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2023.10.31|

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これからの修理はどこに

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.149 機械物など人が使用する物はメンテナンスは必ず必要になります。近代の日本では新しい物が好まれ、使い捨て文化が根付いてしまっていますが、私が子供の頃は傘も使い捨てでなく、修理屋さんに出したり、ハサミも包丁も研ぎ職人さんが定期的に回ってきて家中の刃物を出して研いでもらいました。父は電気物が詳しくテスターとハンダゴテを持って家の家電を直していました。私もそんな親を見て育ったので、ハサミや包丁やナイフは研ぎ石で研ぎますし、故障した物はとりあえず修理しようとします。自分で手に追えない物だとプロに出すのですが、腕時計の定期的なオーバーホールと靴修理と車の車検と板金塗装だけはプロに任せます。 最近、機械式腕時計を2本続けてメンテナンスに出し、38年前から所有している車を久しぶりに板金塗装に出しました。腕時計は前回のメンテナンスから5年以上経った物が動かなくなりました。以前は百貨店や町の機械式時計の修理屋さんに出したのですが、帰ってから調子があまり良くなく、時間を合わせたりゼンマイを巻くリューズと言う所が固くなって、ゼンマイの長持ちがあまりしなくなっていました。それでも5年は動いていたのですが、突然止まって動かなくなってしまいました。今回は正規代理店からメーカーへメンテナンスに出しました。1ヶ月半くらいで帰った時計は嘘のように軽くゼンマイが巻け、いっぱい巻くと2日間以上持つようになりました。金額は町の修理屋さんに出すよりも倍くらいしたのですが、ポリッシュ磨きもされてピカピカな新品になって帰ってきました。 腕時計のオーバーホールは5年〜10年毎に歯車に付いた油を除去して新しい油を注したり、歯車軸やリューズの交換作業をする事です。私が所有している時計はIWCというスイス時計で、購入後20年以上経った時計なので、交換パーツがあるか心配だったのですが、永久修理を受けているという事で、私が生きている間はメンテナンスに出せるんだと安心しました。腕時計は好きな方が多く手に入りにくいメーカーやモデルがあります。5年以上前、所有していた腕時計を売って、あるメーカーのスポーツモデルを手に入れようとしました。しかし、お店に行くと置いておらず、その少し前から、Rが頭文字に付くブランドのスポーツモデルは世界的に人気で、世界中どこの店に行っても買えません。ネットを見るとマラソンと言われるほど店を巡り、店員に気に入られないと買えないと聞き、転売ヤーと言われる人たちも多く存在していました。そこまでして手にいれるのもなんだか、、と思い忘れていました。 最近、車や高級品が手に入れやすくなったと聞き、久しぶりにその店に行きました。しかし、5年前よりも物が置かれておらず、空のショーケースにサンプル品が置かれているだけです。店員にいつぐらいに買えますか?と聞くと、人気が無くなれば買えますよと笑って言われました。しかし、この構えの店で店員が何人もいるのだから、売り物がなければ、店として成り立つ訳ないのにと、心の中で叫んでしまいました。その時、老婦人が入って来られ時計の修理を依頼されました。聞き耳を立てていると、古い物だけど娘に譲りたいから修理ができませんか?と。店員はその時計を見ながら通常は生産終了から25年はパーツを持っているのですが、35年以上前のモデルなので修理できませんと。その老婦人はどうすればいいのでしょうか?と聞くと、店員は町の時計修理屋さんに持っていかれれば、直るかもしれませんよ。と、少し耳を疑ってしまいました。それが、高級時計で一番人気のブランドの言う事なのかと、、。 35年と言えば、そんなに古いとは思えず、私の車は1962年製で生産されてから61年が経過していますが、パーツは存在しており、今も修理も可能です。腕時計は一生物のはずで、機械式時計は永続的に修理できる物だと思っていました。調べると時計ブランドごとに修理可能年数が決まっているようです。私の所有するIWCは永久修理受付とあるので、少し安心しましたが、購入される時に、そのブランドの修理受付可能年数を調べ検討される事も良いと思います。メーカーによって7年や10年と短い会社もあります。機械式時計は10年なんてあっという間です。そういった修理を受け付けていないメーカーの時計をメンテナンスする修理屋さんが町に存在する理由なんでしょうね。メンテナンスしながら、長く愛用する事が本当の環境に優しくお洒落だと思いますが、流行りだけでなく、永く愛用できるブランドを選ぶのも大切なんです。 時計は人気なので町に修理屋さんは多く存在しますし、メーカーでも修理期間中なら修理を受付ています。私のカルマンギアは昨年末から車検に合わせ錆びた箇所を板金して全塗装しようと工場を探したのですが、日本では板金塗装屋さんが激減していて、お願いしようと思っていた工場に聞くとは3年待ちと途方に暮れる返事でした。やっと見つけた工場も20年近く前に全塗装した時の金額の数倍の金額で、それでもしかたないかと、依頼してから半年後ようやく預ける事ができ、それから半年が経とうとしています。あと何ヶ月かかるのか、、。聞くと日本中の車の板金塗装は少なくなっていて、塗装だけでなく、自動車修理工場自体が少なくなっています。建築インテリア業界だけでなく植木職人さんなど、どの業界も日本中で職人さんが少なくなっていて、メンテナンスに困る事が増えてきています。 本当の環境問題を考えるなら、永く使えるデザインと性能、メンテナンス可能な製品を作らないといけません。修理する場合は新品とあまり変わらないお金がかかる場合もありますが、経年変化など違う楽しみもあります。当社も1985年から38年の製品修理は可能です。2024年モデルはカーボンニュートラルを材料から考えた永く使える製品にしています。試作もいよいよ追い込みです。お楽しみに!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2023.09.29|

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環境問題は一人一人から

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.148 今年の夏は猛暑が続き今までで一番暑く感じました。会社の建物が古くエアコンがセントラル方式な事もあり効きが悪く、事務所内の気温が28度以下にはなりませんでした。ようやく9月末になり東京では涼しい風を感じるようになりましたが10月もまだ夏日が続くようです。今年は世界中で気候変動による、山火事や水害などの災害が特に多くなっていて、子供達の世代にはもっと大変な事にならないか心配になります。 SDGsの取組みについては大企業が行う事だと思われがちですが、今は中小企業でも、だけでなく一人一人個人でも真剣に取組む必要があります。当社では2022年1月からSDGsへの取組みとして、製品の養生材に石油由来の保護材やビニール袋を廃止し、自然に還る生分解性素材の不織布に変更、発泡スチロール材を再生紙に変更しています。しかし、家具業界での取組はまだまだで、当社が取組んで2年ですが、国内他社ではまだ見る事はありません。2023年モデルからは合板に国内の杉合板を使用しクッション材のウレタンフォームをリサイクルリボンテッドフォームの割合を増やし、カーボンニュートラルに取組んでいます。今年中には従来モデルソファのフレームに使用する輸入ラワン合板を国内杉合板に全て変更する予定です。 現在、使用している杉合板はソファ工場がある大分県日田市の合板工場で製造しており、日田杉の間伐材を使用した合板で、今まで使用してい輸入ラワン合板に比べ、輸入運搬時に排出される二酸化炭素を大幅に減らす事ができ、地元の杉材を使用する事で輸送時の燃料や二酸化炭素も最小限にする事ができます。大分県日田市は江戸時代から檜や杉が有名で幕府の直轄領の天領として山林が守られてきました。今でも日田市は杉の下駄の生産では日本一です。日本の家具産地はこういった材料の産地近くで発展してきましたが、近くで取れる家具材料が少なくなり輸入材を遠くから運ぶ為に、二酸化炭素の排出量も増やしていました。 杉などの植林された山林を守る為に間引きする時に出た間伐材については長く利用方法が考えられてきましたが、今は木質バイオマス発電所が多く作られ、杉の多くがチップ材にされ発電の燃料として燃やされています。その杉材は補助金で運営されている木質バイオマス発電所ため、高価格で取引がされるようになり林業は助かっていますが、地元の製材屋さんがセリで購入できない金額になり、廃業がする製材屋が増えていると聞きました。二酸化炭素を吸収する林を燃料にして二酸化炭素を排出するのは、排出と吸収がプラスマイナスというのは分かりますが、せっかく吸収した二酸化炭素を排出するでは、伐採や運送時に出た二酸化炭素をどうなるんだろうと思ってしまいます。ウッドショックから国産材の需要が増えて建築材の利用が増えていると聞きましたが、地元の製材屋さんが購入できなく作れないのでは、、。 先日、日田市に出張時に話を聞いたのですが、今は大径木の使い道に困っていると。建築材として適用なのは中径木(30センチまで)の木材で柱など中心材がある物は強度や反りが少なく、建築材として利用価値は高いが、大径木は中が赤黒くなり、芯材を外しての利用は弱く、乾燥が難しくワレやソリが多くなり使えないと。また、製材所のカット機械のサイズが中径木用なので製材する事も難しいとの事でした。長く建築材料としての需要が無く、伐採されなかった杉の大木が多く育っていて、運搬や製材の問題がある事から問題になっているようです。当社が使用している杉合板は小径木の間伐材と大径木などサイズを選ばない板(その代わり節など入る)なので、建築材にならない杉材が使用できます。 地産の材料で日本で使われる製品は地産地消で、本当の意味でのカーボンニュートラルではないかと考えます。工場の方からは節ばかりで杉合板は使えないと言われましたが、今では安定した価格と加工しやすい材料、加工時の香りも良いと好評です。SDGsやカーボンニュートラルは小企業が取組むにはハードルが高そうに思われがちですが、踏み出してみればできる事が多くあるように思います。子供達の将来の為に身の回りから少しずつ取組んでみませんか。2024年モデルはこの環境問題をより進めた製品を試作中です。お楽しみに!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2023.08.31|

