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2019.09.30|

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見ると聞くとは大違い

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.101 9月初めにロサンゼルスでカタログ撮影を行ってきました。今回も40フィートコンテナ満載で送った製品を住宅に持ち込んでのロケーション撮影です。今年も空港からレンタカーを借りて、倉庫と市内を往復しながらの撮影準備から始まり、カメラマンのドミニックさんや、プロデューサーYasukoさんの家の修繕を手がける南米人のラオールさんにトラックの運転や作業員を手配してもらったり、今回も気心の知れた撮影部隊です。今回の撮影は天気が良すぎて強い日差しが大変でしたが、良い写真が沢山撮れました。 撮影が終わっての予備日に新カタログのヒントはないかと、ロサンゼルス市内を回ってきました。その一つとして話題のアボットキニー通りに行ってきました。今まで何回か車で通った事はありますが歩いたことはありませんでした。最近、日本の芸能人の多くがインスタに上げて全米一お洒落な街として紹介されていているので、実際に見なければと歩く事にしました。アボットキニー通りは近くにある運河の住宅街ベニスを作ったイタリア人不動産家のアボット・キニーの名前をつけられています。数年前に近くのローズアヴェニューにグーグル社が移転し、多くのIT会社のLA支社が置かれ若者に人気の街になりました。そうした年収の高いIT関連の人たちが住むようになり、不動産が高騰して普通の人が住めない街にもなっています。 今回の撮影でもお世話になったYasukoさんの親しいフォトグラファーで、グッチなどのファッション広告写真で有名なグレン・リッチフォードさん所有のローズホテルが近くにあり、そこに行くのに何回か通った事のあるエリアですが、そんなに全米一お洒落な通りだったっけ?と車を走らせ向かいました。ウィークデーだったのですが、車が通りに入ると渋滞して駐車場も混んでいます。土日でもないのに、なんでこんなに人がいるの?という感じです。実際に通りを歩くと、小さなお店ばかりで海の家のような簡易的な作りの店ばかりで、色使いや置いている洋服は20代中心で、大人のお店は見当たりません。私のような年齢層には少し居心地が悪く感じます。道には軽食を売るフードトラックが片側にずっと並んでいて、食べ歩きの食べ物が落とされた汚れた道にいろいろな食べ物の匂いが漂います。 雰囲気的にはロサンゼルスのファッションストリートで有名なメルローズ通りをもっとカジュアルにした感じで、年齢層の割には価格が高く、観光客かお金持ちの若者しか購入できない価格帯のお店が多く感じました。メイドインアメリカを前面に出しているお店が多いのも観光客向けの印象を受けます。大人の私にはダウンタウン近くのアートディストリクトや、メルローズ通り、ショッピングモールのグローブの方が大人の感じで居心地が良く感じます。歩いている人も若い人ばかりのように思いました。最近では簡単に発信できるツールが多く、その情報を小さな画面で見るために、実際より盛られて見せられます。しかも、自分が行ったように感じるので、その情報を本当だと思ってしまいます。芸能人がUPしていた画像の壁も切り取られているので、お洒落に見えますが、実際の場所はそんなに綺麗ではありません。 「見ると聞くとは大違い」と言いますが、今では「スマホで見るのと自分で見るのは大違い」と言う事が多く感じ、流行も発信が多い若者の話が主流になっているように感じます。しかし、ストリートファッションは終焉を迎え、ファストファッションも世界的に衰退をしてきました。その時代、当社の2020年モデルは大人の方に長く使っていただけるようなデザインと品質を目指しました。11月20日から始まる新作展示会には新カタログのお披露目もいたしますので、お楽しみに!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2019.08.30|

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続ける事が成長

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.100 今回のブログで100回目になります。現在のホームページデザインになり100回目のブログですが、その前からのメルマガを合わせると200回くらい続けていると思います。何事もそうですが、コツコツ続けいる事は気がつくと大変な数になっています。お客様から「ブログ見ています」とか、「ずっとプリントして取っています」など言われると励みになりここまで続けてこられました。国語や作文の点数が悪かった私なので、書くのは苦手なのですが、次の200回を目指して頑張ります。 先週から始まった写真セミナー「スマートフォンを使ったインテリア写真の撮り方」は、今までのセミナーの中でも一番反響が多く、沢山のお客様においで頂きました。会場と私のスケジュールの関係で増回ができず、お申し込みいただいてもセミナーに来場いただけなかったお客様が沢山いらっしゃいました。大変申し訳ありませんでした。20年以上前にスタートしたミラノサローネレポートでは集客にも苦労しましたが、6年前の休止の会には満席状態と増回をして沢山のお客さまに来ていただきました。他社のミラノサローネレポートが多くなりミラノレポートは休止しましたが、その後はアメリカ西海岸建築レポートは17回になり、素材セミナーや人間工学、家具の製造などのセミナーを続けてきました。この20年で開催したセミナーは100近くになり、講演回数は500回は越えていると思います。 最初は、元来あがり症で声が小さく下手な写真を見せるだけのセミナー内容でしたが、セミナースライド作成や使用する写真撮影はずっと私自身が行い、回数を重ねる毎にスライドは矢印や画像の処理や見せ方など少しずつ進化させ、写真もカメラの進化もあるかと思いますが、綺麗な画像を見せられるようになりました。年間に多い時には50回を越える講演をした時もあった関係で、声も出るようになりました。今では声が心地よいと言われるようになりました。ただ、回数を重ねるだけでなく、毎回、前回よりは良いセミナーをと心に決めていたので、内容も少しずつ進化してきたかなとも思えます。気がつくと57歳なので、成長はもうしないかと思っていましたが、人はまだまだ成長できるものだと実感しています。 社長になってもまだまだデザイナーとセミナーは続けるつもりです。今回の写真セミナーでは私自身が iPhoneで撮影した画像を使用したのですが、何度も来られている方も今までのセミナーの写真が私自身が撮影したものとは知らない方がいらっしゃいました。写真セミナーでも自分自身が撮影してきたから、お話できる事が沢山ありました。その中でも改めて思ったのは基本が大切で、私自身、基本をいつも思い出しているから、少しだけ良い写真が撮れている事です。その基本中の基本がスマートフォンでもレンズの汚れを拭き取るという事でした。コンパクトデジタルカメラでは自動で開閉するレンズカバーがあり、汚れを拭く習慣がありません。一眼レフカメラでもレンズキャップがあるので通常は汚れませんが、スマートフォンなら剥き出しのレンズが汚れない訳がありません。指紋や埃が付いたレンズでピントの合った写真が撮れるはずはありません。 レンズの汚れを拭く、脇を締めて本体が動かないように静かにシャッターを切る。その時は空間に平行にレンズを向ける。そんな基本が綺麗なインテリア写真を撮るコツです。来週からロサンゼルスでのカタログ撮影があります。40フィートコンテナ満載で製品を送っています。今回で7回目の撮影ですが、準備は今まで以上に時間をかけました。良いカタログと写真をお見せできるように頑張らないと、、。現地でまた新しいインテリアの情報を仕入れてきます。お楽しみに!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2019.07.31|

