COLUMN

2013.11.29 DESIGN

エーディコアのスタッフウェア

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.18
僕がまだ若かりし頃(かれこれ20数年前)、目白(住所としては下落合)にあるアウトドアショップに時々通っていました。目白通りから1本入った、閑静な住宅地にある「パタゴニア」というこぢんまりとしたお店です。当時、このブランドのコンセプトにいたく感心し、日本で初めて出店した目白1号店を探し当て、ちょくちょく通っていました。

当時、フェアトレードやリサイクルなんて言葉がまだ浸透していない時代、このブランドは徹底したユーザー指向と環境に配慮したモノ作りを追求していました。店内は、荒々しい仕上げの無垢材のフローリングで本気モードのウェアやツールがディスプレイしてありましたが。価格が高くて中々買えませんでしたが、それでも少しずつ購入して使い倒してきました。今も同じ場所にお店があります。今は歩いて5分くらいのところに住んでいるので、買う気もないのに時々お店を覗いてます。

今年、AD  CORE のスタッフウェアを、パタゴニアに依頼して揃えました。夏用のポロシャツと冬用のジャケットです。ブランド別にサンプルを用意し、全社会議でプレゼンテーションをして投票して決めたのですが、ほぼ全員一致で「パタゴニア」製品に決まりました。真夏の梱包作業に、寒風吹きすさぶ冬の納品時に、タフなスタッフウェアとして活躍してくれそうです。(エーディコア・ディバイズ 企画開発/武田伸郎)

弊社スタッフ着用の冬用ジャケット。

2013.10.30 DESIGN

ポップアートと美術鑑賞

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.17
先日、新国立美術館で開催されていたアメリカン・ポップ・アート展を見てきました。悪天候にもかかわらず大変なにぎわいで、人気の高さを感じました。今回の展示は、ポップアートの総明期からアートシーンに貢献してきたパワーズ夫妻のコレクションを公開するもので、60年代のポップアート最盛期の作品をこれだけ展示するのは日本では初めて。ウォーホールの代表作「200個のキャンベルスープ缶」をはじめ、ポップアートの巨匠たちの作品が多数展示されていました。

アメリカン・ポップアートは、アメリカ西海岸でカタログ撮影を行うようになり、その存在や価値をよく知るようになりました。LACMA(ロサンゼルスカウンティ美術館)にも脚を運び、ポップアートの持つパワーをまのあたりにしたのですが、そんな美術館級のポップアートが、カタログ撮影や下見で訪問した邸宅に自然に飾られています。「アート」は、美術館にあるモノではなく「インテリアや生活に自然にあるべきモノ」なのだと教えられたような気がします。ポップアートは画廊ではなく、インテリアショップの一つのファクターとして自然にあるべきものなんだと。加えて感心するのが、オーナーの「アート」に対する造詣の深さ。有名、無名を問わず作品は多岐にわたりますが、価格やネームバリューで飾る意識は全く感じられず、超メジャーな作品と名も無い作品をバッチリ組み合わせるセンスには本当に脱帽です。

今年、カタログ撮影の下見をした邸宅にもウォーホールとリキテンシュタインの2大巨匠の作品が飾られていました。クリーンでモダンな邸宅でしたがポップアートがインテリアにインパクトを与えていました。かたやカタログ撮影を行ったテラソーの床が印象的な邸宅には、村上隆さんや奈良美智さんのアート作品がたくさん飾られていました。親日家のオーナーでしたが、本場アメリカのポップアートに引けを取らないくらい日本のポップアートの評価が高く、コレクションしているのだそうです。日本の家具もポップアートに負けないくらい評価されるようにがんばりたいですね。
(エーディコア・ディバイズ 企画開発/武田伸郎)

アメリカン・ポップ・アートの2大巨匠、ウォーホールとリキテンシュタインの作品。
リビングに鎮座する奈良さんの巨大な犬のオブジェ!!

2013.9.30 DESIGN

夏の終わりと夕暮れのライブハウス。

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.16
ようやく秋めいてきた今日この頃、週末に上野のライブハウスのメンテナンスに行って参りました。JAZZを中心にライブを開催する大人の雰囲気のライブハウスです。窓際のカウンター席からは不忍池が一望できます。椅子を納品してから10年近く経つでしょうか、僕が補修に来るのも4度目になります。

JAZZといってもそこはライブハウス、ノリのいい曲ではそれなりの負荷が掛かるのでしょう、随所にゆるみが生じています。一度バラして交換が必要なパーツは交換し、椅子の奥にたまったほこりを取り除いて、しっかりくみ上げます。すり減った脚先のパーツも交換。張り地や木部にはかなり使い込まれた感はありますが、定期的にメンテナンスしているのでまだまだしっかりしています。依頼をいただいた椅子以外も、全品チェックしてゆるみのあるものはメンテナンスを施しました。ライブハウスのステージをお借りして作業を進めたのですが、照明がスポットライトしかなく手元が暗くて意外に時間が掛かってしまいました。作業終了後、お店のマスターとお話ししたのですが、「このお店に椅子を納品した現在イタリア在住の元担当者が、知人がライブに出演するためお店にやってきた」なんてお話も伺いました。長いおつきあいになるので色んなご縁があります。

