COLUMN

2022.7.27 DESIGN

広尾ショールームのエントランス照明

AD CORE DEVISE DESIGN COLUMN Vol.123

今年は、梅雨の時期から全国的に暑い日が続き、東京では9日連続猛暑日の記録まで作ってしまいましたが、梅雨明けしたとたんまた梅雨入りしたような天気が続いていました。ここにきてようやく夏らしい気候になってきましたが、本格的な夏到来を前にエーディコア・ディバイズ東京では、エントランスを中心にショールームの改装を行いました。

現在当社の各ショールームでは、完全予約制でお客様をお迎えし、感染予防に努めてまいりましたが、広尾ショールームのエントランスも現在の状況に即したレイアウトに変更しました。お客様をお迎えする正面のカウンターを廃し、エントランスの空間を家具の展示スペースにしました。改装に伴い収納ワードローブを設置する等、ショールームを見ていただく環境も整備しました。今回の改装で一番の変化が、エントランスのドーム状のガラスの吹き抜けに設置した照明器具の変更です。これまでは、イスラエル製の有機的なフォルムのシルク製シェードの照明器具を展示していたのですが、今回はベースになる照明器具を瀬戸がオリジナルにアレンジし、8メーターを超える吹き抜けのスペースに照明器具をデザインしました。吹き抜け天井に設置した昇降機に、オリジナルの円形パネルを取り付け、そのパネルに大きさの異なる照明器具7台を、天井から最大で5mもの長さのワイヤーで吊る仕様になっています。大小のフレームを視覚的に、重量バランスを取って吊り下げた時にそれぞれのワイヤーが干渉しないように計算した意匠です。

ワイヤーで吊るす際の重量のバランスや明かりを灯けた時の空間の明るさのコントロールなど、デザインするにあたっては考慮するポイントがたくさんありました。当初用意したフレームは空間と色が合わないので、開発スタッフ新人の渡辺君が全てに塗装を施しました。(設置工事会社の方からは「製品みたいに綺麗!!」と、褒めていただきました)照明器具はサークル状の細い照明フレームに、3本のワイヤーをつないで吊るのですが、傾かないように水平にバランスを取る調整も必要です。昇降機からパネルを降ろした状態で照明器具を取り付け、昇降機で何度もアップダウンを繰り返しながら、平面状の位置、高さのピッチ合わせなど、微調整を繰り返しました。図上の計算通りにはいかないもので、ねじれが生じたり回転したり、ワイヤーの長さをピタリ調整することが難しかったりしたのですが、皆さんと協力して設置することができました。

早朝から開始した改装工事も、夕方には無事完了。3F 階段からエントランスを見下ろすと、展示した家具や壁面の高さ4mのバナーもよく見えるので、視覚的にも明るく抜けの良い空間になりました。陽が落ちると、ドーム型のガラスや床の大理石に、立体的に重なった照明がゴールデンリングのように輝いて見えるのでぜひご覧ください。エーディコア・ディバイズでは、広尾ショールームのリニューアルを記念して、大阪、名古屋を含めてご来場キャンペーンを開催しています。ご予約の上、ご来場いただいた方にオリジナルの手ぬぐいをご用意しています。ぜひこの機会にご来場ください。皆様のお越しをお待ちしています。(開発 武田伸郎)

左:エントランスを見上げると、8mのガラスドームの吹き抜けにセットされたリング状のLED照明 右:漆黒の大理石の床に写り込んだ照明のゴールデンリング
左上:7つの大きさの異なる照明フレームを3本のワイヤーで、位置と大きさによってリングの中を通したり立体的にセッティングします 左下:照明器具の設計プラン 机上の数値通りには収まらないので実際に吊り上げながら調整しました 右上:特別に塗装を施したフレーム。3本のワイヤーの長さを微調整して水平にセット 左下:細いサークル状の照明フレームは、視覚的に抜けが良いので上階からも展示がよく見えます

2022.6.29 DESIGN

梅雨明けの九州工場訪問

AD CORE DEVISE DESIGN COLUMN Vol.122

日本国内で新型コロナウィルスの感染者が報告されてから約2年半が経過しようとしていますが、世界的にも収束に向かいつつあり国内での移動も活発になり始めています。今週、当社でも移動自粛期間中はなかなかお伺いできなかった九州へ訪問し、生産をお願いしている工場を始め配送業務をお願いしているお取引先などを訪問してまいりました。梅雨明けの九州地方、酷暑の中の限られた時間でしたが、目一杯廻ってきました。

