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ロサンゼルス山火事と有名建築の安否
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2023.5.1 DESIGNER
ミラノデザインウィークのカーイベント
4年ぶりにミラノへ行きました。フィエラ会場で開催されたミラノサローネ、国際家具見本市と照明展、市内のフォーリサローネなど今年はコロナ禍明けのイベントが行われていました。今年のフィエラ会場の国際家具見本市や照明展は出展会社の減少で会場区分けが変化して少し寂しい感じでしたが、市内会場はブレラエリアを中心に盛り上がりを見せていました。毎回、楽しみにしているのは市内の家具のデザインイベントだけでなく車メーカーのイベントです。同行の女性スタッフは全く興味をそそられなかったみたいですが、車好きな私は毎年楽しみにしていました。
今年も日本のレクサスや世界の車メーカーがコンセプトカーや新型車を展示していました。有名家具ショップが集まるブレラ地区ではイタリア本国しか販売されなくなったランチアが「Lancia Pu+Ra HPE」のカッシーナとのコンセプトカーを展示、ミラノで最も高級ブランドが集まるモンテナポレオーネ通りではBMWやアウディがデザイン展示だけでなく、道沿いに新型車をパーキングしているように停車展示をしています。BMWでは「ハウスオブBMW」として中庭に1973年3.0CLSのフロントマスクをモチーフにしたアート展示を行い、室内では持続可能とラグジュアリーの調和をテーマに、環境に優しいインテリア素材の展示、道路には2023モデルのXMを停車させていました。本国でも珍しいイカついデザインのXMは目を引いていました。
アウディはモンテナポレオーネ通りに電気自動車アウディQ8 e-tronの展示、その近くのコルソ・ヴェネツィアのクアドリラテロ広場にあるアウディ・ハウス・オブ・プログレスではデザイナーのガブリエレ・キアヴェによるインスタレーション「ドミノ・アクト」をテーマにアウディ・スカイスフィアのコンセプトカーを展示するなどデザインに力を入れて多くの人を集めていました。アウディも持続可能性の概念を芸術的に再解釈したテーマで、BMWと同様、環境とデザインがテーマになっています。アウディのオープニングパーティではクラブ化した広場に多くの人を集めていたようです。アウディもBMWも環境的な展示もありますが、どちらもスタイリッシュなコンセプトカーをメインにしてワクワクするような見せ方をしていました。日本では若者の車離れが進んでいますが、こういった楽しめるイベントがあれば、車好きの若者も増えると思うのですが、、。
こういった見せ方は日本のレクサスが最初でレクサスのデザインイメージを全面に出したイベントで多くの人を集めていました。今年、日本のレクサスはトルトナ地区での展示はありましたが、レクサスデザインアワード展示は環境に配慮した作品がメインで、コンセプト展示は少し寂しい展示でした。欧米の人達はデザインに敏感で、禅の世界は認識していますが、スタイリッシュな禅が好きで、チープな世界観は理解されません。車のデザインコンセプトを見せる方法は大変だとは思いますが、ミラノで集客していた頃のレクサスの展示は禅の世界観を感じるスタイリッシュな展示だったので、集客力があったように思います。しかし、本当の千利休の茶室の狭さではなく、枯山水の石庭の龍安寺ような世界観が一般欧米人に受け入れられていたように思います。レクサスの展示を見ていてニッポン頑張れ!と叫びそうになりました。
その近くのフランスのプジョーがEVをレーシングカー展示で見せるコンセプトカーの方がワクワクしました。日本でもコロナ禍前にモーターレーシングのF-1のレッドブルが市内を走らせた時には多くの人を集めていました。今は持続可能性の環境面だけの我慢する過ごし方ではなく、生活を楽しみながら持続可能な社会を作る事が必要な気がしました。4年ぶりのヨーロッパ旅行はコロナ禍で心配しましたが、ミラノへ入った瞬間、マスクしている方が恥ずかしく出来なくなりました。久しぶりのマスク無し行動では本当に楽で自然に歩ける喜びがありました。怖がっていても前には進めません。世界に旅立ちましょう!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)
