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2022.07.29|

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時を超えるデザインはバランス

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.134 ネット版のArchitectural Digestを読んでいます。アーキテクチュラルダイジェストは1920年に発刊されたアメリカNYのインテリアデザイン雑誌で、毎年、世界で最も影響力のあるインテリアデザイナーや建築家を表彰するAD100リストを発表しています。その100人の中の半数以上は、デコレーターが占めており、アメリカでのインテリア業界の地位の高さを感じます。そのサイトで当社のカタログ撮影で使用したビバリーヒルズにある住宅の事が出ていました。オーナーはスパイダーマンで主演したトビー・マグワイアなど有名ハリウッド俳優のエージェントで、1957年に建てられた家での撮影と彼との話を懐かしく思い記事を読みました。 撮影に使ったのは10年近く前の2013年で、カリフォルニアスタイルのエーモードとネオクラシコの撮影をしたのですが、モダンでもクラッシックでも部屋によってどちらにも合う住宅でした。この住宅は2006年に購入後5年かけ改装し、撮影時には完成後2年経ていましたが、床のテラゾーが驚く仕上がりで、部屋から庭の隅々まで緻密で、アメリカの建築精度の高さを考え直す機会になりました。また、奈良美智や村上隆のアート、ジェフ•クーンズの花瓶など本物の現代アートが置かれたインテリアのセンスには驚きました。床が尋常で無い綺麗さで、メイドさんが床掃除の時に掃除機を使わせてもらえないと漏らしていて、撮影時に建物を傷つけないように作業をするのに本当に気を使いました。撮影で使用する家は本当に綺麗で特に男性一人で住んでいる家は一部の隙がないくらい整っています。 アメリカ西海岸のインテリアはそれぞれ個人の好みで作られて、これが流行ったから右に倣えではありません。この数年はヴィンテージ家具を使ったインテリアが多く、時代を合わせた古びた懐かしさを感じるインテリアではなく、その年代の建物を新築時の状態にレストレーションにさせる手法もあります。また、デザインされた時代ばかりを合わせるのではなく、違う時代の家具やアートをうまく合わせる事によって、新たなモダン建築へと生まれ変わらせています。そういったエクレクティックスタイルも新たに生まれたインテリアスタイルです。この住宅の写真を見ながら改装されて10年以上経っているのに、今見ても少しも古くなく、新鮮に見えるのは建物の綺麗さだけでなく、家具やアートのバランスなんだという事がよく分かりました。 撮影に使った家は1957年に建てられ、オーナーのエリック・クランツラー氏は子供の頃このエリアに有名コメディアンのダニー・トーマス家を見るためにお父さんに連れて来られ、この辺りに家を持つ事が夢になったそうです。2006年にこの家を購入し、デコレーターのブラッド・ダニングに依頼をして改装が行われました。ダニングはトム・フォード、ソフィア・コッポラを顧客に持つ有名デコレーターで、オリジナル設計に基づいて平面レイアウトを戻し、この家の唯一オリジナルで残っていた玄関とダイニングの床に使われていた人造大理石テラゾーを修復し、建築素材を全てアップグレードしました。撮影前に床の修復について、今はほとんど居なくなったテラゾーの職人探しから始り、施工に3年以上かけたと聞いてピカピカの仕上がりに関心しました。建物だけでなく、アート・ルナが手がけたランドスケープとの調和も素晴らしい住宅でした。 2013年に撮影したイメージカタログを見ながら、時を超える製品デザインも重要だが、時を超えるインテリアに置かれるのも大切な事を感じました。インテリアは建築と家具、小物やアート、カラーなどバランス感がとても大切で、どちらかが突出しても低くてもダメなんですね。家具単体でなく置かれる空間をイメージできるかが、これからのデザイナーに求められるように思います。今は2023年モデルの新製品デザインの佳境です。お楽しみに! (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2022.06.30|

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運命の出会い

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.133 山下達郎が11年ぶりの新しいアルバム「SOFTLY」をリリースし、オリコン週間アルバムランキングで1位になりました。山下達郎は1973年活動開始で、もうすぐで50周年になることもあり、雑誌BRUTUS最新号でも山下達郎特集が組まれています。矢沢永吉、松任谷由実、桑田佳祐など65歳オーバーのアーティストの存在感がコロナ禍の中で増しています。さっそく「SOFTLY」を入手し、その中の「LOVE'S ON FIRE」のPVをYouTubeで見ましたが、山下達郎らしい都会的な曲とENDoの軽快なダンス動画は、達郎の年齢を重ねても今の空気を感じ取れる仕事は流石というしかありません。 初めて山下達郎を聞いたのは「RIDE ON TIME」で1980年大学生になった時でした。その後、1982年リリースのアルバム「FOR YOU」でファンになり、今でもiPhoneで「FOR YOU」を良く聞いています。新しい音楽は聞くようにしていますが、山下達郎の40年経た音楽が今でも新鮮でお洒落に感じるのは本当に凄いと思ってしまいます。大学生の時に感じた新鮮さと時間を経ても色褪せないセンスは私自身の仕事の手本にもなっています。昔は音楽を聴くのはレコード盤から入れたカセットテープで、山下達郎のアルバム「FOR YOU」もレコードジャケットを見て、なんて格好良いグラフィックデザインなんだと感心し、デザインの仕事でこんな方と仕事ができればと憧れていました。若い時は雑誌やレコードジャケットでデザインセンスを吸収するしかありません。ファッション雑誌の「流行通信」もその頃センスを磨くために良く見ていました。 社会人で家具のデザインをするようになり、家具デザインだけでなく、カタログ作りや撮影などPRする仕事も物作り同様、とても重要な事を感じて、様々な分野の方と一緒に仕事をするようになりました。2000年から高原宏さんというグラフィックデザイナーの方と仕事をするようになり、当社の広告やカタログ、海外撮影のディレクションなど多くの仕事をご一緒してきました。私自身、何をされていたより、今の仕事が重要だと思っていたので、高原さんが何の仕事をされてきたのかあまり聞いた事はありませんでした。何年か経ってふとした話から、高原さんが山下達郎や宇崎竜童のレコードジャケットを昔から手がけられていて、流行通信のアートディレクターをされていたと聞いて、本当にびっくりしました。学生時代に憧れた山下達郎の「FOR YOU」も高原さんの仕事で、その方と偶然仕事を一緒にしていた事に運命を感じると同時に、お互い引き合っていた事を感じました。 高原さんからいつか聞いた事ですが「FOR YOU」のジャケットデザインをする前、レコーディングスタジオで山下達郎さんからヘッドフォンを渡されて「自分がこだわっている音を聞いて欲しい」と言われて何回も聴いたそうです。残念ながら高原さんにはそのこだわりは分からなかったそうですが、それだけ音へのこだわりを高原さんへ教えたかったんだと思われたそうです。一緒に仕事をしてものすごく勉強になったそうです。瀬戸さんと仕事をしていてこだわりの部分と達郎さんが一緒だなと思った事が何度もあったと。達郎さんは職人気質が非常に強く、自分の中で消化した独自の理論があり勉強になりますが、瀬戸さんと話をしていると同じだなと何度も思ったと、、。憧れの山下達郎と一緒と言われて嬉しく思った事を思い出しました。 高原さんは温厚な人柄で人の話をじっくり聞いて仕事をされる方で尊敬できる人の一人です。「BRUTUS」山下達郎特集の中にお名前が出てきます。撮影のカメラマンの丸山さんやフランス人のドミニックさんやロスのプロデューサーのYASUKOさんなど尊敬する方々と仕事ができる事に運命を感じる日々です。コロナ禍で会えない日々が続いていますが、そろそろ海外ロケハンを兼ねた取材に行こうかと思っています。(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2022.05.31|