久しぶりの訪問となった今回の訪問ですが、決算期の棚卸しや製品の品質に関する事案など、多岐にわたって打ち合わせがありましたが、直接お伺いできるようになって担当者の方と直接お会いしてお話ができることがある意味一番の目的でもありました。新型コロナ感染が発生した時期から工場訪問が出来なくなったため、ソファやテーブル工場での製品仕上がりチェックをリモートで画像のやり取りで行なって来たのですが、今回久々に工場のスタッフの方と一緒に製品確認を行うことができました。リモートでの画像検品を行うようになって製品クオリティーは向上しましたが、現場で担当者と一緒に確認することにより、対面でのコミュニケーションの大切さを改めて感じることもたくさんありました。今後もリモートでの利点を生かしながら、現場にお伺いして工場の方とコミュニケーションをとりながら製品の品質向上を進めていきます。

今回訪問した日田市は、国内屈指の暑さが厳しい地区で、夏の訪問時にはいつもめまいがするような暑さの中、工場を廻っていました。今回お伺いする際も、工場の方からは「暑いですよ」と忠告されていたのですが・・・、お伺いした工場では以前感じたような厳しい暑さはありませんでした。それぞれの工場で活躍していたのが、水の気化熱によって冷風を送り出す移動式水冷扇。扇風機や換気扇とは異なり、外気を取り入れながら工場内の温度を下げる効果は抜群の機器です。消費電力も抑えられ広い空間で効果を発揮します。この機器は、当社でスチールパーツをお願いしている株式会社フナボリさんの製品なのですが、工場へ紹介して設置、暑さ厳しい日田の工場で環境改善に役立っていました。とは言うものの、やはり工場内はじっとしていても汗が滴る暑さ。でもこんな感覚を味わうのも3年振り、直接お伺いができるようになったからこその体験でした。

資材高騰や物価高、パーツなどの入荷が滞るなど、様々な問題が持ち上がっていますが、新型コロナウィルス感染収束後の自由な活動が行える事に感謝しながら、皆様との密なコミュニケーションを目指していきたいと思います。製品のチェックやお客様同伴での使い心地の確認など、エーディコア・ディバイズのショールームにもぜひご来場ください。スムーズな対応ができるよう完全予約制で、みなさまをお待ちしております。(開発 武田伸郎)

左上:工場で活躍している、水の気化熱によって冷風を送り出す移動式水冷扇。外気を取り入れながら工場内の温度お下げる効果は抜群です。当社でスチールパーツをお願いしている株式会社フナボリさんの製品です。 左下:木製パーツの塗装工程チェック。 右:木材の資材倉庫。一昔前は、外部にも桟積みして大量に在庫していた木部資材ですが、現在は資材高騰、資材不足の影響もあり倉庫内の資材もかなり絞られています。
左:各製品の品質チェックシートを基に、製品をチェックします。 右上:各工場の在庫パーツの棚卸しチェック 右下:製品確認する佐藤。指定通りの仕様になっているか、仕上がりに問題がないか確認します

2022.5.30 DESIGN

これからの老健施設の家具

AD CORE DEVISE DESIGN COLUMN Vol.121

エーディコア・ディバイズのホームページで、閲覧数も多くお客様から評価いただいているのが納入事例を掲載した「WORKS」です。PUBLIC、RESTAURANT、HOMEの3つのカテゴリーに分けて当社製品を納めた画像を、コメントとともに紹介しているのですが、それぞれインテリアコンセプトに基づいた素敵な物件を多数ご紹介していますので、ぜひご覧になってください。そんな様々な納入事例がある中で、明確なコンセプトを基に当社製品をお使いいただいているのが、PUBLICに掲載している老健施設です。当社の製品は、商業空間や公共スペースなど、一般的なホームユースの家具以上に高い耐久性が求められる物件にお納めしていが、それ以上に高い安全性と耐久性が求められるのが老健施設の家具です。

これまでの老健施設では、耐久性や安全性を重視した一目でそれと分かる家具が使われていました。しかし、デザイン性や居住性を重視した老健施設が増えてきたことにより、インテリアや家具も変化してきました。今、老健施設に求められているのは、スタイリッシュで安全が高く、座り心地と強度を両立させたメンテナンス性にも優れた家具です。そして共通しているコンセプトが、入所される方はもちろん、ご家族の方や働くスタッフの方々にとっても快適なインテリア空間の施設だということです。そんな空間にエーディコア・ディバイズの家具がセレクトされてきました。