2023.3.31 DESIGNER
建築インテリア写真の基本
AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.142
取材や視察では沢山の写真を撮影します。今はデジタルカメラだけでなくスマートフォンカメラの撮影が普通になり、撮影する枚数も飛躍的に多くなりました。20年以上前はフィルムカメラで最大36枚撮りで、フィルム代、現像代や紙焼き代が安くないので、シャッターを押すときにも本当に必要な写真かを考え、カメラのシャッタスピードや絞りを調整しながら慎重に撮影していました。いつのまにかデジタルカメラが普通になり枚数を気にせず写真が撮れるようになりました。また、スマートフォンのカメラ機能も高性能になりデジタルカメラよりも良く見える写真が撮影できるようになり撮影枚数が多くなってしまいます。
2月に訪問したアメリカ西海岸建築ツアーは取材目的もあり、デジタル一眼レフとiPhoneの両方で三千枚を越える写真を撮影しました。枚数が撮れるようになって困るのが、ベストカットを選ぶ事と訪問した建築の中を歩くように見やすい順に並べる事です。写真の順番は撮影した順でいいのでは?と思われるかもしれませんが、歩ける順が通常通りで無かったり、お客様と一緒のツアーの場合は前だけでなく、逆方向からの撮影は最後にしたり、撮れなかった場所を後で撮る事もあります。また、当社の建築ツアーのように2班になる場合は、1班で撮影して撮り忘れや構図が悪い場合は2班で撮り直します。セミナーでお見せする時はピントの合った構図の良い写真だけでなく、建物アプローチから玄関、リビングからダイニングへ部屋順に見せる事も大切になるので、これに一番時間がかかります。
取材出張では撮影から帰ったホテルで毎晩、ノートPCにデータを入れフォルダ分けと写真の確認まではしますが、順番にするまではできません。帰国して記憶を辿りながらフォルダ内の写真全部を見ながら、カードゲームのように並べ替えていきます。当然、写真のピントが合っているか、構図は綺麗かなども考慮して選びますが、数百枚の写真の中から順番通りに並べるのは、記憶をたどるしかなく本当に時間がかかります。それと同時に行うのが写真の編集です。インテリア建築写真の基本となる水平垂直に気をつけながら撮影はしてますが、取材は時間制限のある中、歩きながらシャッターを押す為に多少の曲がりは仕方がありません。気をつける事はパース図と同じように空間の高さの中心くらいにカメラレンズがくるように高さを抑えてカメラを水平に構えます。なにより一番大切なのはピントが合っている写真にする為、脇をしめてブレないようにシャッターを押す事です。
私のインテリア写真撮り方セミナーに参加の方はご存知だと思いますが、写真はピントさえ合っていれば多少のパースの修正や濃淡の補正は可能で、PhotoshopなどのPC用の写真編集ソフトだけでなくスマートフォンに付属している無料ソフトでも補正は簡単にする事ができます。最近ではiPhoneなどスマートフォンのカメラ機能が進化して見やすい写真に自動的に色補正をして撮影ができるようになりました。しかし、気をつけないといけないのが、スマートフォンの画面で見やすく良く見えるような味付けになっていて、多くの場合メリハリが強い写真になっている事です。それは雲のある空の風景を撮影すると分かりますが、メリハリがありドラマチックな写真になり自分が上手になったように思う事です。また、綺麗に見える写真でもパソコンに入れて原寸大で見ると画像が荒い事も認識する必要がります。スマートフォンの明るい小さい画面の綺麗さに騙されています。