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SDG’s的な素材を考える

AD CODE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.132 先日、バーチャルスニーカーが150万で売れた事がニュースになっていました。リアルに履く事ができない、CG画像のバーチャルスニーカーで、所有する事だけが目的で、メタバースと言われる架空空間で自分のアバター(分身)に履かせることができるスニーカーです。いくらシリアル番号があり、自分しか所有できないと言っても、PC画像内だけの物に150万を支払う市場があることに驚きと理解できないと思いました。リアルな世界で仕事をしている私などには理解できない事ですが、2次流通と言われる転売では数倍以上の値段で取引がされているようです。CGなので素材劣化の心配はありませんが、、。 リアルなスニーカーでも2次流通は増えていて、有名ブランドの人気モデルの手に入りにくい特別モデルだと購入後すぐに数十倍で転売されています。今はそれを狙って利益目的に転売する人たちも多くいるようです。スニーカー趣味の人には2足購入して1足は保管用として使用せずに飾っているそうです。以前もブログに書いたことがありますが、今のスニーカーには発泡ポリウレタンが多く使われていて、水分と化合物が化学反応を起こし紫外線で進行をさせ、加水分解してボロボロになってしまいます。履かずに大切にしまっておいたスニーカーのソールが履いた瞬間に崩れてしまった話をよく聞きますし、私自身も経験があります。この加水分解はポリウレタン素材には必ず起こる現象なので、加工された瞬間から劣化は始まります。今でもこの加水分解の劣化は持つ時間が長くはなってきましたが、防ぐ事はできず、平均耐用何数は製造から3~5年と言われていますので、消耗品として理解するしかないようです。 車の世界では、1980年~90年代の車が人気で、転売目的で高く取引がされていて、ハコスカやフェアレディZのようなネオクラッシックカーだけでなく、スカイラインGT-R34、マツダRX7といった比較的年数の新しいスポーツカーなど程度の良い車は1千万円を越える金額で取引がされるようになりました。これはアメリカに25年ルールというクラッシックカー登録制度があり、登録から25年以上経た車は右ハンドル輸入禁止解除だけでなく、関税、排気ガス規制も対象外になりアメリカを走れるようになり、映画スピードで人気になった90年代の日本車が若者を中心に人気で、投資の対象にもなっているからです。しかし、旧車で問題になっているのが、スニーカーで問題になっている化学合成パーツです。その時代の車はダッシュボードだけでなく、コンソールやドア内側、ハンドルやシフトノブまで発泡ウレタンが使用されていて、表面のべとつきや形状崩れなど、室内の多くが劣化が進んでいます。また、その時代のアフターパーツが無く代わりの物が手に入らない事です。 私が乗っているカルマンギアは比較的新しい年代はあまり残っていません。これは樹脂パーツの使用が多く、修理やアフターパーツが無いからです。足回りやエンジンなど金属の物はアフターパーツがあるので、交換や修理すれば良いのですが、樹脂パーツはありません。樹脂パーツは金属型で大量に作ると安く製造できますが、金属型が無くなれば、作ろうにも作れないからです。よほどの人気車でなければ、再生品もありません。先日、フランス車のシトロエンの日本ミーティングが行われましたが、2CVやクラッシックDSは多く、日本で1980年代に一番売れたBXという車種の方が少なかったそうです。ネオクラッシックというだけで購入すると大変な目にあう事になります。アフターパーツが多いか、修理できる工場があるか、自分で修理できるか、よく調べて購入しましょう。今、販売されている車は性能も良く壊れにくくなっていますが、液晶モニター、LEDランプや発泡ウレタンなど劣化する機械や素材がメインで、30年後に存在する車は無いのではないでしょうか、、。 家具の世界ではビニールレザーは最強で長持ちすると思われている方が多いのですが、ポリウレタンが使われた柔らかい人工皮革は加水分解が起きやすく、起きにくいと言われる塩化ビニールも数年後には固くなる事が多くあります。化学化合物の劣化は仕方がなく、その都度、張り替えなどメンテナンスを行えば良いのですが、結局は高い物になってしまいます。革はSDG’s的に悪者と言っている人もいますが、牛肉を食べる以上必ず取れる天然素材で、堅牢でメンテナンス次第で長持ちします。靴もポリウレタンでなく、ソールにゴムを使った製品であれば、手入れすれば長持ちしますし、自然由来の素材の素材であれば環境にも優しい物になります。使い捨てでなく、何年使えるかを考えて素材選びをするのもSDG’sの大切な責任の一つです。(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2022.04.28|

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西海岸ロケハンの思い出

AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.131 まだ新型コロナ感染が収束しませんが、欧米ではマスク着用義務解除の動きが加速しています。日本では新型コロナを感染症法上の引き下げを検討する動きが出てきました。今後、引き下げになると予防接種や医療費が自己負担になる事もあり、自己での予防の必要性はより重要になりますが、、。でも、そうなると世界との移動もある程度自由になり海外旅行への夢も広がります。美容室で髪を切りながら雑誌を見ていると、見た事のある場所を使っての広告写真がありました。スパーブランドの広告写真の多くは世界統一広告が多く、そのブランドの今の販売ターゲットが見えるので、広告を見るのもこれからのデザインの方向性を感じる大切な時間です。 これはミラノサローネの展示会も同じで、販売先のニーズが企画とデザインに反映されるので、世界的なトレンドとはまた違った方向性の製品が発表される事が多くあります。これはサローネ取材を続けていた時に必ず、今のメインの販売先とターゲットを先に聞くようになってから、そのデザインを理解する事ができました。ロシア、ドバイが好調なのはロシアの富裕層がドバイにも家を持ち、そこへの販売するためのデザインだったり、最近は中国が好調なら中国人の方が好むデザインを取り込むなど、イタリア人ビジネスを理解する事ができました。ハリウッド映画に最近中国の俳優が多く使われるようになったのも、映画を中国に売り込むための手法です。これは、バブル時代に経済で世界を席巻していた日本をイメージした映画が多く作られた手法と同じです。 美容室で見た雑誌の広告はイタリアのブルネロ・クリチネリです。ブルネロ・クチネリは1978年、イタリア・ペルージャで創業したラグジュアリーブランドで、カラーカシミヤを使用したニットブランドでスタートました。ブランドのコンセプトは、スポーツシックラグジュアリーで、イタリアの職人技術を大切にしたスーツ、ジャケット、シューズ&バッグやアクセサリーをはじめ、最近では、クッションやブランケット、キャンドル、ダイニングアイテムなどライフスタイルコレクションも展開しています。その広告を日本でも見かけるようになり、ロロピアーナと同じようにスーパーブランドでなくても、高価格帯の製品が売れるようになったのかと思っていました。 そのブルネロ・クリチネリの広告で使用されていたのが、ロサンゼルスのハリウッドの崖上にピエール・コーニッグが1958年に設計し建てたケーススタディハウスNo22のスタール邸です。ここにはアメリカ西海岸で撮影をスタートする2006年に最初にロケハンした住宅で、その後、当社のツアーでは何度も訪れている場所なので、すぐに分かりました。ファッションテイストはアメリカン・トラディショナル。撮影場所からもアメリカがターゲットなのは理解できます。新型コロナ感染でスペイン風邪以上の死者数を出したアメリカではいち早く経済活動をスタートさせました。好調なアメリカを販売先のターゲットとした販売戦略なのでしょうか、、。スタール邸は何度もファッションブランドの広告に使われ、今でも世界で一番有名な住宅として知られています。久しぶりに見た広告写真にスタール邸が使われていて懐かしく思いました。 初めて訪問した2006年にはスタールの奥様がご存命で、ご主人とピエール・コーニッグの事、家の歴史など説明していただき、実際の住まいとして使われているスタール邸を見る事が出来たのは夢のような時間でした。日本建築が源流のカリフォルニアスタイルの住宅で、全ての窓が引き戸になっていて、室内に立って初めて眼下に見える景色とインテリアの融合が、まさしく日本建築から来ている事を感じました。スタール邸にはその後、何度も訪問していますが、奥様がお亡くなりになって息子さんが相続し、有料公開をされていましたが、今は他の団体が所有し予約制で1時間$60~$90の有料ツアーでの公開になっているようです。今は新型コロナの影響でツアー中止になっていますが、いずれ再開されるのではないでしょうか。 海外ファッションブランドではパンデミック終息後を見据え、リアルに人と会い語り合える、当たり前だった日々の幸せを再認識し、改めてエレガントなウェアに身を包む大切さを、素材感や作りの良さからを感じさせる広告が増えているように感じます。リモートで出歩く事が少なくなり、ファッションがイージーでラフになっているように思います。そろそろ大人のエレガントを楽しみませんか。当社でも素材感を感じるファブリックや上質な製品が出るようになってきています。来月のレイアウトセミナーではエレガントな姿勢や導線をお話ししようかと考えています。お楽しみに!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2022.03.30|