デザイン性を重視した老健施設のインテリアでも、耐久性やメンテナンス性が劣ってる家具では安心できる施設とは言えません。しかし、安全性だけに注力しただけのインテリアでは安らげる空間作りが出来ません。これからの老健施設では、この2つの要素をクリアする事が求められます。当社の製品は、デザイン性は基より各製品の特徴を生かしながら機能性も考慮。独自の強度試験を実施し(*1)耐久性を確認したものを製品化しています。もちろん「どんな扱いでも壊れない家具」ではありませんが、設計やコーディネーターの皆様にはその点をご理解いただきながら、受注生産システムを活かして、施設に適合するスペックでご指定いただいています。さらに、ご要望により規格製品をベースにアレンジを加えてお納めする事例もあります。規格品がベースの特注仕様なので、製品の実績や信頼性により、安心してお使いいただけます。さらに、追加のご注文や修理、メンテナンスにも対応が可能になるメリットもあります。

老健施設や高齢者向けのレジデンスは、今後さらに要望が広がっていくと思われます。安全性や快適性はもちろん、建築も含めた快適なインテリアはますます重要な要素となっています。老健施設や高齢者向けのレジデンスなどのご要望の際は、ぜひご相談ください。これまでの実績や経験を基に対応させていただきます。情報をお待ちしております。(開発 武田伸郎)

*1  椅子の場合、国内の工業技術センターにおいてJIS S1032、S1203、S1023 に基づいた家具の強度試験を実施

エーディコア・ディバイズの製品を納入させていただいた老健施設の事例です。快適な使い心地はもちろん、ご使用になるスペースや目的に合わせたアイテムをお選びいただいています。軽量で取り回ししやすい椅子や、使用数を調整できるスタッキングチェアなど、デザイン性と機能を兼ね備えた製品が充実しています。
左:快適な座り心地が好評のMD-901チェア。右:快適な座り心地をキープしながら、耐久性とスタッフの方の使い勝手を考慮した特注仕様のMD-901A。フローリングの床を移動しやすく、耐久性をアップしたソリ脚仕様です。

2022.4.27 DESIGN

人や生き物に優しい環境作り

AD CORE DEVISE DESIGN COLUMN Vol.120
今から遡ること30年前、1990年代になりますが化学物質の濃度が高い空間に長時間暮らすことによって健康に影響が出る「シックハウス症候群」が問題になりました。高効率の建築資材により、人間に様々な影響が出始めていました。原因物質の一つであるホルムアルデヒドは、集成材や合板などに用いられていましたが、2003年にシックハウス対策としてホルムアルデヒドの使用が制限されました。2008年には揮発性有機溶剤の規制も始まり、住空間では天然木の床材や自然由来の塗装を用いるなど人体に優しいシックハウス対策が広がりました。その反面、有害物質を排除することにより耐久性の問題や、木材の害虫発生のトラブルなども増えてしまいました。

家具や住空間で問題に上がるのが、広葉樹を幼虫の餌とするキクイムシです。高度成長期以降、建築資材に有機化合物を使用することで症例はありませんでしたが、シックハウス対策によるホルムアルデヒドの使用廃止から、症例が認められるようになりました。キクイムシの混入は、移動中の可能性もあることから特定はほぼ不可能なのが現状ですが、当社では出来うる限りの対策を取っています。資材は人工乾燥の熱処理をしたものを入荷し、害虫駆除薬の噴霧処理、倉庫保管中はラップを巻いて害虫侵入の防御と定期的に燻煙処理も行っています。それでも稀にではありますがキクイムシの発生があります。

キクイムシが木材に被害をもたらすのは約10か月間の幼虫の時期だけで、春先に孵化した成虫は小さな穴から外に出て2週間程度で死滅します。住宅の柱や梁に使用される針葉樹は食害しないため、住居に影響を与えることはなく、塗装された木材には入り込めないため、他に害が及ぶことはほとんどないと考えられます。もちろん人体に害をあたえることはありませんが、キクイムシの発生は心象的にも気持ちのいいものではありません。万が一当社の製品で発生してしまった場合は、速やかに製品交換、他に影響が出ていないか確認いただき必要に応じて対策を取らせていただいています。

