからかなり乖離するようになったのも問題です。欧米車は本国でのカタログでの燃費表示は日本の数値より悪い表示がされています。これは実際に走行する数値に近い試験だからです。特にアメリカでの燃費表示は実走行に近い数値です。エコカーの代表のプリウスも日本ではカタログ表示31km/Lですが。アメリカでは23km/Lとまったく違います。アメリカではカタログ通りに燃費が出ないと訴訟されてしまうからです。日本では多少誇大表示をしても訴える人はいないからと思っているのでしょうか。

車の魅力は燃費だけではありません。どちらにしてもカタログ通りの燃費はいかないのですから、運転好きな方は操縦性、快適な移動が好きな方は、しなやかな走りやインテリアを、経済性だけが必要なら実燃費の良い車を、、。車に要望する事を第一に選んでもいいのではないでしょうか。30年以上所有している古いカルマンは飛ばすと燃費は悪いですが、ゆっくり走ると15km/Lくらい走ります。キャブのセッティング次第で変わるので、大変ですが、それも面白いんです。                                      (クリエイティブ・ディレクター/瀬戸 昇)

左:カルマンギアのエンジンは後ろにあります。右:走りと燃費に関係する左右にあるキャブレターはウェーバー社のツインキャブに変えています。キャブレターはエンジンに空気とガソリンを混合して送り込む物で、理想空燃比はガソリン1:空気14.7です。それに近くなるように調整します。金色の真鍮の2本のボルトがジェットと呼ばれるガソリンの量を変えるパーツです。このパーツの番手を変えてセッティングを決めるのですが、排気量だけでなく、カムやバルブサイズなどもあり、合わせるのが大変なんです。
左:混合した空気とガソリンに火をつけて爆発させるのが、スパークプラグです。使用する温度など環境によって熱価を変える必要があります。セッティングが合っていると先がグレーに近いブラウンになり、調整の目安にもなります。右:キャブレターはエンジンの近くにあり接続ホースなど劣化して漏れると火事になるので、運転席には消火器を置いています。ランボルギーニなどよく燃えていますよね。それも漏れたガソリンがエンジンの熱で発火するのが原因のようです。きちんと整備しているとそんな事は無いのですが、安心のために置いています。