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iPhoneのカメラ機能

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.99 東京ではオリンピック一年前になり試験的な交通規制が行われました。オリンピックメダルのデザインや販売グッズも発表され、オリンピックムードが高まってきました。先月ロケハンに行ったロサンゼルスではダウンタウンからサンタモニカまで走る道に1932年のオリンピックで使われたオリンピックブルーバードがあります。いつも宿泊するウエストハリウッドのホテルからレンタカーで西にある日本人街ソウテルへ車を走らせるのですが、90年近く前のオリンピックを思い出させる名称の道に、日本のオリンピックも100年経ても名残りを残して欲しいなと思います。 撮影に使用する住宅は、空間だけでなく道路事情や搬入経路まで見て撮影場所を決めます。最近では現地で撮影した写真を送ってもらい、ある程度決めて現地に向かうのですが、実際に行くと写真と随分イメージが違っている事があります。一番多いのが、かなりの広角レンズで撮られた写真で、実際の部屋は狭くカメラを設置する場所が取れない事です。撮影ではある程度の引きのスペースが必要となります。今回も慣れたデジタル一眼レフを使いながらロケハンの場所で1500枚以上撮影しました。これは撮影でも使用するカメラに近い画角のレンズを使っての画面チェックもありますが、西海岸レポートで使用する事もあり、より高解像度の写真を撮るためです。 数年前まではロケハン以外でも一眼レフを使って撮影する事が多かったのですが、最近は街に出るとiPhoneを使っての撮影だけで、4月に行ったミラノでも使ったのはiPhoneだけでした。iPhoneのカメラ機能がどんどん進化して、コンパクトデジタルカメラを凌駕するほどの解像度になり、2年くらい前のコンパクトデジタルカメラなら今のiPhone8でも同等以上の写真を撮る事ができます。また、iPhone自体で行える画像処理もかなり可能になりました。インスタグラム用に使われる写真に代表されるように、写真は加工するものという認識に変わっています。前回のブログで使用したホテルのインテリアの写真もiPhoneでのスナップショットですが、この数年、私のブログ用の写真はiPhoneで撮影したものを使用しています。 最新のiPhoneで撮影すれば良い写真が撮れるという訳ではありません。私のレポート写真も高い一眼レフを使っているから良い写真が撮れるんですか?とよく聞かれますが、どんな機材を使っても、撮影の基本が分かっていなければ良い写真は撮れませんし、それが分かっていれば、どんなカメラでも良い写真は撮れます。今のiPhoneではそこそこの写真が間違いなく撮る事ができます。しかし、写真は撮影する用途によって撮り方が違います。建築インテリア写真、物の写真、人の写真、インスタグラム用など、用途によって撮り方が違います。建築やインテリア写真は水平垂直が基本で、透視図法と同じで消失点の水平ラインが重要です。物やインスタ用の写真は画面の中心に主となる物を置く事が多くありますが、中心に置けば良いという訳ではありません。インスタグラム用の正方形の写真が多くなり、新しいバランス感というよりもインスタ映えと言われるようにハッキリした色の写真が映えるように感じます。 少しの理解とコツで写真が変わります。お盆休み明けにiPhoneを使ったインテリア写真の撮り方セミナーを開催します。私自身、大学時代にフィルムカメラの授業でしか習った事はなく、偉そうな事は言えませんが、プロでない分、ちょっとしたコツをお教えできるかもしれません。でも、そのちょっとした事がとても大切なんです。お楽しみに!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2019.06.27|

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西海岸インテリアの今

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.98 先週、ロサンゼルスへロケハンに行ってきました。2年に一回のアメリカ西海岸でのカタログ撮影も今回で7回目になります。毎回、西海岸で旬な建物をお借りしての撮影ですが、今回も様々な住宅を見てきました。現地のプロデューサーのYASUKOさんと3日間ロサンゼルスの中心部をレンタカーを運転しながら走り回りました。アメリカのレンタカーにはカーナビが装備されておらず、オプションで頼むと高くて使いにくいカーナビしかありませんでした。しかし、今回のレンタカーは新車で、カーナビを付けなくてもスマホのAppleCarPlayが使用できるので便利でした。 当社では毎年、アメリカ西海岸ツアーでお客様をお連れして住宅やホテルなどをご案内しますが、ロケハンと違って現地に行って良くなかったでは許されないので選定には苦労します。一方、ロケハンではツアーでお見せするための建物と違い、撮影に適した家を探すために違った観点で視察します。インテリアのセンスはとても大切なのですが、スタジオと違うナチュラルな光を大切にし部屋の向きや採光を見ます。また、撮影にもっとも大切なのはカメラからの距離を取れる引きがどれだけあるかです。素敵な空間があってもこの引きがなければ写真は撮れません。今回は20件以上の中から現地に行くまでに7件に絞りロケハンをしてきました。 ロケハンしながら次回のツアーの視察場所の選定も考えて移動します。移動には便利な場所としていつも宿泊するのが、Yasukoさんのお宅から近いウエストハリウッドのホテルです。今はゲイタウンとして有名なエリアですが、昔からミュージシャンやアーティストなどが多く住み、中心にはインテリアショールームが集まるパシフィックデザインセンターがあり、メルローズ通りにはデコレーター通りと言われるくらい、インテリアショップが多く集まっています。その中にあるキンプトン・ラ・ピア・ホテルにランチで立ち寄りました。キンプトン・ラ・ピア・ホテルは昨年1月にオープンしたホテルで、米国のデザイナーズホテルブランド「キンプトン・ホテルズ&レストランツ」の一つです。キンプトン・ホテルズはインターコンチネンタルホテルズグループに2017年に買収されたホテルで、東京にも2020年に進出します。 ウエストハリウッドのキンプトン・ラ・ピア・ホテルのインテリアを手がけたのはアイスランド出身のGulla Jónsdóttir。ロサンゼルスを拠点に建築、インテリアデザインや家具までデザインを手がけた隠れ家的なリゾートホテルで、「芸術、音楽、ファッション、詩、映画、建築の空間的調和」をテーマに作られました。建物の入り口にはモザイクタイルが使われ、様々な素材が使われたインテリアが広がっていました。チェックインカウンターの横にはギャラリースペースがあり、インテリアを飾るアートや壁のウォールアートなど、アートを上手く空間に取り入れています。ラウンジやレストランはナチュラルな素材が使われています。アートとナチュラルな素材を組合せた空間は今のウエストハリウッドスタイルとなのでしょうか。ロスではスタルクのモンドリアンホテルやマルセル・ワンダースのSLSホテルが一斉を風靡しましたが、今はこのスタイルが快適に感じます。 9月にロサンゼルスでの撮影の為に、その家に合わせた塗装色やファブリックを選び、コンテナが出る8月初めまでに製作しなければいけません。また2020年モデルの新作も製作が佳境に入っています。今の旬の空間にも、数十年後の空間にも合う製品になっている事を願って、今日も今から工場へ行ってきます。(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2019.05.31|