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樹木や草木は街の財産

NHKの連続テレビ小説で槙野富太郎をモデルにしたドラマが放送されています。高知出身の槙野富太郎がモデルになったドラマで、私も同郷で小さな頃から槙野富太郎の事は知っていましたが、連続テレビ小説の主人公になるとは思ってもみませんでした。槙野富太郎の日本の植物学での偉業はありますが、坂本龍馬など他の高知出身の偉人からは地味すぎるのと、研究に熱中するあまり実家の身代を潰した事は有名で、槙野富太郎みたいになりたいとは思いませんでした。それでなくても高知は日本の中でも山深く緑が溢れる地域で、営林署勤務の父親の転勤で山深い場所の草花に囲まれて育った事もあり、植物に関して興味はありませんでした。 東京に来てから植物の大切さが分かり癒されるようになりました。当社は最初、アメリカでNYのソーホーの繊維工場跡を使ったショップが流行っていて、それを参考に新橋の倉庫ビルに事務所を構え、お台場向こうの青海という埋立地の保税倉庫内にショールームを作っていたので、自然光は無く街路樹や緑もありませんでした。そういった事もあり、現在の広尾本社を探した時には、街路樹や緑が多い場所で自然光が入る建物という事が第一条件でした。それは大阪、名古屋ショールームも同じで、3箇所とも明るい自然光が入るショールームになっています。最近、世間を騒がしている車販売店で、ショールームの中を見やすくするためと、草取りの手間を省く為に公共の街路樹を撤去したり、除草剤で枯らしたりしたという事を聞いて悲しくなりました。 当社の広尾本社のある辺りは近くにチェコ大使館があり、昔ながらの大きなお屋敷がある場所で、会社の目の前には数年前までエネルギー会社の会長宅で、大きな敷地には広い庭と巨大なシンボルツリーがありましたが、現在は数軒の賃貸住宅(それでも大きな家ですが)に分けられて緑が少なくなりました。名古屋ショールームも3階でしたが、目の前の名古屋テレビ塔のある久屋大通公園の巨木が並ぶ気持ちの良い公園でしたが、今はショッピングパークになり、ショールームの窓の前に広がっていた巨木が無くなってしまいました。窓から見える緑の樹木が魅了で入居したのに、とても残念な出来事でした。相続で邸宅が小割になるのは仕方ありませんが、公共の場所の何年もかけて育った巨木が切り倒されてショッピングモールになるのはいかがなものかと思いました。 仕事で出張する事が多くレンタカーで街を走ると、家や建物よりも道の街路樹や植栽の手入れや雑草やゴミを見ると、その街の文化度や治安が良く分かります。これは日本だけで無く海外も同じで、汚い場所からは止まらずに速度を早めて過ぎ去りたくなります。田舎だと落ち葉など掃除は大変なのですが、文化度の高い街では道路から家の前もゴミや落ち葉が落ちていません。ショールームを探す時にも建物は素敵でも、近くに沢山のタバコの吸い殻が落ちていて条件を聞くのも止めた事があります。広尾に引越した25年前は邸宅が多く、緑も多く道路のゴミ掃除をしている方も多かったのですが、賃貸のマンションや住宅が多くなり、自宅でも要塞のような中が伺えないような家では前の掃除もされなくなりました。 先週アメリカ西海岸セミナーをしてセミナーで紹介する家は、家の写真だけでなく街並みや道路からの家の写真も見せるのですが、どの家も道路にはゴミが落ち葉がありませんでした。これは家の前まで掃除する義務が住人にはあり、ある程度のクラス以上は必ずガーデナーという庭師より掃除中心の人に頼んで綺麗にしています。道路と家の間にある芝生の剪定や草取りや水やりも住人がする義務になります。また、自邸の庭に植えた樹木であっても勝手に切る事はできず、庭を手入れしていなくても罰金を取られます。イギリスでは1927年にナショナル・ガーデン・スキームが設立され自邸を見せるオープンガーデンが始まり、現在では教会のイエローブックに4000カ所近くの登録があるそうです。 当社でも毎日全社員がショールームの清掃を行いますが、広尾本社では外の道路から植栽の草引きからゴミ取りをしています。会社の大きく育った樹木は高枝バサミで私自身が剪定を行います。この夏は猛暑の事もあり歩道に日陰ができるように少し大きめにカットしました。この夏は朝から猛暑で大汗をかいていますが、この街で商売をさせていただいている事を思い、向こう三軒両隣の言葉通りかかさず掃除をしています。その道路と街路樹が見えるエントランスの吹き抜けのソファ席が一番好きな場所です。ショールームへ来られる際にはエントランスの樹木も見ていただければ嬉しく思います。 (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2023.07.31|

DESIGNER

深みのある仕事の理由

真夏の猛暑が続いています、この10年で一番の暑さだとか、。うだるような暑さになるとアメリカのロサンゼルスへ行きたくなります。ロサンゼルスは日差しが強いのですが、海側のハリウッド辺りは真夏でも最高気温は30度を超えることはあまりなく、最低20度と過ごしやすい気温で、真冬もそんなに気温が下がりません。それは西海岸はカリフォルニア海流と言われる寒流の関係で一年中過ごしやすい気温になっています。若い頃にベニスビーチの夏に海に飛び込んで、あまりの寒さに驚いた事がありますが、冷たい海流のせいで温暖な事を知りました。逆に日本は黒潮という暖流なのに、冬寒く夏暑いのはなぜだろうと思ったことです。 7月15日から東京都現代美術家でデイヴィッド・ホックニー展が開催されています。デイヴィッド・ホックニーは86歳のイギリス人で現在はロセンゼルスに居を構えるの現代アートの巨匠です。ホックニーは1972年の作品「芸術家の肖像画・プールと2人の人物」が9,031万ドル(現在価値約127億)で落札され、未だ破られていない存命作家による最高落札価格を記録をしています。今年2月に訪問したホンビーヒルにあるワイズマン アート ファウンデーションにホックニーのフォトコラージュアートが飾られていて、同行していたロス在住のプロデューサーのYASUKOさんから、自宅のあるウエストハリウッドの近くに彼の家があり、ホックニーの代表作にもなっているフォトコラージュ作品の「ペアブロッサム・ハイウェイ」のロケーション探しと、作品製作の手伝いをして、それが代表作になっている事を誇りに思っている事を聞いていたので、自分にも近しい人のように思っていました。 YASUKOさんはパームウスプリングに建築家ドナルド・ウェクスラー設計のミッドセンチュリー住宅を別荘として所有していて、ホックニーの作品に関わる事になったのですが、YASUKOさんの造詣の深さからそうなったと想像できます。YASUKOさんと仕事をするようになり感じたのは、YASUKOさんの本来の仕事であるファッション撮影のプロデューサーであるために、ファッションやフォトグラファーなどの撮影関係だけで無く、建築、インテリア、アート、デコレーション、映画、音楽までありとあらゆる事に通じていて、今でも勉強されているという事です。YASUKOさんと知り合う20年前まではプロダクトの事は好きで家具以外の事も知りながら仕事をしていましたが、物作り中心の知識の狭い範囲での考えでした。 アメリカ西海岸に通って、インテリアスタイルの重要性を感じるようになり、建物だけでなく、家具だけでもなく、本や小物など生活するための道具だけでなく、アートやファッションや音楽、車など、生活する全てが、人の生活に関わっていて、それがインテリアスタイルにつながっている事を知りました。YASUKOさんと西海岸住宅のロケハンや取材に行くと、家のオーナーが最初は硬い表情から、だんだん笑顔になり話が弾んでいく光景を毎回見ていて、それも全ての事に通じているYASUKOさんだからこそ、オーナーと共通の知り合いがいたり、飾っているアートを深く知っていたり、置いてある本のフォトグラファーが友人だったり、どこまでつながっているの?と感心します。ミック・ジャガーやジョン・レノンとも友人とは驚きましたが、私が中学生の時に聞いていたイギリスのロックグループのELPとも近かったと聞いた時は本当に驚いて、どこまで広い友人関係なのと感心しました。 アメリカ西海岸に通うようになり、私自身の家具デザインの仕事も、プロダクトというより、インテリアスタイルの一つとして考えたデザインになってきたように思います。それも一つに偏ったスタイルではなく、様々な様式と生活に関われるように時代に合わせながら変化してきました。今では、どんな仕事もそうですが、仕事以外の事もある程度分かっていないと、深みのある仕事にならないように思います。それが分かったのが40歳を過ぎた頃なので、遅いスタートだったかもしれませんが、。でも、YASUKOさんの今でも新しい知識を知ろうとする意欲や、ホックニー自身もポラロイド写真や72歳の時に発売されたiPadを使っての画像作成など時代ごとに新しい手法に取り組んでいます。専門職以外の違う知識の多さが深みのある仕事につながっているのではないでしょうか。 8月に開催するアメリカ西海岸レポートでは初めてプロデューサーのYASUKOさんの家も紹介します。アートに囲まれた自邸はモダンすぎず、オリジナルヴィンテージ家具が置かれるセンス抜群のインテリアで岩合光昭の世界ネコ歩きでも撮影されました。その他、1970年代から90年代のハーパスバザーの全盛時代を築いたフォトグラファーのフィリップ・ディクソンの自邸やスイミングファッションデザイナーの自邸を紹介します。お楽しみに!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2023.06.30|