デジタル一眼レフカメラとiPhoneの両方で撮影する事はあまりありませんが、一眼レフで撮影してもう少し広い画面や逆光が強すぎる場合はiPhoneでも撮影するようにしています。今回は新しいiPhone14にして建築ツアーの写真を撮影しました。帰国して両方の写真を整理して編集したのですが、現地でパッと見た目はiPhone14の画面で見える写真は綺麗で、こちらの方が良いかもと思っていました。写真編集しながら困ったのが、デジタル一眼の写真に比べ濃淡がはっきりしすぎで色も少し記憶と違う事です。デジタル一眼の写真データは甘く見えていた画像はPC画面で見るとナチュラルな光と色で、ピントも細部まで綺麗に合っています。拡大すると分かるのですが、デジタル一眼の写真データ解像度が高いのが分かります。スマートフォンは小さなレンズと画像を受ける撮像素子が小さいので仕方がありません。
今はスマートフォンの手軽さは生活の一部にもなっています。この時期に淡い桜の花を撮影するには、メリハリのあるとても良い写真が撮れます。しかし、デジタルカメラも細部まで綺麗にナチュラルな写真が撮れる事も忘れてはいけません。写真に興味のある方は使い分けをされると良いかと思います。あと、スマートフォンカメラの撮影で一番重要なのはレンズの汚れです。スマートフォンの面で、むき出しになっているレンズは汚れています。これは最近主流になっているノートブックの付属カメラも同じで開け閉めする時に指紋がついて雲がかかったように見えるますので注意しましょう。今年もまたインテリア写真の撮り方セミナーを開催しようと思っています。お楽しみに!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)
2023.2.27 DESIGNER
街の移り変わり
AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.141
先日、ロサンゼルスへ西海岸ツアーの引率として2週間行ってきました。晴天続きのカリフォルニアらしい天気が続きましたが、前半の1週間は最高気温24度とちょうど良い暖かさでしたが、後半は最高気温14度と急降下。ロサンゼルスというと冬の無い暖かい場所と思われますが意外と冬は寒いんです。それでも真冬の東京よりは暖かいんですが、、。ロサンゼルスは午前中は寒流のせいで午前中は雲が多く、午後から晴れる事が多いのですが、今回はずっと晴れ渡った日が続き、気温の急激な変化はありましたが、旅行には恵まれた天候でした。
気温の変化で体調を崩したのか急病になり、ソーテルのクリニックに行く事になりました。ソーテルはリトル大阪と言われる街でサンタモニカにも近く、カタログ撮影の時には焼肉や鍋を食べに行く街です。行き慣れた街にあるクリニックは1962年からロサンゼルスに住む横浜山手出身の日本人老ドクターが院長で、同じ横浜中区ということもあり話が弾みました。なんでロスに来ているの?と聞かれ、建築ツアーでロサンゼルスの建物とインテリアを見にきていて、20年近く続けている事を話しました。老ドクターは不思議そうな顔をして、60年この街を見ているけど、この20年間この街は変わっていないし、何か見るものがあるのか?日本の方がよほど変わっていて見るものがあるだろうと。たしかに、グリフィス天文台から見下ろすロサンゼルスの街並みは20年前から変わっているように見えませんでした。たしかに、アメリカの販売される住宅の70%以上がリノベーションで、ロサンゼルスでは目立つ新しい高層ビルも建ってはいません。
今回、ダウンタウンのアップル社が劇場をリノベーションしたアップルシアターと、その近くにあるウォルトディズニーコサートホールの前に新しく完成した、The Grand LAのコンラッドホテルの見学をする事ができました。建築では新旧の両極にあるような建物で、両方の有り方を同日に感じる事がありました。アップルシアターは昨年のコラムにも書きましたが、LAのダウンタウンの大規模都市再生のプロジェクトとしてアップル社が参加し、1926年に建てられ1988年から閉鎖されていた劇場を2018年に買収し2021年までに耐震を含む構造改修を行いアップルストアとしてオープンさせました。そのアップルシアターを含むビルにはスニーカーブランドのVANSの旗艦店も入居しました。近くには2014年にエースホテルが1927年に建てられたビルをオープンさせています。このエリアは1920年代のアール・デコ様式のビルが多く残るエリアで、アール・デコを代表するイースタンビルも健在で数年前に、デパートからアパートメントビルとして再生されました。今回訪問したエリアには多くの閉鎖されていた1920年代のアール・デコ時代のビルが改修を待っていました。