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TPOとマナー

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.97 先日、家具について話をする機会がありました。その中で家具のTPOについて話をしました。TPOはTime(時間)Place(場所)Occasion(場合)の頭文字をとり「時と場所、場合に応じた方法・態度・服装等の使い分け」を意味する和製英語で、「VAN」ブランドの創始者・石津謙介氏が作られたと言われています。家具にも洋服と同じように使われる場所によって仕様やデザインが違います。 この仕事を始めた若い頃、お客様だった大先輩のインテリアデザイナーの方々に、椅子についてのTPOをいろいろ教わりました。カフェ用として使える簡単に腰掛けられる物から、長く座れるフォーマルダイニングとしての椅子のデザインと在り方です。クッション性が高く通気性のある素材で無ければ長く座れません。その頃カフェチェアとして座面が合板仕様のトーネットの椅子が日本でもヨーロッパでもカフェで多く使われていましたが、フォーマルなダイニングには使用されてはいませんでした。座のクッションの無い物は基本フォーマルダイニングには使用できません。それがイームズの椅子が流行った頃に崩れてしまいました。様々な場所で使われ、座り心地や座れる時間の長さをあまり重要視されませんでした。しかし、支払われる対価によって快適度が望まれる今は、椅子選びに掛け心地を重要視される方が増えてきたのを感じます。 大先輩のインテリアデザイナーに言われた事で今でも心がけている事は、ダイニングチェアとして大切なのは背中の下が空いていない事。これはフォーマルダイニングの座り方のマナーに関係するのですが、女性はバッグを必ず持たれています。大きな荷物は左側からサービスされる事を考えて椅子の右側の床に置き、小さなハンドバッグは膝の上と言われています。でも食事することを考えると椅子の背と腰の間に置かれることが多くあります。その為に「バッグが落ちないように背の下が空いていない椅子じゃないとダメだよ。」と言われた事を今でも覚えています。これをお使い下さいと床に置くカゴを持って来るのは日本だけじゃないでしょうか。親切でありがたいのですが、せっかくのインテリアデザインが壊されています。カジュアルな店だと荷物を置く為の荷物棚がテーブルやカウンターの下に付ける事もありましたが、今は付いている店が少なくなった事もカゴが用意される要因かもしれません。 ファッションでもフォーマルやビジネスの場所でのマナーやTPOが崩れてきています。省エネで始まった夏だけだったネクタイ外しが、一年中ネクタイしない人が増え、政治家も今はよほどの場所ではネクタイしません。ネクタイしていない政治家も先進国では日本くらいかもしれません。また、ビジネスバッグよりバックパックを持つ方が増えてきました。厚みがあまり無く、ビジネスバッグは移動や機内でも邪魔にならないようにデザインされていますが、バックパックは縦が長く厚みがあります。持つ人は楽で良いのですが、電車内では非常に邪魔です。前に向きを変えその上でスマホをしたり、座って前に抱えるから肘が横に出て1人当たりのスペースを越えています。なによりスーツが型崩れしないのでしょうか、、。仕事がら膝をつく事が多いので、デニムを履く事が多い私もファッションのTPOの事は言えませんが、ジャケットにネクタイは心がけています。父が営林局員だったのですが、普段スーツ姿だった父が、国有林の検査で山へ行く時に、登山着と登山靴に白いシャツとネクタイをしていた事を今でも覚えています。子供の頃、真夏は白い麻のスーツにパナマ帽を被っていたお洒落な大人がいた記憶があります。 アメリカやヨーロッパへ行くとビジネスシーンでビジネススタイルを守っている事が分かります。数年前に訪問したマラネロのフェラーリ工場では出荷を待つ車を、スーツにネクタイのスタッフが一台一台仕様書通りが車に乗りながらチェックをしていました。日本では手本になる大人が少なくなっているように思います。今ではネクタイを締めているビジネスマンが少なくなってきたので、ネクタイ姿が逆に目立ちカッコ良く思えます。ビジネスバッグもネクタイも見直してみませんか?。2020年モデルの新作の試作も始まっています。どのようなデザインになるか発表できるのは、まだまだ先ですがフォーマルな空間に合わせられるデザインになるかも。お楽しみに! (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2019.04.26|

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革靴は実用品

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.96 冬から春への季節の変わり目は衣替えの時期です。洋服と同じで靴も衣替えさせる方も多いのではないでしょうか。私はこの時期に靴のメンテナンスを行います。先日の日曜日に久しぶりにまとめて靴磨きをしました。普段のメンテナンスはするのですが、使っていない靴や冬に多く履くブーツなど、しばらく履かない靴をメンテナンスしたり、これから多く登場する靴に風を通したりします。 革靴は使い方とメンテナンスによって何十年も履く事が出来ます。持っている靴で一番古いものは25年前に購入したスペイン製の靴ですが、かかとだけでなく、オールソールと言われる底全体の張替えを2回しています。最初は革のソールでしたが、2回目はラバーソールのゴム製にしました。今はオールソールする時は、ほとんどラバーソールです。若い頃は歩いている時に後ろから見えるのが嫌だったのですが、滑って危ないのと、晴れた日しか履けない革底よりラバーソールの方が楽だからです。ジョンロブやエドワードグリーンなど高級ブランドもラバーソールの靴を普通に出すようになったのも実用性を求める人が増えたせいでしょうね。007のジェームス・ボンドはジョンロブを履いていますが、アクションシーンの多いダニエルクレイグの履いている靴はラバーソール。それでないと、あんなに走る事はできません。私も気がつくと半分以上の靴がラバーソールに変わっていました。 革靴のパーツは大きく分けて、表面のアッパーと内側のライニング、中底のインソール、靴底のアウトソール、ヒールなどの部位があり、アッパーには牛の生後6ヶ月以内のカーフや二年以内のキップと言われるきめの細かな革が使われます。表皮を裏に使うスェードも同じ牛革です。他に馬の尻の部位のコードバンや、クロコダイルやリザードなど爬虫類の革も使われる事もあります。ソールには革、革とラバーのハーフ、ラバーがあり、雨の日はラバーソールの靴が安心して履く事ができます。 表面の革の高級素材として馬のお尻の革のコードバンもありますが、雨に濡れると膨れてしまうので、あまり履く機会がありません。アメリカ靴のオールデンのコードバンを使った靴が人気で、革を製造しているホーウィン社のシェルコードバンが品薄でコードバンの靴は高騰しています。独特な艶はなんともいえない綺麗さなのですが、表面の吟面の無いコードバン層だけの革なので、強度が高いわけでは無く、実用性はあまりありません。一方、牛革も表面の仕上げによって雨に弱い物があります。生後の種類だけでなく、タンニンやクロム鞣しの革本体の鞣しの種類と、表面の仕上げにも吟面付き、ガラス、エナメル、型押し、スエードなどあり、最後の表面にはワックス仕上げ、ラッカーやウレタンの塗装仕上げの顔料仕上げがあります。 なんだか分からなくなるくらいに種類がありますが、牛革でも靴クリームを塗ると染み込む物は表面がコーティングされていない革なので、雨が染み込みます。こういったクリームを付けて磨くと風合いが変わってくるので、自分なりに仕上げられるので、磨き甲斐があります。日曜日、20足近い靴を磨くのに半日以上かかりましたが、子供の頃に両親の靴を日曜日毎に磨かされた事を思い出していました。 社員からはマニアと言われますが、1年か2年に1回購入して、大切に使ってようやくこの数に、、。どれもオーソドックスな定番デザインです。自分のデザインテイストと同じです。靴を磨きながら廃盤にならないデザインってこんな感じなんかなと再認識しました。秋の新作に向けて新作をデザインを始めています。お楽しみに。 (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2019.03.29|