DESIGNER

アメリカ最高額の住宅の裏話

AD CODE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.130 東京では桜が満開を過きました。今年の桜は花のつきが良く明治通りぞいは桜のトンネルになりました。春になってもヨーロッパではロシアのウクライナ侵攻が続いており、暗い雲が世の中を覆っています。物価が上がり、ガソリン価格も上昇が続いています。ヨーロッパではイタリアが1リッター260円を超えて、ドイツでも200円後半になったと聞きました。その中、アメリカ不動産住宅市場は高額物件を中心に活況が続いているようです。先日、地上波TVで「全米史上最大・最高額の豪邸」の見出しが気になって見ると、ロサンゼルスの高級住宅地ベルエアに建つ330億円の住宅を、サンフランシスコ在住の野沢直子さんがレポートをしていました。撮影が1時間以内だったので、全ては紹介しきれていませんでしたが相当な豪邸でした。 その後、ロス撮影でお世話になっているYASUKOさんの友人で、高級不動産を扱うブレアさんのホームページに掲載されているかもと、見てみるとベルエアの住宅として掲載されていました。取り扱い物件だった事に驚きましたが、2月28日から3月3日までの入札物件として、2億9500万ドル(354億円)の価格がつけられていました。場所はビバリーヒルズよりハイエンドなベルエアにあり、そのもっとも山の上にある敷地は105,000スクエアフィート(9754平方メートル)でロス市内が360度見渡せます。寝室は21部屋、バスルームが45と1/2、駐車場は50台分との表記でした。バスルームが寝室数より多いのはリビングやプールにあるのはもちろんですが、寝室に2つあるので必然と部屋数より多くなります。ホテルのような建物の規模に対して寝室が少ないと思ったのですが、フォーマルリビングやダイニングも複数あり、いくつ部屋があるのかサイトからもよく分かりません。 テレビでは4レーンある本格的ボウリング場や5つのプール、シアタールーム、キャンディ用の部屋は紹介されていましたが、実際にはリビングスペースだけで20箇所以上、ダイニングもそれに近い数があり、フルサービスのビューティーサロンとウェルネススパ、巨大なスポーツジムもあります。ジムだけならロスの住宅なら当たり前ですが、その中にスムージーやプロテインをサービスする為の大きなカウンターバーがあります。ボウリング場の隣にはゴルフ練習場や屋上にパターゴルフもあり、ガレージは50台の駐車スペースがあり入り口にはバレーサービス用の待合室もあります。普通なら5つ星ホテルの中にある施設が全てあるような住宅で、中を歩くだけで疲れてしまいそうな規模です。いったい何の目的で建てられたのかと思う規模で、ホテルや企業の宿泊施設として使用できそうですが、ベルエアの住宅地にあるため、個人邸としての利用しか出来ません。どんな人がどんな目的で作ったのかを調べてみました。 この住宅は映画プロデューサーから不動産開発業者に転向したナイル・ニアミにより10年以上かけて開発されました。ニアミが全米一豪華な住宅を目指して計画したのですが、2019年完成時に建築構造的問題などの工事遅れなどでコストが増加し5億ドル(当時550億円)で販売をしました。今でもそうですが、1億ドル以上の物件はなかなか売れません。結局、破産しこの住宅は裁判所命令の管財人の管理となっていました。今年になり2月28日から3月3日まで入札販売として希望価格2億9500万ドル(354億円)の値が付けられましたが、最高入札額は1億2600万ドル(151億2000万)で落札されました。当初の金額からは72.5%の値下がりなのでかなりのお得物件です。オークション手数料を合計すると1億4100万ドル(169億2000万)になり、超高額な住宅には間違いありません。購入者はアメリカのファストファッションブランド、Fashion Nova CEOのリチャード・シャギアンです。 Fashion Novaは私自身全く知らないブランドで、アメリカで5つの実店舗しかないスーパーファストファッションブランドです。ファストファッションは落ち目と言われていましたが、Fashion Novaは2006年にインスタグラムを中心としたソーシャルメディアマーケティングを利用したPR活動で売上を伸ばしているブランドで、モデルや有名人、一般に近いインフルエンサーと言われる人たちに有料でPRさせたり、無料配布での広報活動をし、ネット販売がメインのブランドです。スーパーモデルなどを使用せずに、太めアメリカ人のリアルサイズを見せた売り方と身の丈にあった価格が好感を得て若い世代に売上を伸ばしているようです。それでも手数料入れて170億円の住宅を購入できるとは、、。151億円の家だと年間の固定資産税1.25%だけでも2億近く毎年支払う事になります。それにメイド、ガーデナー、プールメンテナンスなど維持費は想像を絶します。それとプールの水道代、、。 テレビでレポーターが1時間かけても半分も紹介できないくらいの規模の住宅です。主寝室だけでも都内の億ション以上の広さで、画像を見ながら想像はしますが、あまりの規模で疲れてしまいました。オークションでの米国の最高販売額の2倍以上、世界記録よりもほぼ50%高い価格の住宅ですが、快適性は?掃除するだけで大変と考えるのは庶民なんでしょうか、、。夢の中のような住まいですが、想像できる規模の住宅が実際には快適なように思います。今年か来年にはアメリカ西海岸ツアーは開催したいと思っています。ここまでの規模は見学できませんが、リアルな住まいをお見せできるように今から探さないと、、。 (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2022.02.28|