一方、ダウンタウンエリアには1960年代から再開発された場所(ロス疑惑事件の場所・若い方は知りませんが)があり、1695年に完成したロサンゼルス水道電力局の本部ジョン・フェラーロビル以降、様々な新しい建物が作られました。近くには1986年完成の磯崎新設計のMOCA現代美術館、2008年完成のフランク・ゲイリー設計のウォルトディズニーコンサートホール、2015年完成の現代アート美術館ザ・ブロードが並びます。昨年、ウォルトディズニーコンサートホールの向かいに、ゲイリー設計のショップとホテルとコンドミニアムのある複合建築のThe Grand LA完成し、新建築好きな人にはたまらないエリアになっています。2008年にディズニーコンサートホールでカタログ撮影した時には前が更地で何が出来るんだろうと思っていましたが、まさかフランク・ゲイリー設計の複合施設が出来るとは、、。今回、コンラッドホテルの建築ツアーを受け入れてくれる事になり訪問しました。この場所は24年かけて開発され、ホテルはフランク・ゲイリー設計の建物とタラ・バーナード& パートナーズのインテリア設計で2022年6月に完成しました。訪問した時にはまだエントランスが工事中で完全完成が待たれるところでした。
ロスのダウンタウンでは古いオフィスや商業施設ビルを改修して住居が作られ、車を使用しなくても生活できるようなスタイルが増えつつあるようです。建築価値のある1920年代の建物を利用した街全体の再開発、新しい建物の建つエリアでは既存に無いデザインの建築などを分けて建築計画が進められている事や、改修工事や新築についても計画や工期に年数がかかるために、街の変化がゆっくりで、街の変化が無いように感じるのかもしれません。ロサンゼルスからの帰国の機内から見える東京の街並みを見ながら、東京の高層ビル化の街並みの変化に老医師の言葉を思い出していました。今回のロサンゼルスの建築取材は夏のセミナーでお届けする予定です。お楽しみに!
(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)
2023.1.30 DESIGNER
ハイエンド住宅のインテリア
AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.140
2023年もひと月が経ち、寒さが厳しくなってきました。今年は10年に一度の寒さという事で日本海側の大雪など被害が続いていますが、皆さんお元気でお過ごしでしょうか。こう寒いとアメリカ西海岸の暖かい晴れた天気が恋しくなってきます。今年の12月から1月のロサンゼルスは大雨続きで、いつもの山火事被害の代わりに雨の被害があったそうです。1月末になり晴れる日が多くなり、乾燥した大地に青々とした草木が見られるそうです。1月はじめに開催したWebセミナーアメリカ西海岸建築レポートVol.24は無事終了しましたが、今まで開催した西海岸セミナーの中でも最高額の住宅案内に反響が高く、途中参加の方からは再演と望む声も多く寄せられました。
そのアメリカ西海岸建築レポートVol.24の内容を少しお見せしたいと思います。販売方法は前回のコラムで書いたので、今回は家の事をお話しします。販売住宅のオープンルームの取材は初めてで、ハイエンドと言われるベルエアに建つ住宅取材も久しぶりでした。アメリカのオープンハウスの多くが火曜と日曜の二日間だけなのでタイミング良く滞在していた事もあり、見る事が出来ました。なぜ火曜で、時間も11時から14時までの3時間だけで、期間は3週間が通常とのこと。なぜこの時間なのかは、聞くのを忘れたのですが、この短い時間に販売する相手の訪問があるのか、ここまで高額な不動産を契約出来るのかが疑問でした。