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中国車のデザインと性能

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.95 中国深センへ2019年モデルのPMM-Woodのアクリルパーツの検品に行ってきました。一部のパーツを海外で作るようになっても、工場での品質チェックは欠かせず、初期から数回は私自身の目で確認する事を行なっています。今回も香港から高速船で蛇口港まで、港からタクシーで市内へ向かいます。3ヶ月ぶりの深センでしたが、蛇口港辺りも街が変わって新しいビルが立ってきています。市内へ入る渋滞する道も一歩通行の方向が変わり、幹線道路への流入はスムーズになっています。この辺りがどんどん変わっていくのは中国です。日本だと道路の方向を変えたりするのはとても無理なのですが。 市内へはいつもの深センに本社があるBYD社の電気自動車のタクシーです。深センでは、ほとんどこの電気タクシーに変わっているのですが、一部残っている日本車のタクシーは乗り心地が悪く、いつしか列に並びながらBYDの電気自動車のタクシーに乗れますようにと思うようになりました。それだけ静かで車内が広く快適な車なんです。工場への移動はレンタカーで移動なのですが、日本車のセダンです。これもアメリカではそのメーカーの売上のメインになっているモデルです。後部座席に乗っていると、背が寝すぎていて、革張りという事もあり、だんだん前に滑って行きます。同行したスタッフに人間工学的には寝すぎていて、これはダメなシートだねと話をしていました。 工場に着くと見慣れない新車が停まっています。聞くと工場長の車で念願の新車を手に入れたという事で嬉しそうにされています。デザインも洗練されているし、どこの車だろうと近づくと、いつも乗っている電気タクシーのメーカーのBYD社の車です。中国車もここまでの車を作るとは少し驚きました。夕方まで工場で検品をして、夕食場所までその車に乗せていただいたのですが、室内のデザインとクオリティにも驚きましたが、大画面のモニターが回転し、スマホとミラーリングコネクトし、オーディオやエアコン情報もタッチモニターでの操作性にも関心しました。一番驚いたのは、6人乗車してフル加速した時です!今まで乗った事のある乗り物の中で一番加速が鋭く、スターウォーズの映画の中でミレニアム・ファルコン号がワープした感じで景色が流れます。それも電気モーターの静かな加速。レストランに着いてブレーキを見るとブレンボのブレーキが装着されています。それも10ポッドの大口径。後で調べると2Lガソリンエンジンとモーターのハイブリッドで441kwと600ps近い馬力があり0-100キロが4.3秒、スーパーカー並みの性能です。 デザインは元アウディのチーフデザイナーだったヴォルフガング・エッガー氏が2016年から手がけているという事で、欧州車のレベルです。今まで中国車のデザインはパクリが多く、品質もイマイチの噂だったので、実際に新しい中国車に乗ってみて性能とクオリティの高さには感心させられました。ただ、フロントには唐の感じの文字があったので、この漢字がなければもっとカッコ良いのにねとスタッフと話をしていましたが、このBYD社の車は中国の国内向けで王朝シリーズとして秦、唐、宋、元の名前を付けられているという事で納得しました。今まで中国では欧州車や日本車の海外ブランドが憧れの車でしたが、中国ブランドとして高性能で高品質で環境に優しいブランドとして売上を伸ばしているそうです。性能だけでなく、シートの座り心地がレンタカーの日本車と雲泥の差だった事に驚かされました。 今回は深セン郊外の工場近くのホテルに宿泊したのですが、広さとインテリアのデザインにも少しびっくりしました。いつもは街を車で走るだけなので、実際に触れる事は少なかったのですが、中国製品のデザインとクオリティに触れてみて、日本も危機感を持って、物作りに取り組まないといけないと実感しました。アクリル工場の社長から中国でエーディコアの製品を売りたい、日本のブランドとして販売したいとの話があり嬉しく思いました。まずはグローバル品質になるようにQCに努めないといけません。 (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2019.02.26|