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これからの電気自動車

AD CODE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.129 何回か車について書いてきましたが、小さな頃からクルマ好きで、新車が出るとネットチェックはかかせません。半導体不足や新型コロナ感染禍で自動車の納品が遅れ、輸入ディーラーではショールームへの展示車も不足している状況で、人気車では4年待ちなどの驚く話を耳にしたりします。昔はディーラー在庫の中から選ぶ事ができたのが、今は乗り換え時期の一年以上前にオーダーする必要になっています。また、故障や事故によるパーツ在庫も不足していて、私自身もパーツ不足からバンパー修理するのに半年もかかってしましました。今後、自動車購入はリセールバリューだけでなく、修理期間などのサービス対応も選択基準にいれなければと実感しました。 自動車雑誌のサイトで気になったのが、韓国の自動車メーカーのヒュンダイがヒョンデとして日本へ再上陸し、水素自動車と電気自動車を販売するニュースです。ヒュンダイ自動車は日本国内で乗用車を販売していましたが、2009年に販売不振で撤退しています。この時は日本車の品質と、デザインと価格に対してパフォーマンスが足らなかった事が一番の理由です。その後、韓国国内での反日感情からの不買運動など、両国間での国としてのイメージが悪化し、再上陸はできませんでした。その後、ヒョンデはデザインだけでなく性能や品質を大きく進化させました。ヨーロッパでのWRC(世界ラリー選手権)では2019-20212年連続ワールドチャンピオンになり、昨年はトヨタと最後までポイント争いをして2位になりました。その影響もあり、販売台数はヨーロッパでトヨタを上回り、北米ではホンダを上回っています。 今回、再上陸するヒョンデの電気自動車「アイオニック5」のデザインをネットで見て気になり、原宿に出来た期間限定のポップアップスペース「ヒョンデ ハウス 原宿」を見てきました。ミラノサローネに行けなくなって2年以上、車の展示イベントに行っていなかったので楽しみでした。「ヒョンデ ハウス 原宿」は、ヒョンデが掲げている「LIFE MOVES.」ZEV(ゼロエミッション・ビークル)から生まれるサステナブルで創造的な新しいライフスタイルを表現し、体験してもらうスペースです。JR原宿駅前のジング原宿内に900平方メートルの⾯積を利⽤し作られていました。山手線の向こう代々木体育館側から見ると建物にLIFE MOVES.の文字とアイオニックの写真がラッピングされています。 建物内の一階は3部の展示に分かれていて、1部はLIFE MOVES.に共鳴する4⼈のクリエイターとともに、⾃由で豊かな暮らしのアイデアを創りだす「LIFE MOVES. People」展⽰ギャラリーで、3週ごとに展示が入れ替わります。訪問した時は建築家・長坂常氏の住まう「旅する住まい」で、木製フレームにナイロン布をグラスフィバー樹種で張ったカヤックのようなモバイルハウスを展示。2部はパラメティック ピクセルとして電気自動車「アイオニック5」のデザインコンセプト、パラメトリックピクセルをイメージしたの鏡と映像のインスタレーション空間。3部は実車の展示と車に使用したサステナブルな素材の展示がありました。2階は会員登録すれば入れるカフェラウンジになっていました。 展示されていたアイオニック5の外観はシャープでオリガミのようなエッジの効いた造形で、ひと昔前なら市販前のコンセプトカーに見えるくらい、カッコ良いけど販売するにはかなりの社内的手直しがあるだろうと思えるような思い切ったデザインです。ロングベース車体は、今の売れ筋なっているSUV風で、ドアハンドルは平面で乗降時にポップアップする機能です。仕事がら気になっていたインテリアデザインもコンセプトカーそのままの印象で、手の触れる素材感や、革張りシートのエッジに施されるパイピングには素材違いのファブリックが使われるなど、とても丁寧に作られた仕上がりでした。運転席と助手席には脚乗せのオットマンがあり、停車時のリラックッスモードに使われます。スイッチ類は使いやすく残されており、テスラやメルセデスベンツのCクラスのように大きなタブレットだけがある味気ないダッシュボードではありません。 インテリアに使用される素材は、亜麻仁油を使って加工された革や、植物油から作った塗料が使われたスイッチ類、サトウキビから抽出された糸や、リサイクルペット樹脂からを使ったファブリックなど、サスティナブルな素材が使われています。この辺りは環境問題に敏感な若い世代には共感を持たれそうです。電気自動車メーカーのアメリカのテスラは自動車をスマートフォンやPCのような電気製品的な物作りをしていますが、アイオニック5については未来的な外観デザインの中に環境的を配慮してエコフレンドリーな優しいインテリアを融合させていました。車の出来は素晴らしく韓国の車でなければ、売れるのではないでしょうか。実際、ヨーロッパではドイツでカーオブザイヤーを取り、電気自動車のシェアも上位になっています。韓国での反日感情が収まり、お互い友好的になれれば、日本メーカーの脅威になるのではないでしょうか。 新型コロナ禍で鎖国状態が続き、世界のデザインや、物に触れる機会が少なくなっています。携帯電話のように、世界から取り残されないようにしなければいけません。オリンピックは終わりましたが、日本頑張れ!と思いました。当社も2022年からサステナブルな製品作りに舵を切っています。今年はよりエコフレンドリーな素材を取り入れた製品企画をしなくては、、。お楽しみに!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2022.01.28|

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Made in JAPANは品質の証

AD CODE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.128 2022年もはや1か月が経ちます。新型コロナは年末に感染収束かと思われましたが感染拡大が止まりません。皆さんお元気でお過ごしでしょうか。コロナ禍で出張が減り、Webセミナーなどで、人前に出る事も少なくなり、運動不足から体重は徐々に増えてきました。コロナ禍前はお客様の前ではフォーマルなパンツで、社内にいる時はジーンズをはく事があったのですが、この2年はほとんどがジーンズで過ごすようになりました。屋外での運動があまりできない事もあり、サイズが合わないジーンズが増えてきたので、整理する事にしました。 海外に行くと1本はジーンズを買っていましたが、この2年は海外出張が無かったので、新しく購入するために久しぶりにデニム屋さんに行きました。オーソドックスなジーンズが好きなのでストレートを選ぼうとすると、同じモデルでもいろいろあり悩みます。あるメーカーでは、価格カテゴリーで通常版とプレミアム版があり、製品の製造国では、東南アジア製、日本製、アメリカ製。プレミアム版の中でも東南アジア製がある、、。使用されるデニム生地はジーンズの裏の外側に赤耳と言われる、幅が80センチのデニム布を使ったセルビッチというタイプと、通常の幅広のデニム布を使用したタイプがあります。そのデニム布は日本製が最上位品になっています。ジーンズの価格順としては東南アジア製→日本製→アメリカ製(布製造国不明)→アメリカ製(日本製布)とUPしていきます。 学生の頃から製品の製造国には関心があり、高校時代にスケボー修行した1970年代のアメリカでは、ヘインズやフルーツオブザルームなどアメリカブランドのTシャツなどはMade in USAだったのですが、観光地でのお土産小物やTシャツが日本製や香港製で、購入する時に気をつけた記憶があります。その頃、ナイキのワッフルソールが出始めでアメリカ製でした。ナイキの中ではナイロンコルテッツが安く人気で、見た時にオニツカの靴に似ているとなと思いましたが、軽さと履き心地の良さで購入しました。日本に帰ってタグを見るとMade in JAPANで少しがっかり、、。後で知ったのですがナイキのスタートはオニツカの輸入代理店からで、当初からコルテッツは日本で製造されていました。日本製のコルテッツは柔らかだったのですが、何年か経ち買い換えると硬くなり履き心地が悪くなりました。製造国を見ると韓国になっていました。それから台湾、フィリピン、タイ、マレーシア、中国と人件費の安い国に製造国が変わっていきました。 海外のブランド、特にアメリカブランドではジーンズだけでなく、靴や洋服に使用する素材で日本製だけは表示する事が多く感じます。ジーンズのようなアメリカを代表するファッションの中でも高級ブランドは、Made in USAが必須なのですが、その中でもMade in JAPANファブリックを使用する事が上級製品の証になっています。これは岡山を中心としたデニム布産地物の織元が品質の向上を続けていた事が、品質のブランドにもなっています。それから波及するように、他のファブリックや製品にもMade in JAPANが高品質を表示する証のように使われるようになっています。高校生の時にアメリカで見たMade in JAPANを恥ずかしく思った事が遠く懐かしく思います。 これからは、製品の製造地だけでなく、使われる材料の産地も気にされるようになる気がします。当社は1985年より国内家具工場で製造されています。使用する材のブナ材などは日本国内産でしたが、現在はヨーロッパ産の物になり、オーク材は北米産になりましたが、どちらも森林循環型の環境に配慮した木材を使用しており、クッション材や塗料などは日本国内の物を使用しています。ジーンズを整理しながら、当社もMade in JAPANを誇りに思える品質を持続していかなければと思いました。(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2021.12.28|