お店を出るのと入れ違いに今日の出演者がリハーサルのためご来店。若い女性の方にマスターが「今日の演奏は〜さんだから大丈夫!」なんて声を掛けていました。きっと素敵なライブになるんでしょうね。外に出るとすっかり日が暮れて、不忍池からきれいな夕焼けが見えました。
(エーディコア・ディバイズ 企画開発/武田伸郎)

ステージ上でスポットライトを浴びながらメンテナンス中のFESTA。
夏の終わりの夕焼けです。

2013.8.28 DESIGN

お店の椅子が気になります。

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.15
職業柄、店舗やお店に入った時に店内の家具や調度品が気になる事があります。中でも椅子はデザインや座り心地など特に気になるアイテム。デザインはもちろんですが、座り心地やお店の内装や雰囲気にマッチしているかどうかも大切ですよね。

先日、河口湖近辺の「ほうとう」のお店に行った時の事。「ほうとう」がメインメニューの老舗店で、店舗はいくつかあるのですが僕が入ったのは最近オープンした新しいお店。不思議な外観で真夏の暑い最中でしたが、お店はとても繁盛していました。外観も目を引きますが、店内で気になったのが使われている椅子です。一つは曲線を活かした黒いスチールパイプの椅子。スチールパイプとソリッドの木材を削り込んで組んだ椅子ですが、木の椅子にありがちな固い当りが無く座り心地も良好で溶接もきれいです。もう一つが、針葉樹のフレームに「い草」の座面を使用したハイバックベンチ。そぼくなハンドメイドっぽいベンチに見えますが非常に精緻に作られていました。

針葉樹は手触りが柔らいのですが、素材自体も柔らかく伸縮も大きいので細かい加工には向かない強度を出し難い材料です。あまり家具には針葉樹を使いません。巷にある針葉樹の椅子等は大工さんが作ったような粗い作りになりがちです。強度を出すためにごつい部材を使って金物や木ネジ、補強材をふんだんに使って強度を出す方法を取ります。しかしこのお店のベンチは、ミニマムな部材を使い、いたってシンプルで金物等が露出しているところがありません。仕口もきれいです。デザインは素朴ですが、角度や曲線を用い脚部には細い挽きモノ(棒状の部材)まで使っています。よく見てさらに驚いたのですが、背の曲線状の格子パーツが成型合板でした。このベンチ用に型を作ってプレスしたのでしょうか・・・。座り心地も良く、シンプルな構造で軽量なので耐久性もあると思いました。

最近は飲食店で使われる椅子やテーブルのコストも厳しい場合が多くなり、家具のセレクトも悩ましいところです。でも、今回のお店のように特に高級でもなくグレード(お値段?)の高いお店でなくても、椅子や家具に時間とコストを掛けているお店があるんですね。これからも、気になるお店や家具の情報を見つけたら皆様にご紹介したいと思います。
(エーディコア・ディバイズ 企画開発/武田伸郎)

お店で使われていたハイバックのベンチとスチールパイプの椅子。
不思議な外観(他のお店は田舎屋風の店舗です)と、名物のほうとうです。

2013.7.30 DESIGN

イメージを伝える難しさ

AD CORE DEVISE DESIGN BLOG Vol.14
あるイメージを第三者に伝える事って難しい時がありますよね。それは形だったり固さだったり、匂いだったりもします。身の回りにある、例えば誰でも知っているモノを参考に伝えたとしてもそれを具体的に具現化することが非常に難しい時があります。

先日試作を進めていた「鉄の色」で、大変な苦労をしました。イメージは塗装によって鉄の素材感が消えてしまわない色。それは亜鉛メッキの電柱だったりロートアイアンの門扉だったり、ヴィンテージ風のメッキ仕上げだったり。スチール加工を請け負う工場の方にも、塗装屋さんにもなかなか分かってもらえません。自分自身のイメージがぶれていてキチンと伝えられないのです。そんな状態ですから、第三者に何とかして伝えるためには「これ!!」と、そのものズバリを提示しないといけない訳ですが、そういうものが中々有りません。そこでディレクターの瀬戸から出た案が「プラモデルの塗料」。子供の頃、戦車や戦闘機を塗ってたいわいる「ガンメタ色」です。グレーの濃淡の中にも、何ともいえない鉄の質感が感じられるあの色です。プラモデルの塗料を買い込み、いくつかのバリエーションをサンプルに塗り込んで検証しました。捌け塗りしたそのサンプルは、塗装の見本帳にはない何ともいえない表情がありました。後日、そのサンプルを塗装屋さんに伝えて、試作を仕上げてもらいました。

何事も、様々なイメージを駆使して試してみない事にはありきたりのものしか出来ませんよね。試作品は、刷毛塗りの質感溢れるガンメタ仕上げとはいきませんでしたが、有り体の工業用の塗装サンプルとは違った仕上りになったと思います。
(エーディコア・ディバイズ 企画開発/武田伸郎)

懐かしのプラモデル塗料。昔とちょっと匂いが違います。
鉄色塗装、あれこれ。