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古くて新しいインテリア

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.94 先日、開催しましたアメリカ西海岸レポートには、沢山のお客様においでいただき、アメリカのインテリアシーンへの関心の高さを感じました。今回も、東京、名古屋、大阪と回を重ねるごとに、画像を見ながら私自身が現地で聞いたオーナーの言葉の意味や、空間の意味を感じる事ができ、理解を深める事ができました。10回近く話すのは大変ですが、終わってみるとそういう事だったんだと思う事が多く、念仏ではありませんが、繰り返すことも大切なんだと今回も思いました。 レポートの中で、ロサンゼルスのダウンタウンに昨年完成した独立系ホテル、ホテル フィゲロアを紹介しました。ご案内いただいたオーナーのショーンさんの言葉がとても印象的で、同じダウンタウンにある人気のエースホテルや、ダウンタウンに増えてきた高級ホテルとは、一線を画したコンセプトが、現地にいるときも、画像を見直しても人に優しく快適に思えました。ホテル フィゲロアは、1926年にできた女性用宿泊施設のYWCAだった建物を、1970年代からボヘミアンスタイルの安ホテルに改装して営業していました。最初は古いホテルをリノベーションしただけだと思っていましたが、話を聞き案内されるうちに、新築以上の手間と時間をかけた空間は、流行りのヴィンテージ感を出しただけではなく、人にも地域にも優しい場所としての空間という事が分かってきました。 案内していただいた、ショーンさんは、スタッフだけでなく、お客様やロビーで座っている人にも声をかけ、笑顔で話しているのが、お客様へだけの低姿勢という訳ではなく、人として自然な対応がとても印象的でした。そのショーンさんは日本に10年以上住んだことがあり、言葉使いが私よりずっと丁寧で、今の日本人が忘れているような言葉使いで説明をしてくれます。それが余計に空間を優しく感じさせたのかもしれませんが、、。ホテル フィゲロアは、75億円で購入し、175億円と3年をかけて改装してオープンさせました。ホテルを手がける時に大切にしたのがストーリーです。安全性と創造性、それをお客様、従業員が想像しやすい事、様々な人種や、女性、男性、ゲイの方も大切にした空間が重要で、そして、地域に密着したホテルの公共性を一番大切にしたそうです。 今、多くの高級ホテルは宿泊者のプライバシーや安全を守るために、ロビーには家具を置かかないようになってきました。それに逆行するように、ラウンジチェアやソファが、コーナーコーナーでテイストを変えられ配置されたロビーがありました。宿泊客のプライバシーも守るようにチェックインフロントと公共部のロビーへの導入口を二つに分け、どちらも守られるようにしていました。近隣のビジネスマンがランチやアフターに来やすいレストランが2つ、バーが4つあり、テイストも女性、男性、ゲイの人たちが好みそうな雰囲気です。飲食はもちろん公共性を考えて、トイレの数を以前のホテルから3倍にしたそうです。案内されている途中に、若者が図書館のような本棚の前の椅子で本を読み、近所のお年寄りが、暖炉の前で談笑して、通りかかったショーンさんに話しかけているのを見て、ずいぶん前からここにあったホテルのように感じてしまいました。私の学生の頃、お金が無くても家具の勉強のできるホテルのロビーへ通い、社会人になっても友人やお客様と待ち合わせをする場所だったホテルを思い出してしまいました。それがロスのダウンタウンにあるなんて、少し驚きの空間です。 時代を逆行するようなコンセプトのホテルでしたが、インテリアは建築当初の1926年のスパニッシュコロニアルを守りながら、クラシックから1970年代風の家具まで配置したエクレクティックスタイルの空間は自然で、新しくは感じませんが、古くて新しいインテリアを感じる事ができました。当社が手がける家具も様々な人たちに優しい存在でありたいと思いました。    (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2019.01.30|

DESIGNER

生きた空間

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.93 2019年がもう一ヶ月過ぎようとしています。今年初めてのブログです。遅くなりましたが今年もよろしくお願いします。正月休みから2週間ずっと西海岸で取材した写真整理と編集をしていました。今回は四千枚近く撮っていたので、取材した建築の写真を選別し順番に整理する事も大変ですが、インテリア写真としてパースを修正するのがもっと大変です。歩いた順にファイル名を変える事と合わせると気が遠くなります。写真を見続ける事で、現場では感じなかった事がだんだん理解できたり、別の感じ方をする事が出来ます。私のセミナーの写真は他人には任せる事はせずに自分で全て作業を行います。自分自身で撮影して、写真編集し、スライド作業までするのでより深いレポートを出来るんだと思います。 今回の取材先で、イタリア人のインテリアデザイナーがアートまで手がけ完成まで3年をかけた、家具付き数十億円で販売されている新築住宅がありました。ロスでの高級住宅の販売方法は独特で、有名人を招いて寿司職人がサービスするパーティを開いてオープンルームをすることもあるそうです。その取材した家の写真を編集しながら、最初は素晴らしいなあと思っていました。しかし、進んで行くにしたがって、見るのに少し疲れている自分がいるのに気がつきました。その一軒前に取材した家にも同じようにアートや家具も置かれているのですが、人とネコがいて、オーナーの趣味で集めたアートや小物、使われて良い感じになっている家具が置かれています。人の気配もインテリアには重要なんだなと感じてきました。その他の住宅もフルリノベーションでも古い良さを残しながら作り上げていました。 ロサンゼルスの取材では、今回のように新築の販売予定の家を見ることはあまりありません。取材するミドルクラス以上の住まわれている住宅では、デコレーターが作った空間にオーナー独自の付け加えをしながら住まいを作っています。新しい家でも、良い使われ感を出すためにもヴィンテージ家具を上手く配置して、新品だけに囲まれる事を避けているようです。また、エイジング加工や古い物に見せる加工もアメリカならではのインテリアの作り方なのでしょう。18年前に海をテーマにしたテーマパークで、インテリアの仕事をした時に、建築現場でエイジング加工を施していたアメリカ人スタッフの事を思い出しました。ミラノサローネの有名ブランドの展示空間も素晴らしいのですが、人の気配のしない空間は、今回のように疲れを感じるようになっていました。ロサンゼルスの住宅をメインに取材するようになったのもそのせいです。今の時代、完璧な新品よりも少し使った感が、人にもちょうど良いのでしょうね。 そしてアメリカのインテリア空間に重要な役目を果たしているのが、サイドボードや飾り棚です。家具のショールームでもダイニング、リビングにも必ずサイドボードが置かれ、アートやスタンドライトとの組み合わせが空間に動きと華やかさを与えています。オーナーの趣味の物を置くのもサイドボードや飾り棚。空間の主役はひょっとしてアートとサイドボードだったのかなと思うようになりました。あまり書いてしまうとレポートのネタバレになるので、ここまでにしますが、今回も様々なインテリアをお見せできると思います。自分自身がセミナースライドを編集していて、楽しく思えるので、今回もきっと良いレポートになるのではないでしょうか。お申し込みのお客様は楽しみにされて下さい。 (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2018.12.28|