DESIGNER

夢のハイエンド住宅

AD CODE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.127 2021年が終わろうとしています。2年目になったコロナ感染の中、皆さんはいかがお過ごしだったでしょうか?インテリア、建築業界ではウッドショックから様々な材料の値上がりや入手困難など、昨年以上に大変な一年でした。ウッドショックの要因にもなったのが、北米の住宅販売の好調から、オーク材などの木材不足による材料の高騰です。アメリカではネット販売や株式投資など、特に影響のなかった業界人の高額物件の不動産取引が好調で、これは東京都心の高額物件が好調な理由と同じです。 アメリカ西海岸での撮影や取材でお世話になっているYASUKOさんが、遠くない時期に日本に帰られる事になり、ウエストハリウッドの自邸を販売するために、内外装の工事を始めたと聞きました。YASUKOさんの住宅はロス市街から海までを見渡せる山の中腹にあり、不動産価値が最も高いと言われる、ジェットライナービューが望める場所にあります。その販売依頼をしている不動産会社が、当社の建築ツアーで住宅を紹介していただいた事のある、ハイエンド住宅を主に扱う不動産会社です。中国系アメリカ人のブレア・チャンさんが経営する不動産会社のホームページを見ると、驚くような価格の住宅ばかりです。 数十億円以上の住宅は全て家具付きで、高額物件には高額なアートや家具が置かれていて、何も置かれていない住宅は一つもありません。ここまでの物件になると家具やアートが無いと想像できないし、デコレーションされた空間となって初めてインテリアとして価値が生まれるのでしょう。手がけたデコレーターやインテリアデザイナーの名前も表記され、イタリア有名家具ブランドのディレクターやアンバサダーデザイナーなどが名を連ねます。久しぶりに見るホームページでは相変わらず高額物件が多く。高い住宅では100億円を超えるものもあります。ロサンゼルスでは固定資産税が家も含めての購入金額の1.1%以上なので、年間税金だけでも1億以上になります。これに高い火災保険や維持費を考えると、、。 住宅のインテリアデザインはその時代時代で、購入される方の出身国や年代によって違います。特にウエストハリウッドやビバリーヒルズの山に建つ住宅はその時代に隆盛を誇る人種によって大きく変わってきました。40年以上前ならYASUKOさんのようなハリウッドセレブの俳優、20年前ならアラブ系、10年前ならロシア系、5年前なら中国系、その後はIT系の若い世代など、移り変わってきました。今はネット系の若い経営者や役員なのでしょうか、、。20年近く前からロサンゼルスで撮影のために、ロケハンで回っていたので、その変化は分かります。今のホームページで見る住宅は、コロナ禍になる前に見ていた住宅と違い、少し派手でキラキラしたデザインが多く、白や黒の鏡面が目立つように思います。 2022年はどの国や業種の方が購入層になるのでしょうか、、。2022年1月最初の建築セミナーはモダニズム建築「ハイエンド住宅とホテル」です。お見せするのは2017年取材の30億の住宅、2019年取材の25億の住宅、2020年取材の現代アートハウス、ウエストハリウッドのキンプトンホテルの4箇所です。どれも、旬のデコレーターが手がけた物件です。未だ衰えを見せないアメリカ西海岸の高額物件を感じてみませんか。(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇) 2022アメリカ西海岸建築レポートVol.22 「これからの建築とインテリア4」 開催のご案内 ▶︎

2021.12.02|

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家具とインテリアのSDG’s

AD CODE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.126 SDG’s(エスディージーズ)を掲げる企業が増え、テレビでも聞かない日はありません。改めてSDG’sについて考えてみました。2015年9月25日の国連総会国連総会で採択された国際社会共通の目標で、2030年までの新たな持続可能な開発の指針として策定した「持続可能な開発目標」Sustainable Development Goalsが、SDG’s(エスディージーズ)です。17の世界的目標、169の達成基準、232の指標からなる持続可能な開発のための国際的な開発目標なのですが、全ての事を企業が目標として達成することは不可能で、様々な企業が17の目標に対して自分達の分野で取り組みを始めています。 17の目標の中で、家具やインテリア業界が目標として取組みやすくすぐにでも実行できるのは「11. 住み続けられるまちづくりを」と「12. つくる責任つかう責任」「15. 陸の豊かさも守ろう」の3つです。この3つを達成する努力をすれば、他の目標も目標に近づきます。具体的には下記の3つの目標に対しての達成基準に対して取組む事が可能です。 11. 住み続けられるまちづくりを:持続可能な都市及び人間居住を実現する -3 包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化。 -6 大気質、廃棄物管理への特別な配慮などを通じて、都市部の一人当たり環境影響を軽減 12. つくる責任つかう責任:持続可能な生産消費形態を確保する -2 天然資源の持続可能な管理および効率的な利用を達成 -4 製品ライフサイクルを通じて化学物質やすべての廃棄物の環境に配慮した管理を達成し、環境への排出を大幅に削減 -5 予防、削減、リサイクル、および再利用により廃棄物の排出量を大幅に削減 15. 陸の豊かさも守ろう:持続可能な森林の経営、土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する -2 森林の持続可能な管理の実施を促進し、森林破壊を阻止し、劣化した森林を回復し、森林再生を大幅に増加させる エーディコア・ディバイズでは、1985年創業から、永くお使いいただけるように「一度製品化した製品を廃盤にしない」無駄な物は作らない「受注生産のオーダーシステム」環境に配慮する「国内工場で有毒物質を含まない材料で生産」自然環境に配慮する「森林循環型の木材を使用」を行いSDG’sへの取組は始まっていたのかもしれません。しかし、今後、一層のサステナブルを考えた製品作りを目指すために2022年受注分より、梱包の製品梱包時に使用している養生材の化石燃料を原料とするプラスチックカバーや発泡スチロール等の保護材を全面廃止など様々な取り組みを行います。 SDG’sについて長く書いてしまうと、取組む事がとても難しい事のように思えます。一番は物を大切に永く使っていただく事が一番で、そのために、永く使えるデザイン、強度やメンテナンス性を考えた製品作りをする事が必要です。普段から使う物も、使い捨ての製品よりも、永く使える息の長い製品を選ぶようになれば、SDG’sを実践できると思います。などと、思いながら自分の靴を修理に出しに行きました。このコロナ禍で外出や出張が少なくなり、靴の裏を減らす事は少なくなりましたが、定番のデザインで、修理可能製法と素材で作られた靴なら数十年修理しながら履く事が出来ます。それも、修理可能な状態で修理に出すことが安価に長く使えるコツです。 新しい革靴は足が慣れるまでに時間がかかりますが、履き続けた革靴はソール内のコルクが足裏に馴染んでとても履きやすくなっています。それを捨てるなんてもったいない事なんです。また、永く使った物には愛着と思い出が残っています。修理から帰った靴を磨きながら、ミラノやパリの街を歩いた事を思い出していました。良い感じに使い込まれた靴を見ながら、自分もこのように良い感じになれれば良いのになとも、、。2022年モデルも永くお使いいただける製品になったと思います。ぜひ、ショールームでお確かめ下さい。(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇) 環境への取組み 詳細はこちら https://www.adcore.co.jp/news/13927