DESIGNER

有名建築家の住宅価値

先日、アメリカ建築雑誌のネットニュースを見ていたら、訪問した事のある住宅が売りに出されていました。2020年のコロナ感染直前の1月に訪問した住宅で、ウエストハリウッドから車で1時間位走ったマリブのパシフィックコーストハイウェイ沿いにある住宅で、数件でプライベートビーチを持つ宅地でした。少し変わったデザインでサンドキャッスルと言われる住宅は、建築家ハリー・ゲスナー氏の自邸として1970年に建てられ、その家に訪問したに2020年には彼自身がインタビューに答えてくれました。そのゲスナー氏が2022年6月に亡くなられ、その自邸が2750万ドル(39億円)で売りに出されていました。 私自身、アメリカで数百軒の住宅を見てきた中で、とても印象に残る家の一軒です。高速道路の道端にあるゲートから海岸まで急な坂を降りていくと、ムーミンの親友のスナフキンの帽子のような形をした家が見えてきました。大自然の中でムーミンが好きなヒッピー家族が住んでいるような印象です。そこはマリブのビーチが目の前にあり波音が聞こえるくらい海に近い場所でした。隣を見ると世界的に有名なウェーブハウスが立っていて、大自然のデザインと近未来デザインが並んで建っている風景は異質に見えますが、何か統一感のある不思議な雰囲気のエリアでした。 隣のウェーブハウスに目が釘付けになったのは、建築的に世界的に有名だったのもありますが、ロサンゼルスへの機内で見た映画イエスタディの中で音楽プロデューサーが住んでいて主人公が呼ばれるシーンがあったからです。この家は1957年に建てられ、シドニーのオペラハウスを設計したデンマークの建築家ヨルン ウツソンのインスピレーションとなり、オーストラリア政府からデザインの許可依頼が来た事でも有名ですが、数年前までロックのスーパースター、ロッド・スチュアートが住んでいた事でも有名になりました。その家に目を奪われながら、スナフキンの帽子の家の前に着くと、木の香りがする自然素材の作りで、人が住んでいる温もりを感じました。 サンドキャッスルの中に入ると中心の暖炉の上から放射状に木製の梁が伸びた円形のリビングが広がり、その窓からサーフィンにちょうど良い波の砂浜が広がって見えます。奥から出て来てくれたアグのムートンブーツを履いた老人が建築家ハリー・ゲスナー氏で、2020年に訪問した時は92歳でした。彼は親日家で、奥様が女優をされていて、映画撮影で日本を訪れていた奥様と新婚旅行として京都など日本を周り、その時に授かった長男にゼンと禅から名付けた事を聞きました。ゲスナー氏はアメリカ陸軍兵として第二次世界大戦のヨーロッパでのバルジの戦いで負傷して帰国し、イェール大学でフランク・ロイド・ライトの建築の授業を聴講し、ライトからライトの建築スタジオのタリアセン・ウェストへの入学を勧められたが断り、南米での遺跡発掘に放浪し帰国後、叔父さんの会社で建築修行をし独学で建築を学びました。 1950年代から本格的な建築設計を始め、珍しいデザインで評判を築き、ウェーブハウスを1956年に設計をしたそうです。クライアントの要望で探したマリブにサーフィンに適した場所を見つけ、その場所でキャンプをしサーフボードで沖合まで出て、現場を振り返りながらサーフボードにグリースで家のデザインをスケッチしたそうです。大学を出ていない彼は、このウェーブハウスで成功した後も、貧乏な生活は続いたそうです。サーフィンが好きなゲスナーは1960年後半にこの場所を手に入れたが、お金が無く、古い電柱や使われなくなった高校の体育館からメープルの床材や、火事になった教会からレンガやドアやステンドガラスをもらい受け、それを使った自宅の建築を作り上げたそうです。お金が無く仕方がなくした事が、今ではサステナブル、エシカルの先駆けだったと、、。 そのサンドキャッスルの訪問は夢のような時間で、ゲスナー氏から直接話を聞けた事は本当に貴重な体験でした。彼の一家は2014年までムートンブーツのアグのイメージキャラクターを務め広告に写真が使われていたそうです。息子さんのゼンさんが俳優から不動産業に転業して、内装をやインテリアはリフレッシュしましたが、販売価格が2750万ドル(39億円)とは土地代というより、伝説の建築家の自邸というアート的な価値になったという事なんでしょう。1970年完成時の施工費が10万ドルと話していたので、すごい価値の上昇です。日本でも歴史的価値のある住宅は残せるような価格で取引してもらいたいものです。 (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2023.05.30|

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これからの高級車のシート素材

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.143 今の高級車のシートは革張りが一般的で、ダッシュボードやドアパネルのインテリアにも革が使用され、革と色違いの糸でWステッチ仕上げなどラグジュアリーな内装の代名詞になっています。昔の国産高級車は毛足の長いモケットが使われ、メルセデスベンツSクラスでも一番手間がかかっていたと言われるW126の上位モデルの560SELは平織りの布が使われていました。車が発明されて1940年代までの高級車は馬車の名残が残っていて、馬車時代は馬を操る人は御者と言われ、主人の乗る屋根ありの馬車の前に座っていました。その名残りでイギリス車の高級車では運転席と後ろ席は区別され、運転席は雨ざらしの中で使える油を染み込ませた硬い革のシートで、主人用の後ろ席は高級な絹などのファブリックが使われて柔らかな仕上げになっていました。 革のなめす技術と表面塗装の耐久性が上がり、高温多湿が多い車のインテリアにも革素材が使われるようになり、本革が高級車のインテリアの代名詞になってきました。滑りやすい革も耐久性の上がった革にパンチング穴で通気性を持たせ、滑りやすかった表面を滑りにくい仕上げにして使えるようになった結果です。上位モデルでは、メルセデスはナッパレザー、BMWはメリノレザーと言われるスタンダードの革より手触りの良い上質な革も用意されています。フェラーリやランボリギーニのようなスーパースポーツカーには滑りにくい素材としてアルカンターラ(ウルトラスエード)と言われる人工スエードがシートだけでなくハンドルにも使われますが、最近では動物愛護や革製造時の公害問題の観点から自然素材のファブリックや人工レザーを使用する車が増えてきました。電気自動車やエコロジーを謳う輸入ファミリーカーが多かったのですが、最近では革素材が標準だった高級車の世界でも環境問題から変化が見られるようになりました。 革の使用については牛肉を食べる副産物からの有効活用されるサステイナブルな素材なのに、環境問題が言われるようになってきたのは地球温暖化に対する人々の意識の高まりからです。温室効果ガスの排出量で畜産業は14%を占め、牛は豚の4倍になり牛のゲップはCO2より温室効果がはるかに高いメタンガスを大量に排出してしまう事から問題視されるようになりました。また、環境問題に敏感なヴィーガンの増加もその影響と言われています。イギリスのランドローバーでは2017年発表のレンジローバー最上位グレードで革とファブリックシートを選択できるようにしました。これはイギリスでヴィーガンの増加に対応と言われています。北欧スウェーデンの自動車メーカーVOLVOでは2019年に2030年までに新車の全てをEV (電気自動車)にする目標と同時に本革を使用しないと宣言しました。ESG(環境・社会・ガバナンス)の関心が高まる中、動物福祉への姿勢を強調することで投資家からの評価を得る狙いとも言われています。 今、様々なメーカーで革に変わる素材の提案が活発になり、植物由来の樹脂やPET再生素材のファブリックなど環境配慮型の素材を当たり前のように謳うようになりました。しかし今、環境問題だけでなく上質な素材としてファブリックが使われるようになったのも少し驚きでした。ドイツBMWのフラッグシップモデルの7シリーズでは標準仕様のシートは革で上位クラスのメリノレザーなのですが、オプションでメリノレザーとカシミヤ・ウールのコンビネーションが136万プラスで選択できます。上質な革より高価なファブリックで、手触りと通気性が優れているそうですが、コンパクトカーが買えるほどの値段とは、、。トヨタのフラッグシップ車で2,000万円を超えるセンチュリーの標準シートはウールモケットで、冬の暖かさだけでなく、夏の通気性にも優れている事から使用されているそうです。これからは高級車のインテリアは見た目の演出だけでなく、環境問題や快適性から天然素材のウールなどを使用した素材も多く出てくるのではないでしょうか。 日本では昔から捕鯨についても骨からヒゲまで全てを使い尽くす文化があり、私自身は食肉の為に生まれた皮を無駄なく革に加工したり、コラーゲンに使用するのはサステナブルで、丈夫で永く使える革素材は環境に優しい素材だと思います。その製造方法については環境に配慮した事はもちろんなのですが、、。当社ではファブリックに関しては規格布の半数以上をエコテックスタンダード100を取得した安全な物を選択しています。使用されるお客様はもちろん製造工場の安全を守るためでもあります。これからの上質さとは見た目と使い心地や耐久性だけでなく環境性能も必要とされる時代になってきました。新しい上質さとは何かを探していかなければいけません。(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2023.05.01|