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これからの建築とインテリア

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.92 今年もあと少しです。皆様はどんな一年だったでしょうか?当社にとっては営業的にも今までで一番忙しい一年となりました。私自身は社長になって初めての一年で、デザイン、セミナー、営業の他に初めて中国深センでのアクリル生産での毎月の工場通いなど、今までで一番忙しい一年でした。この年齢になっても仕事に大切なのは健康と体力なんだなと改めて感じました。これから年末ギリギリに、深センへパーツ初ロットのチェックのために出張なのでまだ気は抜けません。 12月初めにアメリカ西海岸へ、取材と建築ツアーの引率で10日間行ってきました。トランプ政権になり景気上昇が続くアメリカ、特に西海岸はIT系のオフィスなどが多く、ロサンゼルスでもグーグルのサンタモニカオフィスなど大手IT系のオフィス進出が続き、サンタモニカはもちろん周辺のウエストハリウッド、カルバーシティなど不動産の高騰で、賃貸料も高騰し、一般の住人が住みにくくなってきたと聞きました。その関係で遠くからの通勤者が増加したことに加え、ロス市内での住宅やホテル建築ラッシュによる交通渋滞も深刻で、建築ツアーの道順も考えないと、明るい時間に効率よく回れなくなっています。 今回の取材でもお世話になった、敬愛する撮影プロデューサーのYASUKOさんの自宅のあるウエストハリウッドの丘でも、IT関連の成功者の住宅建設ラッシュで、サンセット通りまでに10箇所近い建築工事があり交通渋滞が深刻で、騒音やホコリの問題など、リーマンショックでセールの看板が並んだ時とは違った問題があるそうです。成功した高額所得者はサンタモニカからウエストハリウッドに古い住宅を壊して新しいモダンな住宅を建てたり購入していますが、そこに手が届かない層や、同じ金額でもっと広い環境を望む人たちは、ダウンタウンから東側に住居を探すようになりました。少し前まではシルバーレイク辺りが多かったのですが、今では、アートディストリクトや、その北側の治安が悪かった工場エリアでも事務所や住まいが造られるようになってきました。1970年代のNYソーホーのように治安の悪かった場所に若者やアーティストが住むようになり、近年は高感度な高級ブティックやレストラン街になったように、ロサンゼルスでも住まいが広がるにしたがって、このようになりつつあります。 今回はウエストハリウッドの素晴らしい景色のインフィニティプールを持った販売価格30億円の新築モダン住宅と、その住宅を3年かけて作った不動産業オーナーの話や、ダウンタウンの1920年代のビルを75億で購入、175億をかけて改装したホテルの取材とそのホテルオーナーの話、世界的な遊園地ブランドの広告を手がける方の事務所兼住まいの取材、ハイエンド家具ブランドのデザイナー兼オーナーの自宅と家具ショールームの取材など、建築の取材だけでなく建物計画やインテリアのプロセスなど興味深い話も聞くことができました。ロサンゼルス市内を取材しながら、各オーナーに2019年モデルのアクリル家具のカタログを見せました。どのオーナーも目の色が変わり、どこで売っているのか、購入したいと言われました。アメリカでの透明アクリル家具の人気は少し驚くようなものでした。当社の家具をアメリカで販売をしたいと考えていたのですが、アクリル家具が最初になるかなとも思っています。 2019年の2月初めに今回取材したアメリカ西海岸建築レポートVol.17を開催します。アメリカ西海岸の今、建築、インテリア事情をお伝えできると思います。先日の新作発表会でアクリル家具をご覧いただいていない方は、新展示でぜひ手に触れてお確かめ下さい。2018年のご愛顧に感謝申し上げます。2019年、皆様にとって明るく素敵な一年になりますようにお祈り申し上げます。来年も当社スタッフ、当社製品をよろしくお願いいたします。 (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2018.11.30|

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初めての素材と

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.91 先週の名古屋で2019年モデル展示会が終了しました。1000名のお客様においでいただき、新製品に触れていただきました。実際に見ると良さが分かるとお客様から言われました。カタログ写真ではアクリル樹脂の透明さと柔らかさは伝わりません。また、会場ではあまりにも透明な素材が風景に溶け込んで不思議な存在感だとも言われました。今回のアクリル樹脂パーツは初めて海外で製作した製品です。座のシェルを中国深センで製作し日本で最終加工して、日本の工場で製作した木フレームと接合して完成させました。 国内生産にこだわってきた当社がなぜ?と思われるかもしれませんが、マテリアルファニチャーブランドのトランスペアレンシーの家具デザインをする事になり、製造工場が海外だったからです。キャスト製法で作られた厚みのあるアクリル原板を成形する製法は難しく、後加工での磨き工程を出来る工場が国内ではほとんど無く、安い価格の製品を作るためでなく、手をかけて良いものを仕上げるために、中国の深センで製造する事にしました。 ファッションの世界ではコストのために中国で作るではなく、良いものを作るために使う工場があると聞きます。私自身愛用しているセレクトショップのオーダースーツなど、昔は国内生産でしたが、今は中国で作られています。手仕事で仕上げる箇所の多いオーダースーツの細かな作りも、日本の工場以上に細やかな作りに対応していると言う事で、良いものを作るために使っているそうです。当社の椅子やソファを製作している国内の工場は、NCマシンを駆使したもの作りで、世界的にも高い水準の製品を作っているので国内生産を続けられますが、パーツなどは物によってグローバルな生産を考えなくてはいけないかもしれないと思うようになってきました。 今回の2019年モデルは3次元の成形された樹脂を作るためにデザインや設計は、いつもの金属や木加工の考え方と違う手法で取り組む必要がありました。また薄物を作るペレットを使ったインジェクション型のように自由な成型はできません。透明感を出すために厚物板を無理なく成形させるカーブを3次元的に考える必要があり、ジェット戦闘機のキャノピーを作るような作業です。また、三面図では表現できないパーツなので、3Dデータを製作して原寸模型を手作りして現地に送り、木型での試作、その型で綺麗な形になるかを検証して金型を作りました。新作試作の時には国内の工場へも何度も通うのですが、言葉の壁がある海外の工場なので、それ以上に現地に通い製作を進めました。 深センの工場でもここまでの3次元のカーブを熱成形するのは初めてで、試行錯誤しながら進めました。最初は当社の三面図を基に木型を作りましたが、全く違う物が出来てしまい、当社で3次元の模型を作って現地に送りました。それでも上手くいかず、3次元のデータを作って送って木型がようやく出来上がりました。しかし、表面に凸凹がある物で綺麗な物が出来ません。当社の椅子の成型合板用の型も手で触って少しでも凸凹があると、板の表面に出てしまいます。型の表面を手で触って触りながら、指先に少しでも段差が分かると、良い製品は出来ないと教えます。最後は段差にパテを入れて削って仕上げて見せました。最後はアルミの金型の仕上がりや、成型させるプレス機械まで指定して、ようやく量産前までくる事ができました。 33年前に当社をスタートした時に国内工場で同じような事をしましたが、深センでするとは思っていませんでしたが、その時と同じ現場の人たちのやる気が感じました。深センの工場の社長さんはデザイナーでここまでやるとは、工場のみんながリスペクトしています。と言ってくれました。いつも以上に苦労と情熱を傾けて創り上げた新製品です。花をイメージしたアクリルシェルは触れるほど良さが分かるように感じます。まだご覧になっていないお客様はぜひ、各ショールームでお確かめ下さい。(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2018.10.30|