2021.10.30|

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建築写真家とカリフォルニアスタイル

AD CODE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.125 昨日から2022年モデルの新作展示がスタートしました。新作展示の後ろに飾られている大きな写真パネルと、ショールームでお渡ししている大判のタブロイドカタログの表紙の写真が、今までの当社のカタログとは印象がかなり違うので、お客様に驚かれています。今回の新作のカタログ用写真は古都鎌倉にある築90年の古民家で撮影を行いました。その写真は今までロサンゼルスで撮影してきたカタログ写真と全く違う印象で、反響を心配したのですが、お客様の反応は好意的でとても良い感想を頂いて少しホッとしています。 今回の新作はカリフォルニアスタイルのエーモードからの発表なのですが、カリフォルニアスタイルの家具を日本の古民家の撮影とは、不思議に思われた方もいると思います。新型コロナ禍の中でロケに行けなかったからなんだろうと。しかし、私にとってはごく自然な流れだったんです。それはいつかブログでも書いたのですが、建築家のリチャード・ジョセフ・ノイトラらが始めた新しいモダン建築のカリフォルニアスタイルの源流が日本建築だったからです。世界のモダン住宅の基本にもなっているカリフォルニアスタイルの源流が日本で、そのカリフォルニアスタイルに合うデザインすればモダンインテリアに合う家具になる事を想像し、A-modeブランドを創りました。 ロサンゼルスのケーススタディハウス#22のスタール邸もカリフォルニアスタイル建築の一つです。この住宅を世界的に有名にしただけでなく、建築写真をアート的な価値に高め、カリフォルニアのモダン建築の美学を世界中に広め沢山の建築家を有名にしたのはジュリアス・シュルマン。シュルマンは1936年にノイトラの事務所で製図技師として働いていた時に、コダックのポケットカメラでハリウッドのノイトラ建築を撮影した写真が、ノイトラの目にとまり建築作品の撮影を依頼を受けるするようになり1950年に独立しました。その後、ノイトラ建築のほとんどを彼が撮影しました。ここでもノイトラが関係していた事は驚きですが、フランク・ロイド・ライト事務所から始まったカリフォルニアスタイルが、ノイトラが形にしてそれをノイトラのスタッフだったシュルマンが世界的に広めた事を知り繋がっている事に少し驚きました。シュルマンはアメリカ建築家協会の名誉生涯会員資格を与えられた唯一の写真家です。 シュルマンの撮影した住宅はノイトラの代表作のカウフマン邸、ピエール・コーニッグのケーススタディハウス、イームズの自邸など、建築に詳しくなくても彼の撮影した建築は知っている方も多いのではないでしょうか。彼のクライアントはフランク・ロイド・ライトからオスカー・ニーマイヤーとミース・ファン・デル・ローエなど1950年代から60年代のミッドセンチュリー時代の有名建築写真のほとんどを手がけました。Life、Look、Timeなどの雑誌に掲載された写真から、建築様式としてのモダニズムの広報に重要な役割を果たしました。その事によって、近代的な家を促進することを目的とした「ケーススタディハウスプログラム」プロジェクトが立ち上がり、ピエール・コーニグなどその時代の若手建築家が手がけた多くの家が、カリフォルニアのモダン建築の象徴となりました。その源流になっているのが日本建築です。 アメリカ西海岸でコーニッグやノイトラの建築を見て、当社の新しいブランドを創りましたが、世界のモダン建築の源流が日本で、全て繋がっていた事に運命的な感情を持ちました。新作展示のショールームではロサンゼルスでの撮影にお世話になっているYasukoさんにいただいた、本も飾られています。Yasukoさん自身もシュルマンが撮影した多くの家で撮影をし、彼にもお会いした事があると聞きました。全て何かで繋がっている事を感じた秋です。東京広尾、大阪心斎橋、名古屋栄のショールームで鎌倉で撮影した写真もご覧ください。お待ちしています。 (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2021.09.30|

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インテリア本

AD CODE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.124 新製品の発表が近くなり、カタログ製作も佳境に入っています。使用されるイメージ写真は久しぶりに日本国内で撮影を行いました。ロケ撮影で大切なのが、ダイニングやリビングでの製品の置き方だけでなく、花や小物デコレーションです。それが空間に華やかさや落ち着きを与えます。今回も様々な小物を用意して撮影に向かいました。デコレーションで本も多く使われます。取材やロケハンに訪れるアメリカ西海岸の住宅でも、クラッシックやモダンやヴィンテージなど違うインテリアスタイルの中でも共通して置かれるのが、大きな本です。 西洋ではインテリアは知性の表現と言われるように、その建物の持ち主や住まう人の趣味や知性を表すインテリア表現です。日本では容姿や身なりで人を判断してはいけないと教育されますが、西洋ではその逆です。日本でも自分の姿を律する言葉として使い、自分の身なりはどうでも良いという意味ではありません。華美な事を好まなかった武家社会の家でも、襖絵や襖の引き手、季節ごとに変える床の間の生け花や掛け軸など、お客様を迎える客間には、主人の知性が表現されています。茶室などは究極のミニマリズムですが、その中にも主人の知性が表現されており、それを客人が感じ取る事ができます。 英国貴族の住居として作られたカントリーハウスでは、18世紀のプラトン主義の流行によって書籍の収集が行われ、飾りとしての図書室が作られるようになり、書架に囲まれる部屋で、読書や執務だけでなく、家族の団欒や接客の場としても使われました。収集された沢山の書籍は、上流階級としての知性の表現だったのです。現代では図書室の代わりにフォーマルリビングのセンターテーブルの上に大きめの本が置かれるようになりました。これは西洋の知性の表現の道具として、インテリアショップにも置かれるようになり、デコレーターも多く用いるようになったからです。 アメリカ西海岸で多くの住宅を訪問して感じるのは、伝統的なアメリカンスタイルの住宅では、美術関係の本が主で、ヴィンテージ住宅では、その時代のアートやフォトグラファーの本、モダン住宅では建築家の本が多く見られます。主に使われる本のサイズは大きく、持って読むにはかなり大変なサイズの物が多く、飾りとして置かれている事が分かります。それらの本の多くは1980年に設立しされたドイツの出版社のTaschen/タッシェンから出版された美術本が多く、タッシェン社の美しいハードカバーの本はインテリアデコレーションとしても多く使われています。 ロサンゼルスでの撮影でお世話になっているプロデューサーYASUKOさんの家には大きな書架があり、そこには様々なアート本が置かれていて、中にはYASUKOさんと仕事をしたヘルムート・ニュートンの巨大な効果な写真集もあります。いつもならそこから撮影用の本をお借りするのですが、今年はYASUKOさんからいただいた本を使って撮影を行いました。毎回、YASUKOさんの家に訪問するたびに、貴重な本を手土産にいただくのですが、YSUKOさん自身の知性に触れる事ができる本は私自身のコレクションになっています。 今年の新作展示会は続く感染禍の中でWebでの新作発表会を行います。日本で撮影した新しいカタログは今までとまったく違う印象です。本を飾りにしたくなるセンターテーブルも発表します。Web参加申し込みをお待ちしています。お楽しみに! (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2021.08.30|