DESIGNER

ミラノデザインウィークのカーイベント

4年ぶりにミラノへ行きました。フィエラ会場で開催されたミラノサローネ、国際家具見本市と照明展、市内のフォーリサローネなど今年はコロナ禍明けのイベントが行われていました。今年のフィエラ会場の国際家具見本市や照明展は出展会社の減少で会場区分けが変化して少し寂しい感じでしたが、市内会場はブレラエリアを中心に盛り上がりを見せていました。毎回、楽しみにしているのは市内の家具のデザインイベントだけでなく車メーカーのイベントです。同行の女性スタッフは全く興味をそそられなかったみたいですが、車好きな私は毎年楽しみにしていました。 今年も日本のレクサスや世界の車メーカーがコンセプトカーや新型車を展示していました。有名家具ショップが集まるブレラ地区ではイタリア本国しか販売されなくなったランチアが「Lancia Pu+Ra HPE」のカッシーナとのコンセプトカーを展示、ミラノで最も高級ブランドが集まるモンテナポレオーネ通りではBMWやアウディがデザイン展示だけでなく、道沿いに新型車をパーキングしているように停車展示をしています。BMWでは「ハウスオブBMW」として中庭に1973年3.0CLSのフロントマスクをモチーフにしたアート展示を行い、室内では持続可能とラグジュアリーの調和をテーマに、環境に優しいインテリア素材の展示、道路には2023モデルのXMを停車させていました。本国でも珍しいイカついデザインのXMは目を引いていました。 アウディはモンテナポレオーネ通りに電気自動車アウディQ8 e-tronの展示、その近くのコルソ・ヴェネツィアのクアドリラテロ広場にあるアウディ・ハウス・オブ・プログレスではデザイナーのガブリエレ・キアヴェによるインスタレーション「ドミノ・アクト」をテーマにアウディ・スカイスフィアのコンセプトカーを展示するなどデザインに力を入れて多くの人を集めていました。アウディも持続可能性の概念を芸術的に再解釈したテーマで、BMWと同様、環境とデザインがテーマになっています。アウディのオープニングパーティではクラブ化した広場に多くの人を集めていたようです。アウディもBMWも環境的な展示もありますが、どちらもスタイリッシュなコンセプトカーをメインにしてワクワクするような見せ方をしていました。日本では若者の車離れが進んでいますが、こういった楽しめるイベントがあれば、車好きの若者も増えると思うのですが、、。 こういった見せ方は日本のレクサスが最初でレクサスのデザインイメージを全面に出したイベントで多くの人を集めていました。今年、日本のレクサスはトルトナ地区での展示はありましたが、レクサスデザインアワード展示は環境に配慮した作品がメインで、コンセプト展示は少し寂しい展示でした。欧米の人達はデザインに敏感で、禅の世界は認識していますが、スタイリッシュな禅が好きで、チープな世界観は理解されません。車のデザインコンセプトを見せる方法は大変だとは思いますが、ミラノで集客していた頃のレクサスの展示は禅の世界観を感じるスタイリッシュな展示だったので、集客力があったように思います。しかし、本当の千利休の茶室の狭さではなく、枯山水の石庭の龍安寺ような世界観が一般欧米人に受け入れられていたように思います。レクサスの展示を見ていてニッポン頑張れ!と叫びそうになりました。 その近くのフランスのプジョーがEVをレーシングカー展示で見せるコンセプトカーの方がワクワクしました。日本でもコロナ禍前にモーターレーシングのF-1のレッドブルが市内を走らせた時には多くの人を集めていました。今は持続可能性の環境面だけの我慢する過ごし方ではなく、生活を楽しみながら持続可能な社会を作る事が必要な気がしました。4年ぶりのヨーロッパ旅行はコロナ禍で心配しましたが、ミラノへ入った瞬間、マスクしている方が恥ずかしく出来なくなりました。久しぶりのマスク無し行動では本当に楽で自然に歩ける喜びがありました。怖がっていても前には進めません。世界に旅立ちましょう!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2023.03.31|

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建築インテリア写真の基本

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.142 取材や視察では沢山の写真を撮影します。今はデジタルカメラだけでなくスマートフォンカメラの撮影が普通になり、撮影する枚数も飛躍的に多くなりました。20年以上前はフィルムカメラで最大36枚撮りで、フィルム代、現像代や紙焼き代が安くないので、シャッターを押すときにも本当に必要な写真かを考え、カメラのシャッタスピードや絞りを調整しながら慎重に撮影していました。いつのまにかデジタルカメラが普通になり枚数を気にせず写真が撮れるようになりました。また、スマートフォンのカメラ機能も高性能になりデジタルカメラよりも良く見える写真が撮影できるようになり撮影枚数が多くなってしまいます。 2月に訪問したアメリカ西海岸建築ツアーは取材目的もあり、デジタル一眼レフとiPhoneの両方で三千枚を越える写真を撮影しました。枚数が撮れるようになって困るのが、ベストカットを選ぶ事と訪問した建築の中を歩くように見やすい順に並べる事です。写真の順番は撮影した順でいいのでは?と思われるかもしれませんが、歩ける順が通常通りで無かったり、お客様と一緒のツアーの場合は前だけでなく、逆方向からの撮影は最後にしたり、撮れなかった場所を後で撮る事もあります。また、当社の建築ツアーのように2班になる場合は、1班で撮影して撮り忘れや構図が悪い場合は2班で撮り直します。セミナーでお見せする時はピントの合った構図の良い写真だけでなく、建物アプローチから玄関、リビングからダイニングへ部屋順に見せる事も大切になるので、これに一番時間がかかります。 取材出張では撮影から帰ったホテルで毎晩、ノートPCにデータを入れフォルダ分けと写真の確認まではしますが、順番にするまではできません。帰国して記憶を辿りながらフォルダ内の写真全部を見ながら、カードゲームのように並べ替えていきます。当然、写真のピントが合っているか、構図は綺麗かなども考慮して選びますが、数百枚の写真の中から順番通りに並べるのは、記憶をたどるしかなく本当に時間がかかります。それと同時に行うのが写真の編集です。インテリア建築写真の基本となる水平垂直に気をつけながら撮影はしてますが、取材は時間制限のある中、歩きながらシャッターを押す為に多少の曲がりは仕方がありません。気をつける事はパース図と同じように空間の高さの中心くらいにカメラレンズがくるように高さを抑えてカメラを水平に構えます。なにより一番大切なのはピントが合っている写真にする為、脇をしめてブレないようにシャッターを押す事です。 私のインテリア写真撮り方セミナーに参加の方はご存知だと思いますが、写真はピントさえ合っていれば多少のパースの修正や濃淡の補正は可能で、PhotoshopなどのPC用の写真編集ソフトだけでなくスマートフォンに付属している無料ソフトでも補正は簡単にする事ができます。最近ではiPhoneなどスマートフォンのカメラ機能が進化して見やすい写真に自動的に色補正をして撮影ができるようになりました。しかし、気をつけないといけないのが、スマートフォンの画面で見やすく良く見えるような味付けになっていて、多くの場合メリハリが強い写真になっている事です。それは雲のある空の風景を撮影すると分かりますが、メリハリがありドラマチックな写真になり自分が上手になったように思う事です。また、綺麗に見える写真でもパソコンに入れて原寸大で見ると画像が荒い事も認識する必要がります。スマートフォンの明るい小さい画面の綺麗さに騙されています。 デジタル一眼レフカメラとiPhoneの両方で撮影する事はあまりありませんが、一眼レフで撮影してもう少し広い画面や逆光が強すぎる場合はiPhoneでも撮影するようにしています。今回は新しいiPhone14にして建築ツアーの写真を撮影しました。帰国して両方の写真を整理して編集したのですが、現地でパッと見た目はiPhone14の画面で見える写真は綺麗で、こちらの方が良いかもと思っていました。写真編集しながら困ったのが、デジタル一眼の写真に比べ濃淡がはっきりしすぎで色も少し記憶と違う事です。デジタル一眼の写真データは甘く見えていた画像はPC画面で見るとナチュラルな光と色で、ピントも細部まで綺麗に合っています。拡大すると分かるのですが、デジタル一眼の写真データ解像度が高いのが分かります。スマートフォンは小さなレンズと画像を受ける撮像素子が小さいので仕方がありません。 今はスマートフォンの手軽さは生活の一部にもなっています。この時期に淡い桜の花を撮影するには、メリハリのあるとても良い写真が撮れます。しかし、デジタルカメラも細部まで綺麗にナチュラルな写真が撮れる事も忘れてはいけません。写真に興味のある方は使い分けをされると良いかと思います。あと、スマートフォンカメラの撮影で一番重要なのはレンズの汚れです。スマートフォンの面で、むき出しになっているレンズは汚れています。これは最近主流になっているノートブックの付属カメラも同じで開け閉めする時に指紋がついて雲がかかったように見えるますので注意しましょう。今年もまたインテリア写真の撮り方セミナーを開催しようと思っています。お楽しみに!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2023.02.27|

