AD CORE DEVISE DESIGNER COLUMN Vol.181
先日開催したミラノデザインウィークレポートは1500名をこえる方に視聴いただき、今までのWeb開催では最高の参加数でした。今回もZoomウェビナーでの開催でしたが、写真がきれいで分かりやすかったとアンケートに書いていただき励みになりました。一部の方から画像が荒かったとのご指摘がありましたが、Zoomソフト以外のブラウザを使用しての視聴環境の方がいらっしゃいましたので、次回はぜひ、Zoomソフトでお楽しみいただければと思います。今回のミラノレポートは30か所のイベントを500枚近い画像でお見せしましたが、すべて私自身が撮影した写真を画像修正した画像です。その画像を整理しながら、ミラノデザインウィーク中の取材写真と、終わってから普段の街を歩いたスナップを見比べると、終わってから歩いた写真にミラノ市内の集合住宅の上層階の緑の多さに気がつきました。今回のコラムではミラノイベント中展示の植物とその集合住宅の植物についてお話しします。
毎年歩いてきたミラノは、市内だけで650か所ある会場を地図(今はスマホのグーグルマッピング)を片手に歩く、フルマラソンのような限界ギリギリで歩いているので、上を見る余裕なんてありませんでした。今回はデザインウィークが終わって静かな街を歩いている時にふと、水滴が落ちる道の上を見上げると、集合住宅の上層階のベランダの植栽からでした。そうして上に気をつけて歩くようになると、公園以外の緑が少ないと思っていたミラノ中心街に植物が意外と多いことに気づかされました。それから見上げて街を歩くようになると、下から見ても素敵なベランダが多く、緑の多いペントハウスが多いことに気づかされました。ミラノといえば2014年に完成したステファノ・ボエリ設計のタワーマンション「垂直の森」が有名ですが、完成した時には管理の難しさとミラノの冬の環境で、植物の成長が可能か疑問に思われていましたが、この垂直の森は10年近く経て手入れが追いつかないくらい生い茂っていました。
4月のミラノは街路樹の「ピオッポ/セイヨウハコヤナギ」という、ポプラ科の木から綿毛のような花粉が飛んでいます。例年は4月初めのサローネなのであまり感じませんでしたが、4月末に近かったということで、この花粉が舞っているのが見えるくらいすごくて、花粉症の重症でない私もミラノでひどい花粉症になりました。ミラノデザインウィークが終わって、雨が少し降ったこともあり花粉が落ち着いたこともあり、よけいに建物を見る余裕もできて、建物の上層階を見られるようになりました。旧市街地に街路樹や道路に面した庭がないこともあり、植物を置いて癒しにしているのかもしれませんが、高級そうな集合住宅の、それもペントハウスや広いベランダに住めるだけの財力がある家だからできることなのかもと思いました。中心地の上層階に限られた富裕層の生活が自分の生活を楽しむために育てているのかもしれませんが、道路からだけでなく、家の前の建物の方には良い眺めになることは間違いありません。上の遠くなので何の植物かは分かりませんが、歴史ある暗い建物のある街を明るくしていました。
道路を歩きながら、今年のミラノサローネのフィエラ会場のブース内の植物や、市内ショールーム内の植物が寂しかったことを思い出していました。いつも置かれている植物もインテリアの重要なデコラポイントで、時代に合わせて変わってくるのですが、市内にできた有名家具ブランドのショールーム内には植物が置かれていませんでした。植物を置くと占有面積が取られてしまい狭くなるのもありますが、空間が無機質に感じられました。一方、フィエラ会場でも植物を感じることが少なくなっているように感じました。しかし、余裕のありそうな上位ブランドには植物が置かれ、インテリアの一部として使われていました。モンステラなど南洋植物の人気はまだ続いていて、シダ類やアレカヤシ科のように鉢からすぐ葉が出て場所が取られる植物も多く見られました。一方、ゴムの木やベンジャミンは1970年〜90年代のインテリアブームからでしょうか。
インテリアのトレンドはエクレクティックスタイルと言われる、ヴィンテージ、コンテンポラリー、そして個人的なアイテムが重ね合わせられたインテリアが主流になって、均一に流行でだけで集められたインテリアはあまり好まれなくなっています。観葉植物も同様なのでしょうか。均一な種類で集められた植物でなく、中心になる植物の周りに他の種を上手く集めたような置き方が、今の植物のトレンドのように感じました。適度にゆるいことがリラックスできる空間になっているのでしょうね。当社の六本木ショールームの植物も大きく育ってきました。広尾で事務所内に置いていたモンステラも大きく背丈を越えるように立派になり、今はショールーム内でピカピカな葉を見せています。フィカスも植え替えられ少し大きくなってきました。足元に置かれる胡蝶蘭もオープンのときにいただいた花が終わったものを植え替えて置いて花をつけはじめました。ぜひ、中庭の植物と合わせショールームでご覧ください。(クリエイティブディレクター 瀬戸 昇)