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デザイン価値の移り変わり

AD CODE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.123 当社では感染防止のために、会社の勤務時間を早朝から夕方四時半退社に変更しています。夏になってガレージでのバイク整備も辛くなり、TVでも見ようとしたのですが、見慣れていないせいか、見る番組が見当たりません。 BS放送でもと思い探していると、昨年秋に放送した番組の再放送をしていました。「名建築で昼食を」という番組で、主演は池田エライザと田口トモロヲで、建築模型士の植草千明役の田口トモロヲと、広告代理店に勤める春野藤役の池田エライザが、SNSで知り合い、ノスタルジックな名建築を巡り昼食をするという番組です。社内で話をすると若い女性社員が「池田エライザちゃんが出ている番組でしょ」と。知っている方には今更と思われかもしれませんが、、。 番組は坂倉準三や前川國男、村野藤吾が設計した昭和の名建築を関係者に案内されながら、最後にその建物内にあるカフェでランチをする内容で、建築紹介をする事がメインの建築番組と違ったドラマ仕立ての内容が面白い手法だなと思って見ていました。昭和の建築はノスタルジックな古さを残しながら今も使われている建築で、今の若い人にとってはこの古さも新しく、お洒落に感じる要素だという事を、主役の池田エライザを通して感じる事ができました。中で面白く感じたのは、建築的背景よりも、階段手すりや柱の意匠など細部の説明が多い事です。ミース・ファン・デル・ローエが言った「神は細部に宿る」の言葉のような進行です。私自身もそういった箇所に目がいくので、六本木の国際文化会館での階段手すりなどに食いつく場面では、そうそうと思ってしまいました。 主役の春野藤役の池田エライザが住む古いアパートは、私の自宅の近くの横浜根岸森林公園近くにあり、相当くたびれたコンクリート作りの古い昭和のアパートで、あるのは知っていましたが、外観は錆だらけで、一度も修繕が行われていないような状態で、池田エライザのような女の子が住んでいるような、お洒落な雰囲気ではありません。番組スタッフもよくこの建物を見つけたなと感心しました。部屋と屋上から見える古い建物は根岸森林公園に残された、競馬場の観覧席です。住んでいる部屋は昭和のインテリアで、流し台のある台所とアルミサッシとふすまのある部屋で、部屋に置かれる家具や照明も昭和です。使っている扇風機はブルーの羽の1970年代の物で番組ではお洒落に見えます。インテリアも扇風機も私の青春時代に使った物でけっして新しく感じるデザインではないのですが、、。自分の価値観では古く見える物も、世代が変わると違った価値観が持たれます。 車やバイクの世界はヴィンテージと言われた1950年代~60年代から1970~80年代のネオクラッシックへと人気が移り、アメリカでもその時代の車やバイクが高値で取引されるようになってきました。いつも髪を切ってもらう美容師の方が家を買う事になり、写真を見せてもらうと1980年代の中古の家で、嬉しそうにお洒落な家なんですよと、、。建築やデザインに対する価値観も変わってきている事を感じた夏になり、高校時代まで使っていた実家の扇風機や家電も持ってこようかなと思ってしまいました。9月1日に開催するWebセミナーの西海岸建築レポートでは古さを生かしたリノベーションをお届けします。お楽しみに!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2021.07.30|

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ロケハンで思う事

AD CODE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.122 東京オリンピックが始まり、選手達の大活躍は新型コロナ感染に沈んでいた世界を明るくしてくれています。会場に行けなくても、選手達を応援している気持ちは同じで、日本勢の大活躍に心踊る毎日です。本来なら今年はアメリカ西海岸での撮影予定だったのですが、日本での撮影になりロケハンに回っていました。今まで、ハウススタジオがメインでしたが、日本でもロケーション手配をする会社が見られるようになり、一般住居や飲食店などを時間単位で借りる選択が増えています。驚いたのは、日本では住宅にロケハンに行くだけでもお金を取られます。ロサンゼルスではお金を取られた事は無く、決めるために見せるのは当たり前のようです。お金を払ってロケハンしても、なかなか良い物件は無く悩んでいます。 先日、いつも西海岸ロケでお世話になっている、プロデューサーのYasukoさんとLINEで話していると、近所の家がハワード・ヒューズが1950年代に建てた家だったのよと。その家は、Yasukoさんの自宅の斜め前で、いつも気になっていたセンス良いミッドセンチュリーの家で、その家を建てたのが、20世紀を代表する億万長者として知られているハワード・ヒューズの家と聞いて、逆に豪邸ではない建物に驚きました。スコセッシ監督の作品「アビエイター」では、レオナルド・ディカプリオ主演で、ハワード・ヒューズの波乱に富んだ半生を描かれていています。その映画の中で撮影に使われた住宅がフランクロイド・ライトJrの設計で、当社の家具撮影を行なった住宅と同じという事もあり、ハワード·ヒューズの名前はなんとなく身近に感じていました。ウエストハリウッドはそんな家が点在しています。 新型コロナ感染で長い間ロックダウンしていたアメリカでは不動産取引が好調で、Yasukoさんの住むウエストハリウッドでも、古い住宅を壊して新しい住宅を建てる事が多くなり、ミッドセンチュリーの建物が少しずつ少なくなっています。Yasukoさんの話では、IT長者やロシアやアルメニアなどの億万長者にはミッドセンチュリーよりも、新しく建てた分かりやすいギラギラした建築が好かれるらしく、以前はミッドセンチュリー住宅をセンス良くリノベーションしたモダン建築が多かったのが、センス無い家が増えて困ると、、。その時代に現れるお金持ちの好みも変化しているようです。国籍や相手によって様々なセンスで対応するデコレーターがいるのも、アメリカのインテリア業界の奥深い所なんでしょうね。ウエストハリウッドでも好きな建物はジェームス・ディーンが亡くなるまで住んだアパートです。70年前の木造アパートが未だに使われているのもロサンゼルスならではです。 日本でも古くても雰囲気のある建物をリノベーションする事が増えてきています。アメリカのヴィンテージと同じように、今の人には昭和の雰囲気は心地よく映るのでしょう。私自身も街中にふと昭和の雰囲気を見つけると立ち止まってしまいます。9月初めに開催するアメリカ西海岸建築レポートでは今までに撮りためた200軒以上の中から、今のインテリアと思える建築を厳選してお届けしようと思っています。お楽しみに!(クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2021.06.29|