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街の移り変わり

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.141 先日、ロサンゼルスへ西海岸ツアーの引率として2週間行ってきました。晴天続きのカリフォルニアらしい天気が続きましたが、前半の1週間は最高気温24度とちょうど良い暖かさでしたが、後半は最高気温14度と急降下。ロサンゼルスというと冬の無い暖かい場所と思われますが意外と冬は寒いんです。それでも真冬の東京よりは暖かいんですが、、。ロサンゼルスは午前中は寒流のせいで午前中は雲が多く、午後から晴れる事が多いのですが、今回はずっと晴れ渡った日が続き、気温の急激な変化はありましたが、旅行には恵まれた天候でした。 気温の変化で体調を崩したのか急病になり、ソーテルのクリニックに行く事になりました。ソーテルはリトル大阪と言われる街でサンタモニカにも近く、カタログ撮影の時には焼肉や鍋を食べに行く街です。行き慣れた街にあるクリニックは1962年からロサンゼルスに住む横浜山手出身の日本人老ドクターが院長で、同じ横浜中区ということもあり話が弾みました。なんでロスに来ているの?と聞かれ、建築ツアーでロサンゼルスの建物とインテリアを見にきていて、20年近く続けている事を話しました。老ドクターは不思議そうな顔をして、60年この街を見ているけど、この20年間この街は変わっていないし、何か見るものがあるのか?日本の方がよほど変わっていて見るものがあるだろうと。たしかに、グリフィス天文台から見下ろすロサンゼルスの街並みは20年前から変わっているように見えませんでした。たしかに、アメリカの販売される住宅の70%以上がリノベーションで、ロサンゼルスでは目立つ新しい高層ビルも建ってはいません。 今回、ダウンタウンのアップル社が劇場をリノベーションしたアップルシアターと、その近くにあるウォルトディズニーコサートホールの前に新しく完成した、The Grand LAのコンラッドホテルの見学をする事ができました。建築では新旧の両極にあるような建物で、両方の有り方を同日に感じる事がありました。アップルシアターは昨年のコラムにも書きましたが、LAのダウンタウンの大規模都市再生のプロジェクトとしてアップル社が参加し、1926年に建てられ1988年から閉鎖されていた劇場を2018年に買収し2021年までに耐震を含む構造改修を行いアップルストアとしてオープンさせました。そのアップルシアターを含むビルにはスニーカーブランドのVANSの旗艦店も入居しました。近くには2014年にエースホテルが1927年に建てられたビルをオープンさせています。このエリアは1920年代のアール・デコ様式のビルが多く残るエリアで、アール・デコを代表するイースタンビルも健在で数年前に、デパートからアパートメントビルとして再生されました。今回訪問したエリアには多くの閉鎖されていた1920年代のアール・デコ時代のビルが改修を待っていました。 一方、ダウンタウンエリアには1960年代から再開発された場所(ロス疑惑事件の場所・若い方は知りませんが)があり、1695年に完成したロサンゼルス水道電力局の本部ジョン・フェラーロビル以降、様々な新しい建物が作られました。近くには1986年完成の磯崎新設計のMOCA現代美術館、2008年完成のフランク・ゲイリー設計のウォルトディズニーコンサートホール、2015年完成の現代アート美術館ザ・ブロードが並びます。昨年、ウォルトディズニーコンサートホールの向かいに、ゲイリー設計のショップとホテルとコンドミニアムのある複合建築のThe Grand LA完成し、新建築好きな人にはたまらないエリアになっています。2008年にディズニーコンサートホールでカタログ撮影した時には前が更地で何が出来るんだろうと思っていましたが、まさかフランク・ゲイリー設計の複合施設が出来るとは、、。今回、コンラッドホテルの建築ツアーを受け入れてくれる事になり訪問しました。この場所は24年かけて開発され、ホテルはフランク・ゲイリー設計の建物とタラ・バーナード& パートナーズのインテリア設計で2022年6月に完成しました。訪問した時にはまだエントランスが工事中で完全完成が待たれるところでした。 ロスのダウンタウンでは古いオフィスや商業施設ビルを改修して住居が作られ、車を使用しなくても生活できるようなスタイルが増えつつあるようです。建築価値のある1920年代の建物を利用した街全体の再開発、新しい建物の建つエリアでは既存に無いデザインの建築などを分けて建築計画が進められている事や、改修工事や新築についても計画や工期に年数がかかるために、街の変化がゆっくりで、街の変化が無いように感じるのかもしれません。ロサンゼルスからの帰国の機内から見える東京の街並みを見ながら、東京の高層ビル化の街並みの変化に老医師の言葉を思い出していました。今回のロサンゼルスの建築取材は夏のセミナーでお届けする予定です。お楽しみに! (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2023.01.30|