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透明な素材

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.90 来週から2019年モデル展示会が始まります。カタログも入稿が終わり印刷上がりを待つだけになりました。今回の新作は初めてアクリル樹脂を使った透明感のある製品です。成型合板や木素材を使った木製家具や、金属ではスチール、アルミダイカストや鋳造した物は手がけてきましたが、プラスチック樹脂素材は初めてです。マテリアルファニチャーブランドのトランスペアレンシーの家具デザインをする事になり、初めてアクリル素材を使用することになりました。 アクリル樹脂と聞いてプラスチック製としてイタリアの樹脂メーカーやイームズの樹脂素材の椅子を思い浮かべる方がほとんどだと思いますが、樹脂メーカーの多くの家具はポリカーボネート製で、イームズの樹脂は昔はグラスファイバーで今はPP樹脂で成型されます。両方ともの樹脂のペレットを使った射出成型の薄い物です。今回、当社が発表する家具はアクリル家具でも美しいキャスト方法で作られた厚いアクリル樹脂板を使用して成型した製品です。 私自身アクリル樹脂についての知識がありませんでしたが、アメリカ西海岸での撮影や住宅取材を通して、ヴィンテージ家具にアクリル家具が多く存在することは知っていました。60年以上経た椅子やテーブルが透明感や輝きを失わず、良い感じで時を経た家具が沢山あります。最初はそんなに時間が経っていないように思った家具も60年以上経て、座のクッション素材や布や革がボロボロになっても、樹脂自体は透明感を失っていません。素材自体を調べると1930年代にドイツで発明され、プラスチック樹脂素材としてはもっとも歴史があり、様々な用途に使われてきました。開発当初は戦闘機の風防に使われパイロットの視線と安全を守ってきました。現代では透明度と耐久性が最も必要とされる水族館の水槽に使用され、接着技術の進歩から巨大な水槽を持つ水族館が続々と作られています。その素材の多くを生産しているのが、日本のケミカルメーカーです。 アクリル樹脂は弱いのではと思われる方が多いと思いますが、高い透明度のアクリルはポリカーボネートやペット樹脂に比べ紫外線に強く、黄変や劣化はしにくい特性を持ちます。そういったことから航空機や水族館でも使われる素材で、傷については常識内の硬度があります。皆さんの身の回りにある透明アクリル樹脂のアクセサリー入れなど傷は気にならないはずです。また、十分の板厚を持ったアクリル樹脂は、水族館の水槽と同じで、磨いて輝きを取り戻すことができます。使い込まれたヴィンテージのアクリル家具を見てきましたが、長く愛される素材として家具に使えると確信をして使用しました。ガラスより透明度の高いアクリル樹脂は冷たい無機質な素材と思っていたましたが、実は柔らかで温かみのある素材であることに気づかされました。2019年モデルのPMMA+Woodは、皆さんの樹脂素材への固定観念を変えてくれると信じています。 同時に発表するA-mode、NEO CLASSICOの家具も柔らかさをイメージした製品で、いつも以上に苦労と情熱を傾けて創り上げた新製品です。11月7日からスタートする展示会は花をイメージした荒川 弘之氏のフラワーアート写真とのコラボ展示で、広尾本社会場はいつもの展示会と違うプレゼンテーションを行います。少人数制でゆっくり感じていただける会ですのでぜひおいでください。花をイメージしたアクリルシェルがお待ちしています。 (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2018.09.28|

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サービスもグローバルで

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.89 11月初めの2019年モデルの試作で工場間を飛び回っています。今回の新作は海外パーツも使用するため、9月は羽田空港が会社と思うくらい羽田空港を利用しています。海外の空港や外国航空会社を利用すると、日本の空港や航空会社の親切さを本当に感じます。日本のサービスはすごい、日本人ここがすごいなどのTV番組が相変わらず多いので、6月のブログと同様少し書かせていただきます。 日本の国内線空港では保安検査場も航空会社のサービスかと思うくらい、荷物の扱いもとても丁寧で、カバンを横にしていいですか?お土産袋を横にしていいですか?それをトレイに乗せ、下に置くトレイを上に被せてフタにして検査機械のベルトコンベアに入れます。手前に置いた荷物も取りにきて移動してくれるので、多くのビジネスマンは手前の台に荷物を置きっぱなしでセキュリティゲートに入って行きます。目の前に残された荷物を見て、なんで、自分の荷物は検査官の手の届くまで移動しないんだろう?と思ってしまいます。 機内に入ればCAさんがお客様の荷物を頭上の手荷物入れに上げています。自分でも上に上げられない荷物を持ち込み、女性のCAさんが一人で上げられると思う方も異常ですが、それを上げている小さなCAさんの姿を見ずに黙って座る人も多くいて、これが世界から称賛される日本かと心配になります。自分で入れた荷物も他の方が入れられないように横に置かれる方が多く、荷物入れのフタも全てが開けっ放しで誰も閉めません。最後に女性のCAさんが扉を全て閉めていきます。なんてサービスが良いのか、、。サービス過剰ではないかと思ってしまいます。このようなサービス過剰が当たり前になっている日本がすごいのか、異常なのか少し考えてしまいます。 仕事で海外に行く事も多くあり、日本のサービスの事を凄いと思うより、そのサービスに慣れてしまっている困った日本人が多く、マナーもガラパゴス化になっているように感じるようになってきました。海外の空港の保安検査場で、ずいぶん手前に荷物を置いていこうとする日本人の多くが、検査官に自分の荷物は検査機械に入れるように注意されています。保安検査の検査官は荷物を預かるのが仕事ではなく、チェックするのが仕事だからねと検査官に言われています。日本で過剰なサービスの多くの事が、海外では困った日本人を作っている認識する必要があります。機内の荷物も外国機内なら、どんどん乗せられるので、自分でスペースを開けないように置く必要があります。 日本の美徳として行われている事の多くは、行う側からの一方通行でなく、お互いの気持ちを思いやる事で成り立ってきました。サービス競争が過剰度を増すごとに、横柄な日本人を作り出しているように思えて仕方がありません。海外のサービスもチップなどの有料な事も多いのですが、世界的にはサービスへの対価は笑顔で「ありがとう」です。それが美徳につながるのではないでしょうか。でも、海外から日本に帰るとスーツケースを受け取るターンテーブルで、タグが見やすく、手前に持ち手を揃えて流れているのを見るとホッとしてしまいます。しかし、ターンテーブル前で航空会社の担当の方が重たいスーツケースを揃えているのを見ると申し訳なく、、。 11月初旬から始まる2019年モデルはパーツを中国の深圳で製作しています。深圳の街に半年以上通っていますが、香港からの入口の蛇口湾のフェリーターミナルでも猛スピードで変わる都市に、毎回驚かされます。日本人の若者も日本だけのサービス過剰に慣れないで、世界基準のマナーとサービスを受けるために、どんどん世界に出てもらいたいと思います。今回の2019年モデルはPMMAを深圳で製作したパーツを使用します。試作を終えカタログ撮影も終えました。あと少しで皆様にご覧いただく事ができます。お楽しみに!     (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2018.08.31|