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インテリアに安らぎを

AD CODE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.121 いつもならアメリカ西海岸での撮影のため、撮影場所を決めるためにロケハンへ行っている時期ですが、今年は2年に一度の海外ロケは断念する事になりました。2003年スタート時にはどうしても豪邸に目が行ってしまい、そんな邸宅を借りて撮影を行いました。しかし、撮影を重ねるごとに時代に合った住みやすさを感じる快適な建築で撮影をするようになりました。ロケハンする時に感じるのは、住まいとして使用されている良い家は、良い香りと安らぎを感じる事で、そういった住まいには、さりげなく生け花が置かれている事が多く、オーナーの来客や家族への優しさを感じ、建物にも愛情を感じます。これは取材に回った数百軒の住宅にも言える事です、庭の草花の手入れが行き届いている事も同じです。 撮影に使用する家具は、ロケハン後に仕様を決めてコンテナでアメリカまで輸送するのですが、デコレーション小物は現地で調達します。その中でも重要なのが花と花器で、住宅や撮影する家具に合うようなものを探して調達します。花器や小物の多くは、現地のプロデューサーのYASUKOさんの自宅にある物をお借りします。所有されている小物や花器はどれもセンスが良く、その量にも驚きます。中にはラリックのガラス器などもあり、お借りして持ち歩きする時には緊張します。その花器に入れる花はロサンゼルス市内で購入するのですが、ウエストハリウッドにあるスーパーマーケットにも沢山置かれていて、花に困る事はありません。しかし、その年のテーマに沿った花が無い場合もあり、ダウンタウンのフラワーディストリクト(花市場)へ仕入れに行きます。 ロサンゼルスのダウンタウンには、花だけでなく玩具や食料など、街のブロック全体に同じ店が集まったディストリクト(地区)があり、フラワーディストリクトと言われる数百の店が集まった公共の花市場があります。プロや卸売業者の入れる時間と販売価格は別になりますが、入場料を支払えば一般客も入場して購入もできます。ロサンゼルスの花市場の歴史は、1892年に日本からの移住者がロサンゼルス南部で花生産を開始し、1913年に日系人がこの場所に花市場を開設した事が始まりだそうです。以前、聞いたのですが、ロサンゼルスの庭仕事も日本からの移住者が始めたそうで、今は輸入花が多く、バラなどはエクアドルやコロンビアからの輸入がメインになっているそうです。花市場や庭師のガーデナーは南米の方がメインになっていますが、アメリカのインテリアに華やかさを与えたのが、日本人と聞くと嬉しくなります。 中にはエリアごとに違う種類の草花が置かれ、それに合わせる花器の販売もされています。一般客が入れる時間帯に入ってもフラワーコーディネーターやデコレーターなどインテリアのプロらしき人がメインで、リヤカーほどある大きな台車を借りて回っています。朝2時からオープンしているので、私たちが入れる8時頃には置かれている花は少なくなっていますが、それでも日本ではあまり見かけない草花が多く、かなり安く販売されています。日本に比べ原色系の色が多く、撮影には向かない花も多いのですが、グラフィックデザイナーの方とスタイリストと会場をリヤカーを押して、大きなバケツ一杯に花を仕入れます。一回の撮影に使用する花は20セット近くになり、撮影中に花器に花を生けるスタイリストの方は大変ですが、製品の邪魔にならないサイズ感を大切にしながら、打ち合わせして進めていきます。 アメリカのスーパーマーケットの入り口近くの良い場所には花が沢山置かれ、その華やかさを見ると暮らしに必要なアイテムとして普段使いされているのがよく分かります。コロナ禍で日本でもホームセンターでの草花が沢山売れていると聞きます。当社でも東京、大阪、名古屋のショールームスタッフが相談しながら、自分たちで花を使った展示をしています。インテリアに安らぎを与える花は私も大好きです。もう少しでオリンピックが始まります。表彰台で手にするのはどんな花束なんでしょうか。それを見るのも楽しみです。 (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)

2021.05.31|

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趣味の時間

AD CODE DEVISE DESIGNER BLOG Vol.120 10年以上前に北欧デンマークを旅した時のことでした。家具メーカーや老人ホームなどを回って、デンマーク人の余暇の使い方に驚いた記憶が蘇っています。ある大手の家具工場へ行った時に3時が帰宅時間と聞いて、会社としてよくやっているものだと驚きました。3時に帰って家で何をするんだろう?と聞くと、ヨットやサイドハウスを自分で作っている人が多く、余暇を楽しんでいるとの事。税金は高く物価も高いので、貯金はほとんどしないと聞いて、将来心配ではないの?と質問すると、国に貯金していて老人ホームなどに入れば大丈夫だしと。訪問した老人ホームではお洒落した老人が幸せそうで、そこで介護している方々も皆さん笑顔で裕福そうです。なぜ?と聞くと介護している人が幸せでないと、介護されている人が幸せにならないからと、、。なんだか羨ましく思いました。 私自身、夜遅くまで働く毎日だったので、余暇といっても週末に少し車のメンテナンスをするのが精一杯で、羨ましいというか、そんな日はリタイヤするまでは来ないなと思っていました。しかし、このコロナ禍で去年から出勤時間を朝早くし、勤務時間を時短にして4時半帰宅になりました。テレビを見て過ごすにも見るべき番組がなく、古いオートバイ(バイク)のメンテナンスでもするかと、ガレージで置きっ放しになっていたバイクを出して、毎晩のようにバラして組み立てをしました。週末の空いた時間でやるのはメンテナンスと言われる整備が中心ですが、毎日となるとレストア作業までするようになり、2台あるバイクも新品のようになってきました。平日の夜にガレージで作業、週末は調子を見るための試乗となり、キャブからエンジン、電気系、足回り、ブレーキまでバラして組み直しました。ピカピカになり調子良いバイクを見ていると、ふと、デンマークで見た余暇の使い方と同じじゃないかと、。 撮影に訪れているロサンゼルスでも、訪問する家のオーナーの多くは朝早く出社して、夕方早く帰ってくる方が多く、大きなガレージで古い車やバイクを直して週末に乗ると聞きました。マリブの海岸線にあるバイカーの聖地のネプチューンカフェでは毎週末、強面のバイカーがピカピカのバイクで集まってきます。怖そうな人達の多くは普段はビジネスマンで、自分で組み上げたバイクを自慢しに来ているそうです。その時も羨ましく思ったものです。日本では今、芸能人や芸人の方が旧車の絶版車と言われる古いバイクに乗るのが流行っているようで、SNSやネットニュースで芸能人が自慢しているのを見かけるようになりました。10年以上前はハーレーが多かったのですが、今は1970~80年代の絶版車で少し鈍臭い感じのバイクが多く、他人が乗っていないバイクが人気のようです。あまり人気が無いバイクはパーツが無いので修理や維持は大変なんですが、、。 私自身、古いバイクや車に乗っていますが、30年以上経た車体のパーツは手に入らず、自分で直すしかありません。ネットオークションでパーツが売られているのですが、写真だけで判断して購入すると失敗する事があります。昔は解体屋がどこでもあり、自分の車やバイクのパーツを山になった廃車の中から取り外して買ったものでした。バイクのパーツはメーカーにもよりますが、生産終了後10年程でパーツ在庫が無くなります。でも、助かるのは社外品と言われるパーツの存在です。そのほとんどが海外製で古いバイクや車を大切に乗ろうとする文化がある国のパーツが多く、以外にアメリカ製のパーツも多いんです。私の乗っている1962年製のカルマンギヤもパーツが沢山出ているので、助かります。ヨーロッパではパーツ購入だけして自分で修理できる家電が人気と聞きました。ネットニュースで日本の高級腕時計のパーツ保存が10年と出ているのを見て、日本も修理しながら使う文化がもう少しで出てくればいいのにと思います。 カーボンフリーと言われ、古いバイクや車は公害を撒き散らしているように思われますが、車検時に排ガス検査も通らないといけません。物を長く使う事も持続可能な社会ではないでしょうか。当社は廃盤が無いので、36年前の製品もメンテナンスが可能です。コロナ禍で大変な世の中ですが、自分のために使える時間ができたように思います。皆さんも今までと違う時間の使い方をして、コロナ禍の不自由な時間を自由に使ってみませんか。次回のWebセミナーは人間工学の話をしようかと思っています。椅子やソファの人体に合うサイズなどお話しする予定です。お楽しみに! (クリエィティブディレクター 瀬戸 昇)