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ハイエンド住宅のインテリア

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.140 2023年もひと月が経ち、寒さが厳しくなってきました。今年は10年に一度の寒さという事で日本海側の大雪など被害が続いていますが、皆さんお元気でお過ごしでしょうか。こう寒いとアメリカ西海岸の暖かい晴れた天気が恋しくなってきます。今年の12月から1月のロサンゼルスは大雨続きで、いつもの山火事被害の代わりに雨の被害があったそうです。1月末になり晴れる日が多くなり、乾燥した大地に青々とした草木が見られるそうです。1月はじめに開催したWebセミナーアメリカ西海岸建築レポートVol.24は無事終了しましたが、今まで開催した西海岸セミナーの中でも最高額の住宅案内に反響が高く、途中参加の方からは再演と望む声も多く寄せられました。 そのアメリカ西海岸建築レポートVol.24の内容を少しお見せしたいと思います。販売方法は前回のコラムで書いたので、今回は家の事をお話しします。販売住宅のオープンルームの取材は初めてで、ハイエンドと言われるベルエアに建つ住宅取材も久しぶりでした。アメリカのオープンハウスの多くが火曜と日曜の二日間だけなのでタイミング良く滞在していた事もあり、見る事が出来ました。なぜ火曜で、時間も11時から14時までの3時間だけで、期間は3週間が通常とのこと。なぜこの時間なのかは、聞くのを忘れたのですが、この短い時間に販売する相手の訪問があるのか、ここまで高額な不動産を契約出来るのかが疑問でした。 オープンハウスに入っても、A4ペラの情報を渡されるだけで、別に案内する様子もありません。ところ所にはスタッフらしき人もいますが、動作方法を説明するくらいで、気さくな感じで話しかけはしますが、ついて回る事はしません。私自身がそんな物件を購入する人に見えないのかもと、Tシャツとデニム、スニーカー姿を後悔しましたが、お金持ちそうな人でも同じ感じで、自由に見せていました。こちらは取材の事を話しをして、一眼レフカメラと動画はNGと言われ、iPhoneで撮る事になりました。iPhoneでのインテリア撮影セミナーをしてるので、写真には自信はありましたが、取材時は一眼レフで撮影していたので少し心配でした。しかし、PCに落として見た時に驚いたのはiPhoneで撮影した写真の方がメリハリがあり綺麗に撮れていた事です、、。 数十億円レベルになると、来場者はベルエアの近所に住む人か、不動産の仲介業者がオーナーに依頼されて来ているかと言う感じで、購入希望者が実際に見にくる事は少ないようです。このベルエアのオープンハウス前に見たハリウッドの500万ドルの家の方が来場者多く、購入希望者が見にきている様子でした。少ない来場者なのもあり、優雅な音楽が流れる家の中を誰にも邪魔をされずに見る事が出来ました。音楽が全ての部屋やプールのあるテラスに流れている理由はスピーカーが部屋の天井、テラスの天井にもある事で、ホテルのように緊急放送が出来るようになっているのもかもとも思いました。A4の資料にはベッド数とバスルームの数、建物の床面積がメインに掲載され、次に土地の広さ、床面面積単価の表示があり、平面図の記載が無いのと、建物の床面積の方が重要なんだなと思いました。 訪問した最初のオープンハウスはアメリカンハウスで、3,695万ドル日本円で約48億円。7ベッドルーム8バスルームがある1938年建築を2022年にリノベーションされた家です。767平方メートル(232坪)の床面積の家で土地は2,387坪あり、建物の単価は1平米625万円のプライスです。このクラスの家を見るのは初めてで緊張しました。磨き上げられたフローリングの床を歩くだけでも最初は緊張しましたが、自由に歩いてねと言われたのですが、平面図が無い大きなお屋敷を歩くのは一苦労で、とりあえず、フォーマルリビングから始まり、フォーマルダイニング、キッチン、寝室へと歩きます。これは今までの住宅の取材時にオーナーに案内していただいた経験が役に立ちました。1938年の住宅を完璧にリノベーションして仕上げるには相当な経費がかかったのは想像が出来ました。日本庭園のある庭は本当に広く歩くだけでも良い運動になりました。 次の家は隣にある2022年新築のモダンハウス、7ベッドルームの11バスルームで4250万ドル、約55億円。建築家ゾルタン・パリの設計によって2022年に建てられてました。1,565平方メートル(474坪)の床面積の家で土地は1,045坪です。建物の単価は1平米352万円です。ブロンズパネルが使われた外壁の建物を入り、資料見ながら、先ほどの家の土地面積が2,387坪なので半分以下なのに価格は1.2倍とは土地の金額は住宅の価格に影響は無いのかなと不思議に思いリビングに進みました。フレンチウォールナットの優しいブラウン色のフローリングが使用された部屋が続き、モダン家具が並ぶ広い部屋はどこからでも光が入る明るい空間で、カノンが流れる空間を体が浮遊するように進みました。インフィニティープールはもちろん、地下のメディアルームまで手抜きの無い作り込みです。なんとなく、和の印象を受ける部屋の作りは今のアッパー層の和に対する認識の高さへ働きかける手法かなとも思いました。 どちらのオープンハウスも素晴らしい家でしたが、少し疲れました。年間の税金や電気代の事を考えるといったいいくらの年収が必要なんだろうと、、。そんな事を考える人はこのクラスの家には住めませんね。これらのオープンハウスを歩いて思ったのはインテリアが本当に大切なんだなと。2月にまたロスへ取材に行ってきます。また夏には新しい情報をお届けできればと思います。お楽しみに! (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2022.12.23|

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ロサンゼルス住宅のハイエンドとは

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.139 今年も終わろうとしています。寒さも増し白い息が目立つようになってきました。皆さんにとってどんな一年だったでしょうか。私自身は久しぶりの海外取材に行く事が出来ましたが、来年早々のアメリカ西海岸セミナー用のために、久しぶりに大量の写真編集に追われています。今回は9月にアメリカで2年半ぶりに取材した13件の中から、不動産販売のオープンハウスの3件と不動産仲介会社事務所での模様をお届けします。今まで、実際に使われている住居やオフィスの取材は2百件以上してきましたが、販売目的のオープンハウスを取材したは初めてです。それも今まで取材してきた中で規模も金額も最高額で、ベルエアのマンションというレベルは初めてでした。 撮影でお世話になっているウエストハリウッド在住のYASUKOさんが住宅を売りに出すために、依頼されている不動産仲介会社に取材に行き販売手法を聞きました。そこは2011年に設立したアメリカ最高級不動産会社で、現在では6兆円以上の取引をする企業になりました。その設立メンバーの1人のブレアさんという方は、YASUKOさんがファッション写真のプロデュースをしていた時にモデルで何度か仕事を依頼した事があり、その後、インテリア業や不動産業をされ今の会社を設立しました。その関係でYASUKOさんも自宅の販売を彼に任せる事になりました。ビバリーヒルズのオフィスを訪れましたが、ビバリーヒルズコップの映画の舞台になった市庁舎から近く、グーグル社も入っている新しいビルのワンフロアのオフィスでした。 その不動産仲介会社は、個人で不動産業を営んでいる人が登録する会社で、世界に30を越えるオフィスがあり、事務所スペースの提供や個人と物件のホームページ掲載や、不動産の写真や動画の撮影などの環境提供がされ、個人では取引できない高額な信用保証など、高額物件での販売に必要な条件が備わっていて、現在でもエージェントの数が増え続けています。インタビューした中で、そうだなと思ったのは、高額物件を販売する為の工夫で、今までは家をそのままの状態で販売をするか素材のみ新しく改装して、不動産情報誌やネットに掲載する中古住宅の売り方だったのを、インテリアをデコレーターに依頼し、プロのカメラマンでの撮影を行い、ネット掲載はもちろんですが、物件によってはハードカバーのパンフレットを作成して、イメージで付加価値を高める事をしている事でした。 その不動産仲介会社は、彼がモデル時に登録していたモデルエージェンシーのようなスタイルで、モデルの付加価値を高めるためにプロのカメラマンに撮影するなどその頃の経験が生かされているようでした。それだけ、高額物件になると実入りも大きいが、そのためにも手間を惜しまないという事なんでしょう。不動産仲介での様々な手法の中で一番大切な事はなんですか?と聞くと、信用はもちろん一番大切だが、お客様の物件をより良く見えるように価値をつける事が大切で、それをPRする写真が重要との事で、ホームページ上の写真も静止画から動画で見せるようになりイメージ撮影などもとても大切になっていると。高額物件を欲しがるユーザーに対してのテイストや見せ方に柔軟に変化させる事も重要との事でした。やはり高額な物を販売するためには様々な努力が必要なんですね。 今回、1月のセミナーでお見せするのは、彼の仲介する不動産では比較的低価格の5億円の1920年代のアメリカン住宅。今まで取材した住宅の最高額になる60億のベルエアのモダン住宅までの3軒をお届けいたします。2軒がリノベーションされた物件で1軒は新築物件です。どれもインテリアデコレーションは完璧です。今のロサンゼルスで取引されている初夢のようなハイエンド不動産物件をご覧になりませんか。お楽しみに!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2022.11.25|