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アメリカの不動産価値

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.88 8月にアメリカ西海岸建築セミナーで巨匠の建築特集を開催しました。ほとんどの建物が1920年代から60年代にかけて設計された建物ですが、住宅として使われています。セミナーをするにあたり、以前取材した写真の整理ともに現在の状態も調べましたが、住宅のオーナーが変わっていました。アメリカ人は一生でかなりの回数の住まいを変えるとは聞いていましたが本当です。 2005年に取材した1923年に建てられたフランク・ロイド・ライトのエニスハウスは、ブラウン氏が所有していましたがロサンゼルス大地震の時に大きな被害を受け、修復はされてもまだ痛んだ状態でした。ブラウン氏が亡くなってからロサンゼルス市に寄付されましたが、補修費用が膨大にかかるため、市では所有しきれずに1500万ドルで売り出されました。しかし、1000万ドルかかるという修復費用のために結局売れずに、三分の一以下の450万ドル(5億円)で2011年に投資家のロン・バークル氏に売られました。その時の契約書には建物の完全な修復を行い、年間12日一般の方に公開する事が条件として入れられました。それが、今年6月にはの購入金額の5倍の2300万ドル(25億円)という高額な金額で売りに出されました。家の修復にいくらお金がかかったかは分かりませんが、3倍以上で転売されるとはさすが投資家です。 その近くにはフランク・ロイド・ライト息子のロイド・ライト・Jrが1926年に設計した、ソーデン・ハウスがあり、2006年撮影に使用しました。その時はデコレーターのゾーランさんが所有していましたが、2001年に廃墟の状態になっていた建物を120万ドルで購入し、リノベーションして元の美しい住宅になり、2004年にはディカプリオ主演の映画アビエイターで使われました。そのソーデン・ハウスも2016年に4倍の475万ドルで売られていました。2008年のリーマンショックで不動産の価格が暴落し、セレブの住むウエストハリウッドの住宅街にもセールの看板がしばらくありましたが、今ではリーマンショック以前以上の好景気で、工事中や改装中の住宅が目立ちます。有名建築家の設計した住宅だけでなく、ミッドセンチュリー建築は元の形に近いレストレーションを行えば価値ある物として取引され、購入した時より高額な金額で取引がされていています。それが有名建築家の設計であれば、美術的な価値を持って取引がされます。住まいを投資として住み替えながらステップアップし、リタイヤの時に小さな住宅にして余生を過ごす方も多いと聞きます。 サンフランシスコのIT企業やシアトルのアマゾン社によって市内の住宅価格やアパートの賃料が数倍になり、一般人が住めなくなったとTVニュースで見ましたが、ロサンゼルズもサンタモニカを中心にアップルやグーグル社などIT企業のオフィスが出来てシリコンビーチと言われるようになり、近隣の家賃は2倍以上になり普通の人はなかなか住めなくなってきたそうです。ロサンゼルス市内では高級ホテルのオープンラッシュで話題のホテルも数多く、中でもピエール・イヴ・ ロションが手がけたウォルドルフ・アストリア・ホテルが話題になりました。また、レストランチェーンの「NOBU」の松久信幸氏がマリブに18部屋のNobu Ryokan Malibuを作り、和のインテリアを取り入れた空間も話題になっています。その他も多くのホテルがオープンしましたが、ダウンタウンに数年前にできたエースホテルのようなチープなインテリアのホテルではなく、西海岸らしいナチュラルでも高級感のあるインテリア空間が目立ちます。これはお金を持つ若者達が多くなり、好みも変わってきた事からではないでしょうか。 今年も12月にアメリカ西海岸を訪れる建築ツアーを企画しています。今回は住宅だけでなく、話題のホテルも訪問したいと思っています。昨年からかなりのスピードで様々な変化を見せるLAのインテリアが、どの方向を向いているか見る事を、今から楽しみにしています。その前に秋の新作発表会へ向けて、新作の試作も進行中です。今までとは全く違う方向性の家具かもしれません。お楽しみに!     (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2018.07.30|

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データの断捨離

AD CORE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.87 夏の西海岸セミナーが始まります。今回で16回目になる西海岸セミナーですが、一昨年、初めてアーカイブの中からテーマを決めて再編集をしたセミナーを開催しました。テーマはヴィンテージ建築特集で、以前のセミナーでは自分自身も気がつかなかった事が多く、眠っている画像を見返すことで違った視線で見ることで新たな話をすることができました。今回は2回目になるアーカイブの中からのセミナーで、巨匠、有名建築家の作品を集めた建築セミナーです。 2005年からアメリカ西海岸でカタログ撮影を行っていますが、その頃のデジタルカメラの性能と画像処理ソフトのフォトショップの機能は今と比べるとかなり劣っています。昔のセミナー画像を見ると画質のひどい写真ばかりだったので、今回のセミナースライドに流用するのを諦めました。そこで元写真のデータを見直して使える写真が無いか、保存用のハードディスクから探した元写真を画像処理をするとかなり良くなる事が分かりました。そこで、十数年前のデータを探し出すことにしたのですが、一苦労です。今ではフォルダ名を種別に分け、検索できるようにしていますが、その頃は二度と使わないだろうと、適当なフォルダ名をつけて保存していたせいもあり、なかなか見つかりません。 やっと、探し出した数百枚の元データをリマスターをすると、見えなかった所や色が分かるようになった写真が沢山ありました。10年以上前に撮った沢山の画像を再編集するのは大変ですが、記憶を元に色補正していくと、その時に気がつかなかった事や、素材や色まで見えてきました。今ではカメラの性能が上がり広角レンズの歪みが少なくなりましたが、昔の写真は画面の左右がかなり湾曲しています。それも今ではデジタルで補正できます。またカリフォルニアの強い太陽のせいで室内の陰影が強く暗い場所でも、シャドウ部だけを明るくする事で全体的に見えるようになりました。 今のiPhoneでも、写真補正機能を使えば逆光を補正するシャドウだけを明るく出来るのですが、パソコンソフトのフォトショップはさらに進化していて、ゴミや人やコンセントなども簡単に消せるようになりました。今回、使用する写真を千枚近く編集し直しましたが、真っ黒で使えなかった写真や歪んだ写真も、その機能によって壁や床の素材など、建物の詳細がより鮮明に見えるようになりました。昔の写真の元データを残していて本当に良かったと思います。写真などのJPEGデータはパソコンが新しくなっても開く事が出来るので、リマスターすると良くなります。パソコンデータは不要な物を捨てていかないと、データが溜まる一方で大変な事になりますが、ハードディスクに残して置けば、また使えるものもあります。 世の中断捨離ブームで要らない物を捨てて整理する人が増えていますが、昔のものを大切に残しておけば使える事もあります。物については長く使えるデザインや素材を選んでおけば、ずっと使えたり、また使うことができる日もあります。そのためには何が大切なものかを吟味する必要がありますが、、。今回のセミナーの住宅は古いものでは100年近く使われて、途中何度も廃虚になりかけた建物がたくさんあります。しかし、今ではリノベーションされて新たな価値を与えられています。時代を超えて愛される為のヒントがここにあるように思いました。 私達の家具も永く愛されて、時代が流れても復活出来るデザインをしなければいけません。秋の新作発表会に向けて開発を進めています。セミナー画像を処理しながら、今回の新作は長く愛される製品になっているか、なるような物作りはできているか、再度見直しをしなければ、、。今回の新作は今まで使った事のない素材を使用します。お楽しみに! (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)