オープンハウスに入っても、A4ペラの情報を渡されるだけで、別に案内する様子もありません。ところ所にはスタッフらしき人もいますが、動作方法を説明するくらいで、気さくな感じで話しかけはしますが、ついて回る事はしません。私自身がそんな物件を購入する人に見えないのかもと、Tシャツとデニム、スニーカー姿を後悔しましたが、お金持ちそうな人でも同じ感じで、自由に見せていました。こちらは取材の事を話しをして、一眼レフカメラと動画はNGと言われ、iPhoneで撮る事になりました。iPhoneでのインテリア撮影セミナーをしてるので、写真には自信はありましたが、取材時は一眼レフで撮影していたので少し心配でした。しかし、PCに落として見た時に驚いたのはiPhoneで撮影した写真の方がメリハリがあり綺麗に撮れていた事です、、。
数十億円レベルになると、来場者はベルエアの近所に住む人か、不動産の仲介業者がオーナーに依頼されて来ているかと言う感じで、購入希望者が実際に見にくる事は少ないようです。このベルエアのオープンハウス前に見たハリウッドの500万ドルの家の方が来場者多く、購入希望者が見にきている様子でした。少ない来場者なのもあり、優雅な音楽が流れる家の中を誰にも邪魔をされずに見る事が出来ました。音楽が全ての部屋やプールのあるテラスに流れている理由はスピーカーが部屋の天井、テラスの天井にもある事で、ホテルのように緊急放送が出来るようになっているのもかもとも思いました。A4の資料にはベッド数とバスルームの数、建物の床面積がメインに掲載され、次に土地の広さ、床面面積単価の表示があり、平面図の記載が無いのと、建物の床面積の方が重要なんだなと思いました。
訪問した最初のオープンハウスはアメリカンハウスで、3,695万ドル日本円で約48億円。7ベッドルーム8バスルームがある1938年建築を2022年にリノベーションされた家です。767平方メートル(232坪)の床面積の家で土地は2,387坪あり、建物の単価は1平米625万円のプライスです。このクラスの家を見るのは初めてで緊張しました。磨き上げられたフローリングの床を歩くだけでも最初は緊張しましたが、自由に歩いてねと言われたのですが、平面図が無い大きなお屋敷を歩くのは一苦労で、とりあえず、フォーマルリビングから始まり、フォーマルダイニング、キッチン、寝室へと歩きます。これは今までの住宅の取材時にオーナーに案内していただいた経験が役に立ちました。1938年の住宅を完璧にリノベーションして仕上げるには相当な経費がかかったのは想像が出来ました。日本庭園のある庭は本当に広く歩くだけでも良い運動になりました。
次の家は隣にある2022年新築のモダンハウス、7ベッドルームの11バスルームで4250万ドル、約55億円。建築家ゾルタン・パリの設計によって2022年に建てられてました。1,565平方メートル(474坪)の床面積の家で土地は1,045坪です。建物の単価は1平米352万円です。ブロンズパネルが使われた外壁の建物を入り、資料見ながら、先ほどの家の土地面積が2,387坪なので半分以下なのに価格は1.2倍とは土地の金額は住宅の価格に影響は無いのかなと不思議に思いリビングに進みました。フレンチウォールナットの優しいブラウン色のフローリングが使用された部屋が続き、モダン家具が並ぶ広い部屋はどこからでも光が入る明るい空間で、カノンが流れる空間を体が浮遊するように進みました。インフィニティープールはもちろん、地下のメディアルームまで手抜きの無い作り込みです。なんとなく、和の印象を受ける部屋の作りは今のアッパー層の和に対する認識の高さへ働きかける手法かなとも思いました。
どちらのオープンハウスも素晴らしい家でしたが、少し疲れました。年間の税金や電気代の事を考えるといったいいくらの年収が必要なんだろうと、、。そんな事を考える人はこのクラスの家には住めませんね。これらのオープンハウスを歩いて思ったのはインテリアが本当に大切なんだなと。2月にまたロスへ取材に行ってきます。また夏には新しい情報をお届けできればと思います。お楽しみに!