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最後のアメリカ西海岸ツアーに向けて

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.138 2週間続いた2023年モデルの発表会を無事終えてホッとしています。新作のコンセプトも好評でしたが、新製品へのSDG’sへの取組みが好評で、今後は従来製品の環境問題への改善も必要になる必要性を感じました。東京の展示会では撮影でお世話になっているロサンゼルス在住プロデューサーのYASUKOさんが来社されました。このコロナ禍で三年ぶりの日本への帰国で、来年2月に予定しているアメリカ西海岸ツアーの話もすることができました。今回企画中のツアーはYASUKOさんの完全帰国により最後のツアーで、9月にロスへ行ったのもツアー先と現地の安全性を確かめるためでもありました。 YASUKOさんとの出会いは、20年近く前のアメリカ西海岸でのカタログ撮影がスタートでした。国内でのロケ撮影で他社との差別化とハウススタジオでのリアリティを出す事に限界を感じていた時、香港かオーストラリアやバンクーバーで海外ロケをしたいと大手印刷会社や広告代理店に見積もり依頼をすると、製品移動費や現地での機材やカメラマンなどの撮影費が膨大になり、とても当社が出せる金額ではなく、TVCMなど出せる大企業でなければ無理だと諦めてしまいました。しかし元来諦めが悪く何か手がないかと、知り合いのカメラマンを通じてロサンゼルスの撮影プロデューサーのYASUKOさんを紹介いただき相談しました。アメリカでの撮影はあまり頭になく、ロスではモダンな建築ばかりで、クラッシックやヴィンテージなどの雰囲気のある写真は難しいだろう、そして、アメ車と同じで質の悪い建築ばかりではと思い込んでいました。 YASUKOさんに相談すると、ロサンゼルスはハリウッド映画が基幹産業で、街全体が撮影への理解もあり、市の協力体制など、撮影がしやすく、なにより世界中の建築様式を撮影する事が可能だと言われました。まずは、ロケハンに来て実際に見てみればと言われたので、すぐにロサンゼルスへ飛びました。YASUKOさんに最初にお会いした時に思ったのは、小さく華奢な身体の方で、私達のような家具メーカーが行うハードな撮影は理解していただけないかもしれないという事です。しかし、その思いはすぐに間違っていた事に気づかされました。ヨーロッパのファッション雑誌やカメラマンのための撮影プロデューサーもしているという事で、予算が少なければ、工夫しながら一緒に身体を動かして仕事をされる方で、当社の事を十分理解してくれました。最初はアメリカでの撮影なので、ロケバスやケータリングでのランチなど手配しないといけないのではと思っていましたが、ランチやドリンクの買い出しや、機材手配などYASUKOさん自ら行って、私も荷物異動など自分達でできる事は全て行い、予算の中で撮影をする事ができました。 最初は厳しい予算の中の撮影なので、それなりの写真しか難しいかと思っていましたが、YASUKOさんは日本でも有名な世界的写真家のヘルムート・ニュートンやピーター・リンドバーグなど沢山の巨匠カメラマンとも仕事をされており、プロフェッショナルとして仕事をするために、ファッションだけでなくアートや建築について深く勉強をされていて、そのプロ意識の中で様々な人とも付き合った様々なブレーンや友人がいて、撮影場所の選定で重要なインテリア小物の質から場所の良し悪しも見抜いてしまいます。そういった眼力から当社の撮影は、場所の良さだけでなく、インテリアとしても本物の空間で撮影することができました。嬉しい事に、私自身の事も気に入ってくれ、会社としての仕事を引退してからも瀬戸さんの撮影だけは続く限りはしていきますと言ってくれました。これはデザインだけでなく、仕事の姿勢がYASUKOさんと同じ一生懸命な気持ちが通じるからとの事でした。そういう事で、ウエストハリウッドのYASUKOさんの家の小物だけでなくガレージも荷物置き場に借りる関係になっていました。 何回目かのロサンゼルスでの撮影後に、お客様から当社の撮影場所を見てみたいとの話があり、撮影した場所を訪問するツアーが始まりました。撮影プロデューサーのYASUKOさんにツアー開催のアテンドをお願いする事には気が引けましたが、お話をすると、建築やインテリアが大好きで生まれ変わったら、建築家かデコレーターになりたいと思っていたので、当社のお客様のインテリアデザイナーやコーディネーターの方を案内するのは光栄で、何より新しい建築を見る事ができるので楽しみだと、それからコロナ感染まで続けてきました。今まで、アカデミー賞受賞者の家やハリウッド俳優、建築家やグッチのカメラマンのグレン・リッチフォルド氏のホテルなど雑誌に取り上げられる住宅の多くを見てきました。 いよいよ、来年にYASUKOさんの完全帰国となり、最後のツアーを開催する事になり、今までのツアーでお見せしなかったウエストハリウッドに立つYASUKO邸も訪問許可をいただきました。YASUKO邸は岩合光昭の世界ネコ歩きでも撮影された住宅です。現在、決まっている建築は、写真家の巨匠フィリップ・ディクソンのベニスビーチの住宅や、スイムファッションブランドのブルーロッド・ビーティのデザイナーの住宅の2軒、その他に最後を飾る建築や住宅を計画しています。また、YASUKOさんの友人の不動産業の方に見せていただいた60億円レベルの家を見れるように交渉しています。アメリカ西海岸のセレブが住まう生きたインテリアを見るチャンスは貴重です。申し込みは11月30日まで。このチャンスをお見逃しなく! (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2022.11.07|

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ネオ70年代デザイン

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.137 11月9日からエーディコア・ディバイズの2023モデルの新作発表会がスタートします。今年のテーマは「NEW70’」として製品作りを進めてきました。その触りを少しお話ししたいと思います。70年代のインテリアイメージはヴィヴィットカラーやプラスチックのイメージを持たれがちですが、それとは違い今のインテリアに合うようにリデザインされたセブンティーズデザインに注目が集まっています。注目されたのはファッションの世界で1970年代が注目され、若者を中心に新しい70年代の解釈がされ、さまざまなデザインにも取り入れられています。アメリカのオークションサイトでは1970年代デザインのソファが高額で取引されるようになり、ミッドセンチュリー家具から70年代家具に人気が移りつつあります。 私自身、小学校から高校まで1970年代をリアルに過ごしたので、昭和時代のファッションは古臭く、特にあの時代のファッションのベルボトムパンツなんてもう絶対来ないと思っていましたが、1990年代以降に生まれたY世代やZ世代にとっては生まれる20年以上前の時代の事で、古い感覚より新しい感覚で、今のファッションと組合せて使われています。私がデザインという言葉に初めて触れたのは1975年のスーパーカーブームでイタリアカロッテェリアの存在に胸踊らせた中学生時代でした。家具に興味を持ったのは高校のインテリアデザイン学科に入学してからで、書店の洋書コーナーでイタリアのインテリア雑誌のINTERNIやdomusを手に取った時の衝撃は忘れられません。また、その時代の洋書にあったオリベッティのマリオ・ベリーニデザインのタイプライターの広告で工業製品の美しさを知りました。 1970年代は、世界ではウォーターゲート事件、泥沼化していたベトナム戦争のサイゴン陥落よる終結、中東戦争での石油ショックの発生、スリーマイル島の原子力発電所の事故など暗い事が続きました。日本では大阪万博、沖縄返還、沖縄海洋博など明るい出来事が多くありましたが、日本列島改造論からの急激なインフレーション、石油ショックでの景気低迷やトイレットペーパー不足噂による狂乱、青酸コーラ無差別殺人、ロッキード汚職事件など暗いニュースも多くあり、1970年代の世相は今の時代に似て、不安が続く年代でもありました。その不安な時代の70年代終盤にその不安さを和らげるように世界では、柔らかな新しいデザインが生まれインテリアデザインにも多く取り入れられ、低い柔らかな形のモジュラーソファや椅子のデザインが生まれました。 2020年からの新型コロナウイルスの影響で、多くの人は働く場所や生活環境を急激に変える必要がありました。その事からリラックスできる環境空間や、目に優しい色合いと身体的心地よさが求められるようになりました。心を落ち着ける効果のある暖色系のブラウンや開放的な空間や、柔らかな座り心地のソファなど、70年代の柔らかなデザインが今の時代にピッタリだったのではないでしょうか。もう一つの70年代のファッションは、この数年、カジュアルな洋服の着こなしに対して社会全体が容認し、ノーネクタイやデニムでの出勤が許されるようになり、スニーカーがトレンドとして認められるようになった事、この閉鎖的な環境から解放されるようにリラックスしたフバギースタイルやオーバーサイズのファッションが合ったからです。しかし、1970年代そのままでなく、より進化したファッションやインテリアスタイルに生まれ変わってきています。 エーディコア・ディバイズではこの数年、エフォートレススタイル、大人のカジュアルをイメージしてデザインを発表してきました。2023モデルでは「NEW70’」として大人の快適なネオセブンティーズデザインを発表します。デザインだけでなく、より環境に配慮したこれからの家具がご覧いただけます。ぜひ、東京広尾、大阪心斎橋、名古屋栄ショールームでお確かめください。今回もレコードジャケットをイメージしたカタログ持ち帰り用のバッグやお土産を用意してお待ちしています。(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2022.09.30|