昨年から急速に対策が進んでいるSDGs対策。一時期の環境対策や健康に対する意識の変化など、総括的な問題としていろいろなことが影響し合っています。有害と思われるものを薬品などで排除する対策ではなく、食や住空間もさらに自然に優しい方向へと向かっています。人や自然に優しい環境作りが、他の生き物に対しても優しい環境にもなります。ハウスシックをはじめとする更なる環境対策と合わせて、キクイムシ対策も引き続き進めていきたいと思います。(開発 武田伸郎)

左上:ホワイトアッシュの無垢材を用いたMD-207テーブル  右上:キクイムシの症例があったMD-207 左下:小口側面に孵化したキクイムシが出た小さな穴が確認できます。1.5〜2ミリ程度の非常に小さな穴です。  右下:キクイムシが発生した際に、木粉が見られます 
製品に使用する無垢材は、入荷の時にチェックした後、木取りから部材加工、パーツになって倉庫保管します。製品ごと、木材の色味によって管理し、外部からの混入を防止知るために袋に入れるか、ラップで梱包して保管しています。

2022.3.29 DESIGN

特注収納家具や什器製作のこだわり

AD CORE DEVISE DESIGN COLUMN Vol.119
お住いの居住スペースやオフィス、施設や商空間の様々なインテリア空間には、用途やデザイン、使い勝手によって色々な家具が配置されます。エーディコア・ディバイズの製品も、そんな様々なインテリア空間にお使いいただいていますが、既存の製品ではカバー出来ない、その場所に合わせて製品を納めたい場合があります。既成の形や寸法では合わない、建物や限られたスペースにぴったり合わせて納めたい、そんな場合に当社ではご希望に合わせた特注家具や展示什器を製作しています。

家具には椅子やテーブルなどの「脚モノ」と呼ばれるものと、「箱モノ」とよばれるキャビネットやタンスなどに大まかに分かれますが、それぞれ製作には異なるノウハウがあり、工場によって得て不得手があります。当社の製品には置き家具というイメージが強く、箱モノや特注の収納家具などあまりやっていないと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、ご希望のスペースや予算に合わせて現場の採寸から設置まで、特注の収納家具や施設の展示什器まで、幅広く行なっています。

ご要望の多い特注対応としては、当社の製品のデザインや仕上がり感、グレードに合わせて特注家具を納めたいというお客様です。椅子やテーブルと材料を合わせて、塗装色や仕上がり感を統一することができます。特注家具のご注文をいただく場合は、インテリアのイメージやご予算をお伺いして、プランに沿ったご提案をいたします。当社では、意匠やデザインだけでなく使い勝手やメンテナンス性も考慮して収まりを検討し、現調や搬入経路の確認、収め方によって天井や巾木の仕上げなどもしっかり確認して進めています。構造や仕上がりによって、最も適した工場に製作を依頼し、作図から細部の収まりを検討し、塗装前の製品検査や仕上がった製品の出荷前チェックも行います。現場に収める製品は設置しておしまいではありません。お使いいただく際の耐久性や、場合によっては製品の移動やパーツ交換の作業まで考慮しています。

お客様のご要望に合わせて造る特注家具は、オーダーメイドのスーツを仕立てるようなもの。素材選びから身体に合わせての採寸、ゆったり身に纏うのか、フィットした着心地ながらも動き易くするのか等々。最近はコストパフォーマンス重視のオーダーメイドも増えてきているようです。特注のあつらえた家具は高価なモノ、とあまり構えずにダイニングテーブルやチェアをお選びになるときは、ぜひ一緒に特注家具もご検討いただいてみてはいかがでしょうか。お問い合わせをお待ちしています。(開発 武田伸郎)

左:この春お納めしたオフィス物件、役員会議室用の収納家具 右上:上の段は天井からの配線スペース等に利用、扉はキャッチで取り外しが可能です 右下:素材選びと塗装色、仕上がりは慎重に吟味して進めます
左上:本体と天井のスペースを調整するパーツ。現場で削り合わせをして取り付けます 右上:開口部、奥の上面には照明器具取り付け用の凹みと配線用の穴加工 左下:塗装前の仮組み確認 右下:天地に長い扉には、六角レンチで反りを調整するステーを埋め込んであります