(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)
2022.12.23 DESIGNER
ロサンゼルス住宅のハイエンドとは
AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.139
今年も終わろうとしています。寒さも増し白い息が目立つようになってきました。皆さんにとってどんな一年だったでしょうか。私自身は久しぶりの海外取材に行く事が出来ましたが、来年早々のアメリカ西海岸セミナー用のために、久しぶりに大量の写真編集に追われています。今回は9月にアメリカで2年半ぶりに取材した13件の中から、不動産販売のオープンハウスの3件と不動産仲介会社事務所での模様をお届けします。今まで、実際に使われている住居やオフィスの取材は2百件以上してきましたが、販売目的のオープンハウスを取材したは初めてです。それも今まで取材してきた中で規模も金額も最高額で、ベルエアのマンションというレベルは初めてでした。
撮影でお世話になっているウエストハリウッド在住のYASUKOさんが住宅を売りに出すために、依頼されている不動産仲介会社に取材に行き販売手法を聞きました。そこは2011年に設立したアメリカ最高級不動産会社で、現在では6兆円以上の取引をする企業になりました。その設立メンバーの1人のブレアさんという方は、YASUKOさんがファッション写真のプロデュースをしていた時にモデルで何度か仕事を依頼した事があり、その後、インテリア業や不動産業をされ今の会社を設立しました。その関係でYASUKOさんも自宅の販売を彼に任せる事になりました。ビバリーヒルズのオフィスを訪れましたが、ビバリーヒルズコップの映画の舞台になった市庁舎から近く、グーグル社も入っている新しいビルのワンフロアのオフィスでした。
その不動産仲介会社は、個人で不動産業を営んでいる人が登録する会社で、世界に30を越えるオフィスがあり、事務所スペースの提供や個人と物件のホームページ掲載や、不動産の写真や動画の撮影などの環境提供がされ、個人では取引できない高額な信用保証など、高額物件での販売に必要な条件が備わっていて、現在でもエージェントの数が増え続けています。インタビューした中で、そうだなと思ったのは、高額物件を販売する為の工夫で、今までは家をそのままの状態で販売をするか素材のみ新しく改装して、不動産情報誌やネットに掲載する中古住宅の売り方だったのを、インテリアをデコレーターに依頼し、プロのカメラマンでの撮影を行い、ネット掲載はもちろんですが、物件によってはハードカバーのパンフレットを作成して、イメージで付加価値を高める事をしている事でした。
その不動産仲介会社は、彼がモデル時に登録していたモデルエージェンシーのようなスタイルで、モデルの付加価値を高めるためにプロのカメラマンに撮影するなどその頃の経験が生かされているようでした。それだけ、高額物件になると実入りも大きいが、そのためにも手間を惜しまないという事なんでしょう。不動産仲介での様々な手法の中で一番大切な事はなんですか?と聞くと、信用はもちろん一番大切だが、お客様の物件をより良く見えるように価値をつける事が大切で、それをPRする写真が重要との事で、ホームページ上の写真も静止画から動画で見せるようになりイメージ撮影などもとても大切になっていると。高額物件を欲しがるユーザーに対してのテイストや見せ方に柔軟に変化させる事も重要との事でした。やはり高額な物を販売するためには様々な努力が必要なんですね。
今回、1月のセミナーでお見せするのは、彼の仲介する不動産では比較的低価格の5億円の1920年代のアメリカン住宅。今まで取材した住宅の最高額になる60億のベルエアのモダン住宅までの3軒をお届けいたします。2軒がリノベーションされた物件で1軒は新築物件です。どれもインテリアデコレーションは完璧です。今のロサンゼルスで取引されている初夢のようなハイエンド不動産物件をご覧になりませんか。お楽しみに!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)