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アメリカ西海岸の今

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.136 久しぶりにアメリカロサンゼルスへ行ってきました。2020年2月から2年半ぶりの海外です。アメリカ西海岸建築ツアーが復活できるか、現地のコロナ感染の状況や建築インテリア状況を見る事が目的です。2年半ぶりのロサンゼルス空港は少ない入国者数で混乱も無く、短時間に入国する事が出来ました。日本と違うのはマスク無しの人がほとんどで、空港内でのマスク着用を呼びかける垂れ幕だけが虚しく揺れていました。レンタカー会社のカウンターに並ぶ人のほとんどはマスク無しで、マスクをしている方が恥ずかしく思えるほどで、コロナ感染は無かったような雰囲気です。急激な円安で覚悟はしていましたがレンタカーもホテルも値上がりで、2年半前の2倍近い値段になっています。 定宿のウエストハリウッドのホテルは改装が終わり新しくなっていましたが、駐車場代が2年半前に1泊32ドルだったのが55ドルになっていたのには驚きました。いつも行くスーパーのTrader Joe’sでの生活必需品の値上がりはそんなに感じませんでしたが、高級オーガニック系のホールフーズではかなり値段が高く感じる物が多く、一般的な食品でもクラスの価格差が大きくなっているようです。ガソリンは市内の安い所でレギュラーで1ガロン(3.78L)5.2ドルと日本円で約200円と、2年半前の3.5ドルとはかなり値上がりしています。一般的なハンバーガーのFATBURGERのオリジナルが6.5ドルでドリンク付けて10ドルなので、日本円で1,450円。日本では同じ物が980円なのでかなりの割高です。エリアの価格差も大きく、サンタモニカのアボットキニー通りの普通のテイクアウトのサンドウイッチが20ドルと3,000円近くするので、ランチで1人5,000円払う事もありました。今のアメリカではエリアやクラスの差が大きくなったと感じました。 感染予防で外食する事はありませんでしたが、街の飲食店は感染前の賑わいに戻っています。インテリアやファッションの店がどうなっているか、ラ・ブレアにあるショッピングセンターのグローブを見に行きました。ザ・グローブはショーッピングモールの中でも勝ち組でしたが、行くとアパレルショップの多くが閉店していて中堅アパレルの苦境を感じ、いつも行く2階建の大きなスペースを持つインテリアのクリエイト&バレルだった場所がアップルストアに変わっていました。今、世界の企業の中で最も収益を上げているアップルは各地で新ストアをオープンさせていて、ザ・グローブの新ストアは昨年11月にオープン、同時期にダウンタウンにもアップルタワーシアターを新オープンさせいました。現地でも話題になっている2箇所を見てきました。 現在、主なアップルストアはノーマン・フォスターが率いるイギリスの建築設計事務所フォスターアンドパートナーズが設計しています。Apple at The Groveはグローブの中で最も大きなスペースがあり、9.5メーターの高さの全ての天井には鏡面素材が使用されその鏡天井が外まで伸び、店舗内の空気感を外まで伝える効果があり、道の向こうを歩いているのに店舗内にいるような感じを受けます。外のファザードには横3メートル、高さ9.5メートルの大きな引き戸があり、開け放された扉から反対側の扉を通して自然換気されています。両側の展示壁の前には16本の生木のベンジャミンツリーが床下に掘られたポッドに植えら、天井の直線状の天窓から自然光が取り入れられ外にいるようです。また、外のベンジャミンツリーと一体になったインテリアが建物内と外の空気の境界を無くしています。シャープでモダンな素材とナチュラル素材の組み合わせは、こらからのインテリアの方向性を感じます。 ダウンタウンのApple Tower TheatreはLAのダウンタウンの大規模都市再生のプロジェクトとして1927年にチャールズ リーによって設計された映画館を再生した店舗で、特徴的な時計台とテラコッタファサードと漆喰のインテリアを復元し、劇場の天井中心にあるドームには南カリフォルニアの空を再解釈したフレスコ画が描かれていました。一階の客席部は展示スペースで、二階の階段席には革張りのベンチが置かれ使い方レクチャーの席として使用されています。様々なフォーラムを行うアップル劇場としての機能もある店舗でした。アップルザグローブ、アップルタワーシアターどちらの店舗も劇場的要素を入れ、売るだけでなくブランドの世界観を見せるための店舗は、世界で最も収益を上げる会社の勢いを感じる店舗でした。 ザ・グローブのアップルストアにいて当社の広尾本社を思い出しました。エントランスも吹き抜け展示空間の前に大きな樹木があり、3階の天窓まで届く大きなベンジャミンツリーはここより背が高いかもと。やはり、生木の植物は癒されるなと思いました、ちょうど、11月初旬の新作展示前の展示品セールが始まりました。この機会にショールームへお越し下さい。アメリカ西海岸ツアーは現地プロデューサーYASUKOさんの完全帰国に伴い2023年2月に最後のツアー開催を予定しています。(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2022.08.31|

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人間工学のモジュールは許容範囲として

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.135 先日、人間工学セミナーを開催しました。1000名を超えるお客様にWeb参加いただきましたが、終了時に協力いただいているアンケートの感想やご意見の書込みが今までで一番多く、皆様からの反響の高さに驚きました。アンケートには「昔習った事を再度思い出した」、「参考資料を見て決めていた」、「人体寸法から割り出せれた数字が使われている事で認識が変わった」など沢山の感想をいただきました。今回の人間工学では高齢者のモジュールやカウンターの高さ、テレビを置く高さや距離など私自身も再度調べる事があり、勉強になりました。自分自身も人間工学的に高齢者(60歳以上)になっている事にもショックを受けましたが、何歳になっても勉強する事の大切さを知る機会になりました。 テレビの高さや距離については液晶やプラズマのハイビジョン対応の距離などの資料がありますが、メーカー推奨距離は4Kや8Kの高解像度からかなり近い観視距離になっていて、快適に見るための距離ではありません。現在のテレビの標準観視距離は,視力1.0で画素構造が見えなくなる距離で画面高の3倍以上とされていますが、この距離では画像自体を粗くなく見る事は可能ですが、画面全体を自然に見る事ができません。それは人間が自然に画像を見ることができる有効視野は左右30度程度だからです。高さは目線とテレビの中心の高さは同じと書いてある事が多いのですが、その高さは座る椅子やソファの座の高さや姿勢によって変わります。人間の日常生活での有効視野は上下20度程度でその範囲以内が最適な高さと言われます。しかし、楽に見る事のできる角度は-15度程目線を下げた状態です。この左右上下の有効視野は高齢になればだんだん狭くなってしまいます。 受付やキッチンの高さも人間工学から割り出されたモジュールで、カウンター高さは1000ミリ前後と決まっている事が多く、それに合わせて作る当社のカウンターチェアは座位点からの差尺は280ミリとしてSH750ミリ前後で設計されています。なぜ、この1000ミリのカウンターが決まったのか?と調べると、決まった理由については奥が深いものでした。郵政省のカウンター高さが1000ミリと決まったのは昭和46年ですが、人間工学的に人間が立った状態で肘を前に90度曲げた状態の床から肘頭までの距離、肘頭高(ちゅうとうこう)の高さと同じ作業台として1000ミリが割り出されました。これは日本でも検証されましたが、それより前にゼネラルモータース社のファーレイが男子と女子が立った状態の作業や上下の棚に手を伸ばす場合の台の高さなど標準値を定めた寸法が参考になっていますが、その時のモジュールは肘頭高距離が基本で男子で1050ミリ、女子で930ミリでした。現在でも日本人の平均から割り出された肘頭高の高さは男女平均1000ミリとして使用されています。 キッチンでは調理道具を使っての作業を行うために、その高さより100ミリ程度低い高さが良いとされ日本のJISではh800、h850、国際規格のISOではh900、h950となっていて、だいたいのメーカーからはこの4つのモジュールから選べるようになっています。これは日本人平均の肘頭高距離の1000から-100でh900となりますが、奥様が立たれる場合として女子の肘頭高距離平均のh964-100でh850が現在の標準キッチンの高さになっています。今は男性もキッチンに立たれる事が多いので、男女平均ではh900の方が男性女性両方が使える高さになるようです。しかし、私の母のように148センチの身長ではキッチン天板が高くステップを置いて料理をされている高齢者もいるのではないでしょうか?めったに台所に立たない身長180センチの父の方が使いやすそうでした。本当にその方に合ったキッチンの高さを出すためには肘頭高距離を測って、それから100ミリマイナスするしかありません。ご夫婦両方が使われる場合は平均値を、一方だけならその方に合わせた方が快適に使用できるようです。 産業に使われる人間工学の各部位は217箇所ありますが、モジュールは数百人の実際計測から平均値を出したもので、最高と最低からの5%の人は除外されます。その平均値から出されたモジュールですので、それから割り出されたモジュールを使っての製品は平均値から離れていない人は使用できるでしょうとの事です。洋服などでもサイズ感や下着など身体に合わせる必要がある場合はもっとサイズが細分化されています。しかし、家具など不特定多数の方が共有する場合は男女間の平均値で製作する必要があります。しかし、人間は器用なもので、ある程度の差は慣れで使いこなします。人間工学も絶対ではありません。許容範囲内で製品が作れる目安だという事を知る必要があります。 私自身は170センチと日本人の平均身長なので、自分が目安に作れるので恵まれた身体だと今では親に感謝しています。洋服など既製品が合うので、オーダーメイドはする事はありませんが、ジャケットなどは腕の長さが左右1センチ違うので、お直しに出します。メガネもまつ毛が長いので(鼻も低いのですが、、)鼻パッドが一体のセル素材の場合は、鼻パッドを金属の物に特注してもらいます。当社の家具はお客様一人一人に快適にお使いいただけるように、座の高さなど特注をお受けしています。ぜひ、ご相談ください。(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)